#007: 八木保さん: アートディレクター: 西海岸から再発見した日本の美意識、暮らしに溶け込んだ社会貢献、食べることはクリエイティブ




八木保
1984年に渡米、アメリカのアパレルメーカー「ESPRIT」のアートディレクターを担う。 その後、サンフランシスコに Tamotsu Yagi Design を設立。 1995年にサンフランシスコ近代美術館(SF MoMA)開館時に個展を開催。 以後、100点以上の作品がサンフランシスコ近代美術館のコレクションとなる。 2000年にスティーブ ジョブスと共に、Apple Storeのコンセプトおよびコンサルティングを手掛ける。 2011年、JAPAN HOUSE Los Angelesのクリエイティブディレクションを担当する。現在はカリフォルニアを拠点に、世界中でさまざまなプロジェクトに携わっている。 ジャン プルーヴェ展のほか、目で食の世界を味わう展覧会 eye eAt 展 も京都で開催中。 近著に「CHARLOTTE PERRIAND and JEAN PROUVÉ・A COLLECTION of TAMOTSU YAGI」(CHARIOTS ON FIRE PRESS)など
Web : Tamotsu Yagi Design
Instagram : mrtmrt

井田順子
慶應義塾大学環境情報学部卒 浜野総合研究所入社、2005年 株式会社乃村工藝社、2010年 CPCenterに在籍し、都市型商業施設プロデュースにおけるコンセプトづくりやMD計画を実施。2012年よりフリーランス。商業施設開発に加え、業態開発やブランド開発事業も多数実施。
主な実績:商業施設開発プロデュース|QFRONT、二子玉川rise、東京ミッドタウン、GRAND FRONT OSAKA、京都タワーSANDO、Shibuya Scramble Square
業態開発プロデュース|CHEESE GARDEN、Food Showリニューアル、cafe & bakery熱海、ギャラリー&サロンkojin kyoto「eye eAt」展など。
Instagram : juncotokyo1202


Key Words: 
kojin kyoto, Tamotsu Yagi Design, ESPRIT, サンフランシスコ近代美術館(SFMOMA), ベニス(カリフォルニア), ジャン プルーヴェ(Jean Prouvé), ダグラス トンプキンス(Douglas Tompkins), 倉俣史郎, スティーブ ジョブス(Steve Jobs)イヴォン シュイナード(Yvon Chouinard)ピート モンドリアン(Piet Mondrian), 坂茂, THE NORTH FACE, アリス ウォータース(Alice Waters), シェ パニーズ(Chez Panisse), エディブルスクールヤード(the Edible Schoolyard), AID&COMFORT Ⅱ, 石岡瑛子, ローリー アンダーソン(Laurie Anderson), フィリップ グラス(Philip Glass), dosa, クリスティーナ キム(Christina Kim), フリッチョフ カプラ(Fritjof Capra), エルムウッド インスティチュート(Elmwood Institute), タオ自然学, ソール バス(Saul Bass), 谷口吉生, 広島中工場, ドライブ マイ カー, 百味存, 横山夫紀子, 原川慎一郎, Noma, ブッチャーズドーター(Butcher’s daughter), ヴィーガン, インポッシブルバーガー(Impossible burger), シェフズテーブル, ジェリー ベックリー(Gerry Beckley), 名前のない馬(A Horse With No Name), パトリックセガン(Patrick Seguin), 緒方慎一郎, DOVER STREET MARKET, 写真展「Gerry Beckley’s America」10月21日〜10月25日 kojin kyotoにて


エピソードを読む:
[江良]
はい、今日はアートディレクターの八木保さんをお迎えしてお送りさせていただきたいと思います。八木さん、よろしくお願い致します。

[八木]
よろしくお願いします。

[江良]
あと、今日もう1人ゲストで、井田順子さんに来ていただいてます。今、実は僕たち、京都のkojin kyotoというですね、ギャラリーからお送りしてるんですけども、今こちらで、eye eAt 展(目で食の世界を味わう展覧会)という、目で食べる、目で食べる脳で感じる、食べ物に関する古今東西のいろいろな面白い作品だったり、本だったりりそれを今展示してるんですけども、八木さんも今これはディレクションされてらっしゃるんですよね。


[八木]
そうですね。このビルを持っておられるオーナーの方も、すごい食に興味を持っておられて、それとやはりデザインに関心があるっていうことで。震災の、ごめんなさい、コロナのパンデミックの後に、この建物ができたんですけども、いい状態でずっとこう思っている展覧会をできてなかったので、

[江良]
まあね、コロナだとね。

[八木]
まあクローズしたりいろんな問題があって、それでまあ、できたらある程度、今後このkojin kyotoが、うまく外部の人にこうPRできるような、3ヶ月っていう期間の中で、できるだけ人を呼べるための、なんかちょっといいアイディアがないかと、展示がないかっていうことで、今回の展示が決まりました。

[八木]
はい。そのeye eAt 展、マネジメントされていて、八木さん、Tamotsu Yagi Designとも、もうすごい相当長い間、というかもう、家族ぐるみでのお付き合いをされてる、井田順子さんもちょっと加わっていただいて、あの3人でお話させていただきたいと思います。

[井田]
はい。よろしくお願いします。

[江良]
はい。はい。じゃあまず皆さん八木さんのことはご存知の方も多いと思いますけれども、改めて簡単にちょっとプロフィールをご紹介させていただきながら、まず八木さんのですね、いろいろなワークについて、あとは八木さんの人となりとか、お考え方とか、まずそこからおうかがいさせていただきたいと思います。

[江良]
まず1984年にESPRITのアートディレクターとして、それからダグラス トンプキンス(Douglas Tompkins)さんに呼ばれて渡米されるというところから、八木さんのキャリアの大きなところが一つ転換期でありました。で7年間ですかね、ESPRITのアートディレクターとして勤められて、91年にTamotsu Yagi Designを設立されて独立されました。

[江良]
以降ですね、いろいろなアートプロジェクトだったり、企業のロゴとかそういうアイデンティティとかのことをやられて、91年にはサンフランシスコの近代美術館での展示とかですね、コレクションもされました。あとやっぱ皆さんあのよくご存知だと思いますけれども、2000年にApple Storeの1号店ができるときに、スティーブジョブス(Steve Jobs)さんから直接八木さんのとこに連絡があって、1号店のコンセプトデザインをされたというのは、あまりに有名なお話かと思います。2011年に今ロサンゼルスのベニスですね、アボットキニーの近くに今、アトリエ(*正確にはスタジオ)を構えられて、僕もお邪魔させていただいたことありますけども、すごい素敵なところでお仕事をされております。あと最近ではね、ジャン プルーヴェ(Jean Prouvé)の企画展を現美(東京都現代美術館)と、あと京都でも、やられてらっしゃるんですかね?

[井田]
現美だけです。

[江良]
現美だけですね。現美でやられて、はい。そういったところで、多方面で活躍されていらっしゃいますけれども、まずダグラス トンプキンス(Douglas Tompkins)さんとはどういう、ね、急にこうアメリカに来て一緒にやろうよって誘われたというのは、どういうようなこう経緯だったか、みたいなところからお話うかがってみてもいいですか。

[八木]
あの、ダグラス トンプキンス(Douglas Tompkins)、ダグはですね、まずその日本の文化、日本の食を含め、すごい日本のことを興味があって、当時80年代にかなりの回数日本に来てるんですよね。最終的には代官山に、ESPRIT HOUSEっていう、結構500坪くらいの家にですね、Shiro Kuramata(倉俣史郎)さんって、もう亡くなられたインテリアデザイナーの方に、3分の2が庭で、あとの残りが2層の家ですね、それを元々あったところをうまく改装されて、下がオフィス、上がゲストルームっていう、そこまで日本を好きになったかたです。

[江良]
なるほど。

[八木]
はい。そのかたがどうしてもこの世界戦略するためには日本の文化デザインもわかる人にぜひ、In houseですね、社員のデザイナーとして働いてほしいと。24時間会社で働く人たちに来てほしいと、パートタイムとか、発注はしない、というすごいユニークな方で、84年に誘いがありまして、それでいきました。

[江良]
なるほど。でもね、後出てくるスティーブジョブスさんもそうですけども、そのやはりアメリカの西海岸のカルチャーの中で、そういうこう、日本の文化の良さとか、そのデザインとか美意識の要素を取り入れたいっていうふうに、そういう方っていうのがちょいちょいいらっしゃるじゃないですか。それはその、日本のどういう部分が、皆さんこうアメリカから見ると、何かスペシャルなものとして、何か取り入れたいって思われる傾向があるんでしょうか?

[八木]
まず僕も、日本にいたときはそれほど京都にも来たことがないと。東京が一番好きだったんですけども、実際84年にアメリカに行ってですね、1年2年経って、たまに帰国するときに、東京に行ってもあまり感動しないんですよね。そのときに、その年のクリスマスのプレゼントに、ダグっていうのはすごいその本をプレゼントするのが趣味で、クリスマス前になると、自分の机の前にも山ほど本があると。大体それは全部自分と、あの秘書の人が集めてきて、この本は誰プレゼントっていうので、僕に初めてね、桂離宮の本くれたんですよ。

[江良]
へえ。

[八木]
そのときに初めて、Tamotsu、君の国にはこんな素晴らしい建物がある。絶対これ忘れちゃ駄目だって。僕、いやそれ行ったことない、って言ったらもうそれは絶対駄目だっていうので、あと日本に来るたびに京都に行ってた。やっぱり京都に来ると、やっぱり食べること、やっぱり風景、様式、色、形、全てこう僕らが離れて住んでるアメリカからたまに来ると、ものすごいそういうのが新鮮に目に入ってくると。特にその桂離宮なんか行くと、もうすごいミニマムな、建築、素材含めて、そこに流れる春夏秋冬の風景が、本当に巧みに自然のものを建築の中に入れるという。だから僕らは想像以上にやっぱりそういう感覚的なことをやっぱりスティーブ ジョブズとか、ダグ、イヴォン シュイナードなどもいろんな人をね、特に自然を愛する人っていうのは、みんな、そういうものを、そういう見方してたんじゃないかなと思いますね。

[江良]
なるほどね。

[江良]
その自然に、こうコネクトしているような、

[八木]
そうです。



[江良]
なんかそういう、無意識に国民性というか、そういうところにあるというのは、でもやっぱそういうのは、日本の中にいると、なかなかこう忘れてしまう感覚というかね、大事なものとしてこう自分たちが思わなくなってくるところは特にね今の日本の、京都はともかく、東京とかはね、そういう感覚が失われているのは間違いないですよね。

[八木]
東京でもね、やっぱり下町とかね、隅田川の周りとかね、やっぱり川が流れてるね、富士山が見える山の上とかね、やっぱりそういうところっていうのは、すごい感動する風景っていっぱいあると思うんですよね。特にここのkojin kyotoでもね、うん、昨日もちょっと今回お世話になった人にいろいろ来ていただいて、簡単な、上でお茶を飲んだりしてたんですけど。この位置から川を見下ろしたことがないってね、こんなとこにすごいね、川が流れてっていうね、やっぱりこういう見方、見る場所に人が例えばね、全然違うそういう、パワーっていうのかな、そういうのをもらえるっていうは、すごいと昨日、話してましたね。



[江良]
今このね、kojin kyotoっていうのは、荒神町というんですか?

[八木]
荒神口

[江良]
荒神口っていうんですかね。このへんは。で今、鴨川が見えるギャラリーのですねガラス越しに、二階ぐらいの高さからね鴨川をね、見てるんですけれども。

[八木]
で、これね上から見ると、もうファミリーでピクニックされてる方、ジョギングされてる人ね、夏になると子供とお父さんでね、小魚を採るような風景とかね、やっぱりすごいここね、なんかすごい場所だと思いますね。やっぱこういう自然のところには人が集まってくるよね。

[江良]
なんかでも、自然っていうところでいうと、この前、先週ジャン プルーヴェ展、拝見させていただいたんですけども、やっぱりその、ジャン プルーヴェのああいうデザインっていうのも、桂離宮がミニマムみたいなことおっしゃいましたけれども、何て言うんでしょう、もうすごいミニマムじゃないですか。でも存在、もう必要なものしか、基本的には構造的に無くて、ただそれがその、すごいあの、美的、美意識がすごい貫かれて、ああいうこう、あの八木保さんは、いわゆるそういうFurnitureの、家具のコレクターでもあられると思うんですけども、なんでまたそういうジャン プルーヴェのコレクターみたいな、コレクションを始められたのか、何で今回、あのジャン プルーヴェの企画を、改めてあのやられようと思ったのか、ちょっとそこら辺をおうかがいできますか?

[八木]
僕は84年にアメリカにいった頃はですね、やっぱり、そのアメリカから出てきた、その文化、例えばイームズとかですね、何か50'sの家具に、やっぱり興味があったので、結構そういうものからコレクトしてたんですけども、当時やはり、この黒いレザーね、それにあとクロムのパイプ、結構なんか、普通の日本で見るような素材で作ったような、家具の環境にいたんですけども。ある日、ESPRITのダグなんかと一緒に出張に行ったとき、1日時間があったんですよ。パリで、じゃ、サンジェルマンのあたりってすごい面白い文化が残っているところがあるから、そこに行ったらって?で、行ったときに初めて見たのがジャン プルーヴェの家具なんです。驚いたのはまず、家具に色がついてたと。なんかモンドリアン(Piet Mondrian)の絵のような家具ね。やっぱり家具にあれだけ色が付いてるってのはすごいなんかフランスをね、何か感じましたね。

[江良]
なるほどなるほど。

[江良]
ま、でも、本当に、あれだけ、あとあの、プレハブのあのシリーズというか、僕あれ存じあげなかったんですよね。

[八木]
あれはね、プレハブじゃないんですよね。組立住宅というんです。

[江良]
組立住宅ですよね。もうなんかこうパーツがあって、あの柱がかっこよくてね。二股のね。つまり、ある程度その決められたパネルとか柱とかの、あの部材があって、非常に簡易的に、しかもすごいシンプルな構造で、だから仮設というかね、あれは元々あそこにあったのはどこかであった。

[八木]
あれはだから1960年か70年ぐらいかな。実際全部使ったやつなんです。あれはやっぱり組み立て住宅っていうことで、2時間ぐらいで組み立てるんですよ。2時間ぐらいでまたバラして。

[江良]
バラして、動かして、movableハウスというか。

[八木]
やっぱり、プルーヴェは、例えば災害のある土地に、家が必要。例えば何か、一つの建造物っていうので、ああいうものを、持って行ってそこで組み立てて、仮ですよっていうような。なんかすごい当時としたら画期的な、彼の有名な言葉で、その「土地に痕跡を残さない」と。やっぱり土地のうえにパーマネントで立つ建築もあるけども、その土地で2時間で姿を消す建物があってもいいんじゃないかっていうことで結構そういう自然災害とか、そういうところに、使うような家具っていうので、ああいうのを考えられたみたいです。それと学校ですね。

[江良]
はい。でも本当にね、今もタイニーハウスとか、日本でもいわゆる小屋的なものとか、あの流行ってますけども、ジャン プルーヴェがね、その戦後の、ぐらいのタイミングからそういった、ああいう思想で、ああいう考え方で、しかも自然に痕跡を残さないみたいな、もう全然ね新しいというか。ああいうこともっとなんかね、これから、流行ってくるんじゃないかなというか、なんかあれ真似する人とかも何か出てきそうな気もするし。

[井田]
そうですね。

[八木]
日本では有名なね、坂茂さんがね、災害時に紙パイプでね、同じような考えだと思います。

[江良]
ありますよね。でもなんかやっぱり、すごいそういった考えなのに、とにかくあの美しいというかね、見た目が美しいから、そこら辺がなんかね、素晴らしいなと思いましたね。

[井田]
なんか私自身も、あのジャン プルーヴェ展、八木さんをきっかけに伺わせていただいて、まさに今、八木さんがお話してくださった、そのジャン プルーヴェのフレーズで、その土地に痕跡を残さない建築を作りたい、っていうフレーズがずっと残っていて、その言葉をこう毎日思うと、八木さん自身も以前から、私も小さな頃から、八木さんのデザインワークを見させていただいてますけれども、何か常にそういう視点が八木さんがお持ちで、私自身もすごくそういったことを八木さんから学んできたと思うんですが、やはりサンフランシスコで、お仕事をスタートされてからそういう意識っていうのは強まったっていう感じがあるんですかね?

[八木]
まぁ僕らは東京にいたせいか、やっぱり東京から84年にアメリカに行くと、ものすごい不便、不便なものだらけ。うん、でもやっぱりいかにそのコンビニエンスに住む東京とは全く違ったね、ものに出くわすと。特に僕らはグラフィックデザイナーでサンフランシスコで使ってるパン屋さんのパッケージの紙、スーパーの手提げ袋、これほど新鮮に見えたものは無かったんですよ。それぐらいやはり素朴なものをね、やっぱり当時もう、リサイクルっていうのがあったのでね、過剰パッケージをしない。できだけクラフトペーパーには色を塗らない。もう何かそういうのがやっぱり、西海岸っていうのはものすごいそういうのに、感覚に合うようなかたがもうなんか住んでるみたいなね、だからすごいちょっと驚いたところがありましたね。

[江良]
うん。その不便さみたいのって、またね、自然の、自然とどう繋がるかとか、自然からどうね繋がっていくかみたいなことに対する、クリエイションを、実行をね、助長できるような感じもしますよね。

[江良]
あと僕はすごいあのやっぱり、すごい興味があるのは、やっぱりダグラス トンプキンスさん、やっぱり、ESPRITのあと、皆さんご存知のね、THE NORTH FACEをね、創業されて、(*実際には、1964年にThe North Faceを創業。1971年にESPRITの前身となるPlain Janeを創業した。) そのあと、いわゆるあっちのね、南米のアルゼンチンとか、あちらの環境保護とか、すごい規模で、山をね買って保全されたりとか。あとやっぱりね西海岸、今そういうカルチャーもある中でいうと、今日もしたに展示されてましたけども、アリス ウォータース(Alice Waters)さんのシェ パニーズ(Chez Panisse )とか、エディブルスクールヤード(Edible School yard)とかね、やっぱりそういう活動をされている方々と一緒に、いわゆるグラフィックワーク、アートワークを八木さんが一緒にやられてきたっていう中で、多分いろいろな、気づきとか、学びみたいなものがあったかと思うんですけども、何かこうエピソードみたいものが、あれば教えていただくことは出来ますか?

[八木]
だから、いま出た、アリス ウォーター、やっぱりアリスのところに、スティーブも行ってるし、スティーブ ジョブズですね。何かやはり、西海岸のね、人ってなんかこう全部繋がりがあると、いうことで、特に下においてあるあのポスターはね、あれは、AIDSのために、あの資金を集めるイベントなんですよ。それを3年か4年に1回ね、バークレーでやるんですよ。カリフォルニアの有名なシェフで、アリスウォーターからもう、有名なシェフいっぱい来ますから、全部そういう方が、当時多分1,000人ぐらいかな、それの料理を全部作るんですよ。その舞台のデザインを瑛子さんがやられて、

[江良]
石岡瑛子さんですね。

[八木]
はい、演奏はもうローリー アンダーソン(Laurie Anderson)、もう一流の人が全部来て、パフォーマンスやるんですよ。



[江良]
フィリップグラス(Philip Glass)さんだとか、すごい名前がでてきますよね。

[八木]
そうですね、グラスもね。全部あれが無償で出てるんですよ。それ、そういう方がAIDSで困ってるね人のために、ああいうふうなので、タイトルがすごいいいんですよね。AIDね。うん、だから、それでやっぱり日本の石岡さん(石岡瑛子)のデザインだから、ああいう和紙を使って、何かすごいなんか、あのやっぱりアリス ウォータースも、京都が好きだし、なんか皆なんかそういうとこにもね、一つ何か共通するものがあるんじゃない。上にかかってる、dosaの、クリスティーナ キム(Christina Kim)さんもすごいもう、もうあそこのオフィスはちょっと信じられないぐらいゴミ一つ出てないんですよ。ゴミも全部その、商品化するんですよ。

[江良]
もうあれですよね、縫ったりとかするから、その当然、布屑とかでてくる。

[八木]
そういうのは全部クッションの、あの中に入れるとかね。名刺ぐらいの大きさのものは全部綺麗に切ってパッチワークにするとかね。それはすごい。それがね、綺麗ですよ。僕らはいつも言うように、そのやっぱり商品とかメッセージなるときには、ある程度のデザインの力がなかったら、何かこう、趣味のある人が手で縫っていうものじゃ、世界には通じないと思うんだよね。僕はESPRIT辞めたときに、やっぱりダグラス トンプキンスが言ったように、Tamotsu、君はもうESPRITで好きなことをいっぱいやったから、今度僕がESPRITを辞めてやる、Non Profit Organizationで、そういうとこの、会社とか、団体のグラフィックをやってくれって言われたんですよ。そういう団体というのはお金がないから、本当みんな手書きで、ガリ版でね、募金集めるけど、これは無理だと。というので、僕と一緒にそういうところからデザインをって言っているんですよ。で、一番最初にやったのは、フリッチョフ カプラ(Fritjof Capra)っていって結構有名。

[江良]
はい。タオ自然学のね。

[八木]
そうですね、彼がやってる、エルムウッド インスティチュート(Elmwood Institute)の、シンボルマーク、それと、一連のグラフィックとかをやっていくんですよ。

[江良]
なるほど、そうだったんですね。でも八木さんからフリッチョフ カプラの本は進められて、だいぶ影響を受けました。ぜひ皆さんも「タオ自然学」という本を。

[八木]
やっぱり石岡瑛子さんもね、やっぱりそういうやはり共感を持たれたし。

[江良]
そのあれなんですかね、今日一つ、ぜひ八木さんにおうかがいしたい、大きな問いの一つが、やっぱりあの今、ロス行かれて、今だから何年ぐらいアメリカなんですかね。ベースが。

[八木]
アメリカは長いですね。

[江良]
84年からだとすると、40年近くになるわけだよね。38年ぐらいってことですよね。いらっしゃって、で、いまおうかがいしてても、やっぱその西海岸の、そういうみんなでね、Non profitのことでも、AIDSのことでも、そういう環境のことでも、何かしていこうという、そういうカルチャーというか、そういうコミュニティが、なぜかあるということなんですけども、ロスからアメリカから日本をこう眺めてみたときに、今の日本の、僕たちこれalt-Tokyoというその番組名で、その東京、オルタナティブなね、もうちょっと東京を、僕はどちらかというと環境問題とか、そういう問題を今までずっとやってきているんですけども、何かもう少しこうシフト、いい方向にシフトしていけないかなということをみんなで考えていこうっていう、そういうテーマで、やってるんですけれども、アメリカから日本を、今の日本を見るときに、そういう、片や、カルチャーみたいなそういうコミュニティのことでもどういうことでもいいんですけども、何かこう、八木さんの目から見て、今の日本の問題とか課題について最近気がつかれたことはありますか。

[八木]
僕が住んでるカリフォルニアというのは、かなり、そういうね共感を持つ人が多いと。だから自然とそういうとこにいると、あまり感じ無いこと多いんですけども、やっぱりパンデミックのあとで、やはり外で外食できない、でみんな家で料理を作る。いかにコンビニエンスで、食べてたものが、自分の手作りでやる。で、それにはやっぱり限られた素材だけで料理を作るとかね。結構カリフォルニアの若い人ってものすごく変わったと思うんですよ、今回。はい。最近レストラン行ってもメニューはない。

[江良]
メニューがない。

[八木]
もうQRコードで見る時代になって、どんどんどんどんその文化っていうのは変わってきてると思うんですよね。向こうに展示しているような、こんなカラフルな、もうこんなメッセージのあるメニューのカバーなんかまずないですからね。



[江良]
そうですよね。

[井田]
これは大体1950年代ですね。

[八木]
そうですね50年代。はい。で、これ、ちょっと話飛ぶんですけど、一番右のデザインがね、これあれですよ、ソール バス(Saul Bass)。ソール バスもメニューカバーのデザインしてたんですよ。

[江良]
へえ贅沢な時代ですね。

[八木]
ということはね、やっぱり、ということはね、グラフィックデザイナーにとってね、やっぱりこういう、媒体ってすごい重要なのね。こういう当時やっぱり、家族、恋人同士、夫婦で、外食するっていうのが、結構流行ってた頃らしくて。やっぱりエンターテイメントを見ながら物を食べる。そのときの一番最初の、eye eAtとはやっぱり、メニューなんですよ。メニューを開けて、中が活字で、みんな食べ物を想像していくと。でそういうときのデザインにはやっぱり、ソール バスの力ってすごくあったんじゃないかと思って。

[江良]
当時はだから多分、外食がよりスペシャルな、

[八木]
そうですね

[江良]
体験であって、今もうちょっとこうなんかね、より、どうコンビニエントにしてこうっていうような種類のメニューがね媒体なってきちゃったから。

[八木]
この後にね、やっぱりデザイナーが動き出したのが、LPレコードなんですよ。

[江良]
はい、1階のね。

[八木]
そうだからやっぱり、メニューがあって、次LPレコードがあって、僕が84年に行ったときには、Annual Report(年次報告書)だったんですよ。一流企業のAnnual Reportのデザインをするっていうのはもうグラフィックデザインにとったら夢なんですよ。

[江良]
なるほど。

[八木]
はい。それぐらいやっぱり、時代と共にそういうデザイナーが発揮できる、そういう媒体があったんですよ。

[江良]
なるほどね。

[八木]
もうこれは全部ないんですよ。もうみんなデジタルに変わっちゃったから。

[江良]
今そういう、まぁ一般的にっていう言い方がいいのか、もしくは八木さんでもいいですけども、今のグラフィックデザイナーが何かこう、メニューから来て、LPレコードが来て、Annual Reportが来て、なんか今はどういうものがこう花形なんですかね。

[八木]
今のグラフィックデザイナーはなんかな。

[江良]
なんでしょうね。

[八木]
無駄なもん作らないことじゃないですか。いや本当に。あのジャン プルーヴェみたいにね。

[八木]
だからやっぱりデザインできないものを、作るなって本当そうだと思うんですね。僕またちょっと話飛ぶんですけども、谷口さんと、広島の清掃工場、広島中工場をやったときに、やっぱり谷口さんが、僕と仕事するんだったら、あの日本のゴミ焼却炉を最低五つ見てきてくれと。で、まぁ五つも見なくてちょっとごまかしたんですけども。笑 行くとね、本当ゴミってこんな汚いとこで、だからゴミ焼却炉の、もう普通のとこってね、あれ見ただけでみんなゴミもっと捨てたくなりますよ。本当。谷口さんのコンセプトは匂いのしない空間なんですよ。

[井田]
素晴らしかったですね。

[八木]
あそこ行くとね、汚いものをみんな見せてんですよ。

[八木]
なるほど。

[八木]
全部中見えるんですよ。そのときに谷口さん言ったのは、やっぱりチリも積もれば山となると。一番大きなゴミはやっぱり人間じゃないかと。いや本当。

[井田]
痛い。

[八木]
やっぱりそれぐらいね、やっぱりね、その隠すのはやめて、やっぱり露出しようと。やっぱり綺麗なところ見たら、人間やっぱりゴミ捨てなくなるんじゃないかな。

[井田]
本当そうですよね。

[八木]
今回あの、ドライブ マイ カーの場面でね、なんか、2、3分、その場所で撮影されて。今、広島で原爆ドームの次ぐらいに、世界、日本の観光客は多いんですって。

[八木]
ということでやっぱり、環境、ゴミ、やっぱり食べることをね、やっぱり食べることってこれからどんどん環境が、これね、温暖化の問題もあってね、作れない、もう砂漠化する。やっぱり食べること、ですね。特にその、無駄にしないことですね。はい、これはもう日本でも、いわれているんで。

[井田]
そうですね。

[八木]
八木さんは、だってあの面接のときに、いわゆるね、事務所の面接のときに、なんかどういうグラフィックのそのリファレンスというかねポートフォリオがあるかっていうことの前に、あの料理がうまいかっていうことを聞かれるっていう話をまえされてたけど。

[八木]
僕らも、ずいぶん前からね、社員の料理はみんな作ろうと。大体1時間以内で作る料理。やっぱりロスに行くとね、やっぱりこれはサンフランシスコそうなんですけど、やっぱり1時間以内にね、スタッフが出て帰ってくるっていったらね、食べてる時間って本当ないんですよ。そういう人ってみんなね、残ったサンドイッチとかね、やっぱりちゃんとしたもの食べてないんですよ。

[江良]
うん。うん。

[八木]
それだったらやっぱり作ることね。で昨日も僕たまたま、僕が一番尊敬してる、日本の横山さんっていう人がね、これ何年前かな、百味存という素晴らしい本出されたんです。これ青山3丁目の裏にあった、あのレストランなんですけども、もう素晴らしい本ですね。その横山さんの本見るとね、下拵えがずっと出てるんですよ。料理本でね。この下拵えの写真がものすごい綺麗なんですよ。もうそれだけで、もうなんか食べ物が伝わってくる、想像するとね。僕よく言うんですけど、やっぱりグラフィックデザイナーもあのデザインする前ってほんまデザイン、グラフィックデザインなんて下拵えですよ。どういう紙にどういうType face使って、どういうふうに印刷するっていうのはね。そういうことが整理できたら、結構いいデザインが、いいデザインかどうかわかんないけども、クセのないデザインが、こうスラっとできんじゃないかと。よくご馳走て、足を運ぶって書いてね、昔ってのはやっぱり、魚は自分で歩いて魚屋さんに行く、野菜は野菜さんに行く、ってやっぱり行きながら、いろんなねものを想像しながら、動いてやっぱり作るってすごい重要ですよね。今もうね、コンビニエンスストア行けばね、刻んだネギまで売ってる時代ですからね。それで本当に、もう物を作るんじゃないと思うんですね。そういうものを使って、うん、なにか詰め込んでるっていう。

[江良]
でも本当、僭越ながら、あれですね、八木さんのデザインとか、そのアートワークも、基本的にはそういう、なんですか、ちょっと変になんかね、ゼロからこねくり回して云々というよりも、なんかそういう日々の料理とか、日々の何かそういう八木さんのそういうね、地に足ついたというかね、その普通のこの生活の中の感覚とかが、すごいこう、そこから何かシンプルにね、整理されたものがぱっとこう出されてるような気がするんですけどもね。

[八木]
今言われたように、こねくり回さないこと。

[井田]
そうですね。

[八木]
アリス ウォータースさんと話したときに、どのようにして料理を作られるんですかっていったら、こねくり回さないこと、って言われたんですよ。料理っていうのは、生で食べる。煮る。後スティームする。もう本当簡単な処理で、その素材がそのまま生きて体に入ると、体のためになると。こねくり回しちゃうと、形が崩れる。味がわからなくなる。そうでしょ。これデザインでも一緒だと思うんですけど、シンプルなるものっていうのは、もすごいコミュニケーションが早いと思うんですよ。

[江良]
ああそうですよね。

[八木]
もうぐちゃぐちゃしたら、わかんないもんね。

[井田]
わからない。

[江良]
そうですよね。

[江良]
あとあれですね。シェ パニーズで修行したことある、原川伸一郎君っていうシェフがいるんですけど、今長崎とかにいる。彼言ってたのは、やっぱりね、素材が主役だってね。何か、シェフが主役じゃないんだと。だからまぁ、こねくり回す、という言葉ではなかったかもしれないけど、あまりこう手をかけすぎると、主役である素材が、素材が伝わらなくなっていくってことをおっしゃってましたね。

[八木]
だからやっぱり料理界で、やっぱりレストラン業界も、やっぱりその時代時代で、どのようなアイディア、工夫でね、レストランが成り立つか、これ井田さんと数年前、一緒に行った、あの有名なnomaに行ったときね、僕らがあそこ初めて行ったときに、その時代はシェフがスーパーに行かずにシェフが山に行って素材を探しに行く。もうこれで時代っていうのが、ものすごく変わったんですよ。

[江良]
本当のごちそうの。

[八木]
そうそう。やっぱり自分がいって、摘み草、もの取って、

[井田]
山の中に入っていってね。

[八木]
それが全部そういうシーンがね、出てくるディッシュの器に全部演出されてるんですよ。だから普通だといえば普通のことなのね。だから変にね、スーパーで買ってきた料理でね頭の中でストーリー作るよりかは、自分が山に入って、摘み草、ものを摘んでくるだけでも十分ストーリーが作れるんじゃないですか。



[江良]
でも本当に、日々の生活の中でもね、僕たちなかなか毎日山行ったり海行ったりはできないけれど、でも自分たちが知ってる農家さんと知り合いになって、ね、擬似的にどういうところから作られてるものかを手に入れていくこととか、やっぱり自分の手でそれを料理して、ちゃんと味わうこととか、何かそういうような便利じゃないようなプロセスっていうのは、やっぱりもう今、そういうプロセス抜きには何かクリエイションが難しくなってきてるかもしれないですよね。

[八木]
アメリカ、特にカリフォルニアなんかね、環境問題になるとね、うんやっぱりその牛肉を食べるっていうのは、やっぱり育てるためにどれだけの牧草、土地をね開発するっていうので、それと僕らのある程度、歳になるとね、やっぱりその動物性のものを食べるより、もうこの、パンデミックのときぐらいからちょっと始めたんですけども、そのヴィーガン食ね。で、まずくないんですよ。最近僕らヴィーガンのバターっていうの使ってるですけどももう本当、もうわからないです。

[井田]
カシューナッツですよね。

[八木]
全部植物性なんですよ。で、あるレストラン行くとチーズセットってあるんですよ。なんでこれヴィーガンレストランなのにチーズセットがあるいうたら、全部植物性。それがね美味しいんですよ。

[江良]
そこは大事ですよね。

[八木]
大事。だからね、よく日本の有名なマクロバイオティクのオーソリティがうまくないものを我慢して美味しく食べるほど、体に悪いものはないと。だからみんなね、オーガニックとかね、そういういうとなにか美味しくないんじゃないかと、思うんですけども、ただ今は全然違うんですよ。

[江良]
なるほどね。

[八木]
ニューヨークの3スターのトップレストランも全部ヴィーガンにしましたからね。

[江良]
そうですか。

[江良]
はい、ということはね、そういうところがやらないとね、まぁそれがいいか悪いか問題にしてね、やっぱり時代の流れ、本当に。僕今回ね、日本に来てね、もう昔会う人が全部お酒やめてんのね、本当に。いやもう最近やめましたって。ちょっとびっくりしたね。

[江良]
へえ。やっぱり健康。

[八木]
健康なのかな。飲まないほうがシャンとするんだって。で、朝も起きれるって。

[江良]
それは間違いないですね。

[井田]
時間の使い方は変わりましたよね。かなりパンデミックでね。

[八木]
そそ、それはやっぱりパンデミックでしょうね。

[江良]
そうでしょうかね。

[八木]
やっぱりこれ、ほとんどアメリカのカリフォルニアの会社はもうみんなリモートワークでしょう。

[江良]
そうですよね。

[八木]
そういうリモートワークというのは、家でボケっとしながら、でも、いつかあったとき対応できないと駄目だから、やっぱり自分の今までのスタイルをどっか変えないとね、というのがあるのね。

[江良]
そうですよね。

[八木]
僕ね、今、今回ヴィーガンのバター持って来ているんだけれどもね、ちょっと皆さんに食べさせたいぐらい、いや、本当にわかんない。

[江良]
そうですか。日本だとまだそこまで、無いですね。

[井田]
そうですね特にレストランなんかでは。

[八木]
もう最近ね、一流、人気の街の一流レストランさんには、必ずビーガン、そんなあのヴィーガンレストランなんて書いてないんですよ。

[井田]
当たり前になってきてるっていうことですよね、それは。

[八木]
ニューヨークで有名なね、ブッチャーズドーター(Butchers daugter)っていう、お店の名前ね、ヴィーガンですよ。

[八木]
へえ。

[八木]
肉屋の娘(Butchers daugerの意味)っていうレストランがやってるんですよ。笑

[江良]
それはあのいわゆる、普通というかノンヴィーガンのメニューもあって、ヴィーガンのメニューも。

[八木]
いやもうヴィーガンのメニューしかないんですよ。

[江良]
しかない、面白いですね。

[八木]
でも、僕ら日本のゲスト黙って連れて行くと、みんな食べてるもんね。美味しいって。

[井田]
気付けなかったりして意外に。

[八木]
いや、全然気づかないですね。僕らね、Impossible burger、Impossibleっていうね、植物性の大豆をベースにしたお肉使ってるんですけど、全然わからない。

[江良]
そうですか。なかなかまだね、日本はそのレベルまでその、まだ、いってないのかもしれないけど、そろそろ来るんでしょうね。

[八木]
いやそろそろ来ると思うね。絶対来ると思う。

[井田]
そうですよね。

[八木]
日本は早くて、すぐ冷めるから。笑

[江良]
冷める。笑 なんかいろんなものを流行させて、消費させて、なんかね

[八木]
Butcher's Son(肉屋の息子)なんかいいんじゃ無いか 笑



[江良]
ハハハ 笑

[江良]
面白い。でもね、そういう意味だと、どんどん変わってきますね、これからね。やっぱり食べることってね、食べることは生きることって言われますけどもね。

[八木]
それとやっぱり食べることっていうのはね、自分が決めれるんですよ。

[江良]
そうですね。はい。

[八木]
自分が今日は、ちょっと疲れたって言ったら、軽い物食べれるんですよ。人からダメとは言われないです。だからやっぱり自分で選択できる、一番重要なことなんですよ。

[江良]
なんかあまり、コンビニエントに、まぁコンビニ、時間がないからコンビニエンスストア使ってもいいかもしれないけども、それもチョイスであってね、何かでも、何回かのうち一回は自分で作ってみるとかね、何かそういう工夫とかを、されていくとでもやっぱちょっとこう、ちょっといい方向に変わりますかね。

[八木]
いやだから僕らもね、昔、昔っていったらおかしいんですけど、やっぱり京都に来るとね、コースメニュー、うわぁいいなと思って。もう最近コースメニューのレストランはいかないもん。まず、それだけ食べれないと。それとやっぱり、今日僕はできたら、あっさりしたもんで、でおそうめんなんとかいったときには、やっぱり自分のチョイスで食べたいでしょ。

[江良]
そうですね、うん。

[八木]
だからどんどん変わってくると思いますよね。

[井田]
そうですね。

[江良]
うん。でも、まずそういうチョイスをね、なんかみんなそれぞれ、何かこう、ちゃんと考えて、なかなかこう、都市の中で時間が流れていくと、なんかあんまり考えないで、食べちゃってたりしますからね。なにか八木さんのクリエイティブの、やっぱり食べることが一つあれですよね、八木さんの場合は。

[八木]
食べるっていうことはね、やっぱりすごい重要だと思いますよ。やっぱり食べるっていうのと、やっぱり誰と食べるっていうのとね、誰と作るとね、やっぱりそれですっごい情報が僕入ってくると思うのね。だから僕たまに日本に来て、やっぱり食べる人と会っていたら、もうすごい情報が入る。あまり食べることに興味のない人と食事してたら、本当、無駄な時間になる。笑

[八木]
そうやっぱりね、食べることってね、みんな好きな人ってね、やっぱり生き生き、自分のね、経験をね、そこ行ってみようかとかね、そのときに何がいいのって言ったらね、いや取れたてのこういうものとかね、そういうものって、なんかやっぱりそういう会話ってのはもうすごい重要だと思うね。

[江良]
それはそうかもしれないですね。食べることに興味が持ってない人は、なんか全体的にこう、無関心、いろんなことに関心が低いとかね、好奇心が低い人なのかも、知れないですね。

[井田]
本当にね、食べることってクリエイティブですよね。

[八木]
そう、ものすごくクリエイティブ。



[井田]
本当にもう、何を買いに行くかっていうところから、どう調理するかっていうところまで。

[八木]
最近アメリカもね、パンデミックで映画作るのがすごいバジェットがなくて、すごい落ちているんですけども、Netflixがやっぱりすごいドキュメンタリーを作ってる。Chef's tableなんてものすごいいいですよ。最近の。

[江良]
大好きです。

[八木]
一番最近の最高。

[江良]
最近シリーズ、はい。

[八木]
これテーマがピザなんですよ。

[井田]
ピザ、見なくては。

[八木]
これはね、もうコンセプトもいいしね、もう世界一流のピザ職人が集まってやってるんですよ。すごいいいですよ。

[江良]
すぐ見てみます。

[八木]
ピザはアートだって言ってましたね、本当。

[井田]
Pizza is art. でも限られたあの形の中ですごいですね。そこに可能性があるの。八木さんが作るピザはおいしそうですね。

[八木]
僕はね、やっぱりね、ピザはドゥが命なんですよ。ドゥを作れないとピザ職人にはなれないんですよ。

[江良]
八木さんも、なんかいいドゥね、すごい作りそうですね。

[井田]
すごいもの作りそうですね。

[八木]
ドゥは生きてるからね。そうだから、ちゃんとドゥが動いているときは、あの作り手そばにいないと駄目なんです。それぐらいやっぱりコミュニケーションがあるといいますから。

[井田]
センシティブですね。すごくね。笑

[江良]
いやでも本当に、ねそんな八木さんと井田さんが、こういうeyeeAt展やるのはもう必然的だったかもしれないですね。これはもう明後日まで今。明日まで、はい。

[江良]
じゃあ、いろいろお話聞かせていただいて、ありがとうございましたなんですけども、ちょっとこれからの八木さんの、あのこれからもいろいろご活躍あると思いますけれども、10月21日から10月25日まで、京都kojin kyotoで写真展を、これ八木さんが企画されてるんですよね。

[八木]
そうですね。うちの娘と僕と、井田さんとか、みんな仲間で。この人はジェリー ベックリー(Gerry Beckley)っていいまして、あの有名なアメリカ「名前のない馬」を、17歳の時に作曲して。で彼は日本武道館にも何度か来てるぐらい、日本にも。で彼は旅行しながら、去年もね1年間のうち200日間アメリカツアーやってるんですよ、いまだに。旅行先でホテルから窓から撮った写真を家族に送るんです。「今お父さんはケンタッキーにいます。」と。だから、そういう写真とね、彼はやっぱり自然が好きで、シドニーとベニスに住んでて、その海の写真をね、裏表で作った写真展をやります。



[江良]
いや、すごい、すごい綺麗な写真ばっかりで、ちょっとWebサイトから皆さん見ていただきたいですけれども、10月21日から

[井田]
10月21日から10月25日まで、が京都のkojin kyoto、こちらでやります。

[八木]
ジェリー ベックリー(Gerry Beckley)も、デザイン、アーキテクトが好きで、あのジャン プルーヴェ展をめがけて来るんですよ。多分ジャン プルーヴェ展をやってなかった来なかった。嘘、嘘。だからギリギリに来て

[江良]
でもこれ、八木さんの、ご近所コミュニティのかたってことですよね。

[八木]
そうですベニスの近所ですね。

[江良]
いやでもやっぱすごいなアメリカ。

[八木]
すごい、あの、すごい素晴らしい人です。いつも普段着、そのいつも普段着がかっこいいんですよ。ジャン プルーヴェの家具みたいですよ。

[江良]
いやそうですね。でも八木さんのコミュニティのなんというの、世界観とかね、そういうのが、ジャン プルーヴェもそうだし、ジェリー ベックリー(Gerry Beckley)もそうだし、なんなんでしょうね、そういうこう世界観というかね、なんかこう雰囲気みたいのって

[八木]
彼もすごい日本料理好きだし。

[井田]
本当ですか。

[八木]
今回、パトリックセガン(Patrick Seguin)もね、彼もすごい日本料理好きだし。

[江良]
あのジャン プルーヴェ展を共同企画された、フランスのかた?

[八木]
そう、フランスね。

[八木]
彼の自宅から歩いて1分から2分のとこに、あの、緒方さんがパリに店出されて、すごいいい。彼、1週間に3回ぐらい食べに行くらしい。

[井田]
うらやましい。

[江良]
そうですか。じゃあね、皆さんも、いや本当に素晴らしい写真なんで、ぜひ皆さんドーバーストリートマーケット、見に行っていただきたいと思います。
(*写真展「Gerry Beckley’s America」10月21日〜10月25日 京都、kojin kyotoにて)

[江良]
はい。はい。

[八木]
どうもありがとうございました。

[江良]
今日ははい、

[八木]
最後の方はもうカットしてもらってもいい。笑

[井田]
ありがとうございました。

[江良]
ありがとうございました。今日はアートディレクターの八木保さんと、井田順子さんとお話させていただきました。ありがとうございました。

[八木]
どうも。ありがとうございました。