kurkku alternativeは、都市生活者が自然や地域、生産者や隣人とのより良い関係性について一緒に学び、生活を循環型、コミュニティ型にシフトしていくために取り組める、オルタナティブな仕組みを提案していきます。

alt-Tokyo 最新のエピソード

#024: 原川慎一郎さん: BEARD オーナーシェフ : インドにて:等身大の循環の村、協力しあって生きていく世界、有機的な役割とつながり


原川慎一郎:

東京都内、フランスのレストラン勤務を経て、2012年 目黒にレストラン「BEARD」をオープンし、同年よりChez Panisseへ毎年研修に通い、有機農業と食を通したサステイナビリティについて知識を深め、日本全国のオーガニックファームの開拓に勤める。2017年にはChez Panisseの元総料理長ジェローム・ワーグと共に神田にオーガニックレストラン「the Blind Donkey」をオープンし、日本のレストランにおけるオーガニックやサスティナビリティの重要性を提唱。

2020年12月、長崎県雲仙市で40年以上種をあやしながら有機農法で在来種野菜を栽培している農家・岩崎政利さんに感銘を受け、その大切さを伝えるべく拠点を東京から雲仙市に移し、レストラン「BEARD」をオープン。

現在POPEYEにて「定番料理のニューディール」を連載中。

instagram: shin.harakawa

Key Words: 

インド, オディーシャセメラ村, バンジパリ村, ライプール, ジャイプール, 紡績工場, クラフト, コミュニティの喪失, 自治, Grow Organic

エピソードを読む:

<2024年12月19日 / デリー:インディラ・ガンディー国際空港のカフェにて収録>

[江良]

今回初めてのインドだったんですよね。どうでした?

[原川]

行く前は、経験よくある人たちにも脅かされたというか、絶対お腹壊すよとか、色々緊張させられたんですけど、実際行ってみて、絶対お腹壊したりするかなと思ってたんですけど、本当に中馬君も行ったらむしろ体調良くなったみたいなことも、なるほどって思ったくらい、僕もすごく調子が良かったですし、そういうストレスみたいなものはあんまりなかったのが、まず一番滞在するにあたっての驚きでしたね。

[江良]

やっぱり最初まずオディーシャのね、コットンフィールドの(ある)セメラ村、そのあとバンジパリ村というところに行くんですけど、やっぱり野菜は当然フレッシュだしね、あとスパイスもフレッシュな感じでね、そこにあるもので、そういう意味ではシンプルに料理していることが多いからなのかなって、僕はなんとなく思った節があるんですけど、料理人の原川さんから見たらどう思いました?

[原川]

いや、そう思いますね。先にオディーシャのセメラ村とか行った後に、この後他の街に出て行ったわけですけども、途中からセメラからライプールに帰る道も結構長いから、途中ちょっと止まってくれたりしたじゃないですか。そういう時点でも結構、街に行けば行くほど匂いがするし、

[江良]

そうだね。

[原川]

あの村って本当にすごく田舎ですけど、本当に牛も一緒に共存してて、牛の糞だったりも全く匂わないし、むしろいい香りがしたぐらいだし、なんかこう、皆さんの村の家もすごく質素だけど、すごくきれいにしてて、トイレとかもすごくきれいだったし、むしろあの村の方が、すごく安心で、清潔で、だったなって思って。だからすごくいい。食べ物も豊かですし、みんな自分たちでちっちゃな畑やってて。

[江良]

そうね。あれ結構いいですよね。家の後ろにね、なんて、ファミリー、なんて言ってました。なんとかガーデンって。なんだっけね。ファミリーガーデン。

[原川]

うんうん。

[江良]

普通のなんてことないね、ちっちゃな家なんですけどね。じゃあパパイヤの木があって、とかね、ナスが植ってて、トマトが植わってて、チリ(*唐辛子)があって。みんなやってるよ、みたいなね。なんかほんと自然、まあ土があってね、その自然があって、その上でね、自分たちが本当にその、まあほんと循環っていう言葉を使って、等身大に循環っていう言葉が当てはまるような、なんかそういうような場所でしたよね。

[原川]

ほんとに、ガーデンも、まあ街に来てそれを同じこと聞いたら、そんなことはみんながそうではないよとは言ってましたけど、村のあのエリアの人たちはみんなが、家の裏でそのちっちゃな畑をやって、自分たちの食べるものを作ること。もっと言うと、あの結構種も普通にとっていることは、なんか自分たちの生活の一部で、大事にしてるし、楽しんでるし。同時に、あの僕らは、結構何人かの人言ってたんですけど、環境愛護家なんだ俺たちは、みたいなこと言ってる人も多くて、だからなんか、自分たち畑やることもその自然との、共に生きていくことが、本当に日常。で、大切なことなんだっていうことも言ってたりして。そういうところは素晴らしいなと思いましたし。

[江良]

原川さんと僕たちは、最初のオディーシャに4日ぐらい行って、でね、そこであの”グランディング・クッキング” みたいなことをしてくれて、まあそれはちょっとまた別の機会にちゃんと紹介する機会があればと思いますけど。で、その後、まあ一緒にね、ジャイプールに行って、今度は西の方に移ってきて。で、僕たちそこから、紡績工場っていう、糸を作ってる工場に、まあ僕と中馬くんも行って。原川さんは一人で残り、いろいろ見てたんだと思うんですけど。

[原川]

はい。

[江良]

まあジャイプールもすごい街でしたね。

[原川]

そうでしたね。うん。クラフトが。

[江良]

なんかクラフトがね、なんか、クラフトね、なんか王様が来て、街を作って、ここはじゃあ、宝石職人通りとか、ね、ここはじゃあ、プリント職人通りとかね、はいはい。なんかそういう街づくりをするようなことだったっていうけど、なんかすごいこう、奥深いが感じしましたよね、なんか。原川ストーリーになんだっけ、あの、世界一古いアーユルウェーダのお店とかね、あるんだ、そんなお店がね。なんかそういうこう、だいぶインドってね、昨日僕、インドの人と話したんですけど、インドってこう、もう村には村の世界があって、街には街の世界があって。とにかく世界が多面的にすごいあって。そういうほんと多様性の国で、通常はその世界がなかなか交わらないんだって、まあそれは良い意味でも悪い意味でも。まあそれ多分ね、カーストとかいろんな歴史的なものとか、いろんな、まあ文化的なもの、宗教的なものね、いろいろあるんでしょうけど、なんかそういうこう、多面的なインドを初めて見て、なんか思ったことあります?

[原川]

なんか、その上で、またもう一つ、みんなが共通して思っているんだなっていうこと。かつなんか、僕たち日本人がちょっと忘れてしまった大切なことっていうのが、ここにはまだすごく濃く残ってるんだなって思ったことが、ほんと、セメラ村でも、みんなが言ってたのは、自分たち、自分だけで生きてるんじゃない。村のみんなで、協力して、豊かになるんだって。だから自分だけの欲じゃないし、で、あの、そもそも、もうそうやっていろんな理由で、まあ階級の差だったりとか、いろんな理由で、あの、その、ほんと保険とかもほんとないんですってね。だから、そもそも、一人じゃもう生きていけないんだっていうことを、みんなが自覚しているんだなって。本当に協力し合って、みんながそれぞれ頼りにし合って、助け合って生きていくっていうことが、ある意味それ以外の選択肢はない。

[江良]

そうだねえ。

[原川]

でもそれを豊かに思ってやってる。村の人たちは自分たちでみんなで協力し合って豊かになっていこう、街だと会いに行ったアーティストの子たちはいろんな工芸の職人さんとかいろんな人たちと一緒にものづくりしていて、日本的価値感でいうと、もっと縮小して自分たちだけで作って完結するってこと、は考えたりしないのて言ったら、彼らの立場で同じようなことを言ってて、やっぱり、みんなで、僕らは僕らで自分たちだけではなしえないから、誰かの助けが必要で、職人さんたちも彼らは彼らで安定した仕事がやっぱりあったら嬉しい。お互いに助け合いながら、共に生きてるんだって。それが、彼らが上に立って、上から雇ってるって感じじゃないんですね。

[江良]

そうでしたよね。

[原川]

お互い様で、お互いの役割を果たして、ようやくなしえる。だからなんか言ってたんですけど、時々職人さんが気分が気ままで、突然、次の日来なくなって、10日間くらい来なかったりすることも全然あるんですって。

[江良]

へええ。日本的考え方で言うと、もうね、ちょっと厳しいね、ありえないだろうみたいなね。

[原川]

首切るとか。でも、そうじゃなくて彼は彼の価値観があるから、それもリスペクトして、それも含めて一緒に働く。彼のことも理解して、自分たちが出張でいかなきゃいけない時は彼らが守ってくれるし、本当お互い様だから、そこにいちいち効率を求めたら、いいものなんて作れないって言ってたんですよ。彼らは。だから、それはすごく勉強になるなって思いました。

[江良]

いつもね、この前も話した時も、本当に僕たちの豊かさなんだろうとか、あとね、今回、原川さんは僕たちと話したことにすごい興味を持ってくれて、一緒にいろんなものを感じられたけど、日本のこれを聞いてくれる人たちとかが、どうしても日々効率、生産性、利益、そういったものの中に、大なり小なりに囲まれて生きている人が、結構ほとんど、

いっぱいいらっしゃるわけだから、そういう中でね、じゃあどういうふうに僕たちはそれを実践していけばいいかとか、じゃあインドに移住してこようか、みたいな話でもなかなかないから、そこらへんは何か、僕たちがどういうふうに受け止めて、日々やっていけるといいと思います?

[原川]

そうですね。なんか思ったのは、特に都市部を拠点で生活している方たちは、やっぱり日々の基本的な生活を維持するために、働かなければいけない水準がより高いだろうと思うんですけど、だからそれは続けていきながらも、その中でちょっとお休みの日なのか、なんだろう、でも、その、そういうこととは全然違う、、、例えば分かんないですけど、お金を使わないで休みの日を、どうやって楽しく、自分で友達と家族と、例えば子供たちと過ごせるか、みたいなことを、半分遊びでやってみようとするとか。

[江良]

そうね、面白いかもしれないですね。つまり、やっぱりそういう、都市だと、よく都市課題の一つは、コミュニティの喪失だとか、結構わかりやすく、教科書に出てくるような感じで言われるけども、でも本当に実際、都市に住んでいる人がどれぐらいコミュニティを求めているのかとか、さっきインドの村で感じていることは、多分僕たちも、それこそ去年来て、すごい一緒にやりたいなと思ったのは、本当にそういう、僕的に言うと、自治っていうのかな、みんなで自分たちの力、世の中はやっぱりよくできるのは、自分たちの生活をよくできるのは、やっぱり自分たちだから、それもやっぱりみんなで協力して、いい方向をつかみ取っていくんだ、みたいなのは、結構ナチュラルにあるっていうようなところが、結構すごい、ハッとさせられたところで、今年もやっぱりそれはすごい思ったんですけど、なんか、東京にどうそれをインストールするか、ってただ1年間ぐらい考えても、なかなか難しくて。でもやっぱり、ちょっとお金とかじゃなくて、効率でもなくて、ただ、自分たちが、より楽しいこととかね。そういうようなことで、もちろんお金はね、食料かお金とか使ってもいいわけなんだけど、お金を使って、お金の多寡で、お金を使う金額の高で得られる、なんかその刺激だったりなんだか、当然高いレストランに行ったら、それは最高の経験はあるにしろ、高い洋服を買ったら、もちろんその、なんか対価はね、あるんだけど、そういうんじゃない、人とのつながりとかの中にある、なんか自分が自然に、楽しいと思えるようなものとか、気持ちいいと思えるものとか、安心するものとか、それをやっぱり見つけていくような作業とかは、すごい大事な気がしますよね。

[原川]

なんか、もしかして面白いかもしれない(ってことなんだけど)、僕が、あんまりそういう経験がないから、いやもうそんなのやってるよって人たち、もうすでに日本にもいるかもしれないですけど、ちょっと思ったのが、何かしらの、何でもいいんですけど、遊びでもスポーツでも、キャンプに行くとかでも、ある種のグループを作って、それぞれに、なんかプロフェッショナルがあって、でもみんな違う特技がある人たちで集まって、例えば今僕ら、中馬君と江良さんと3人で、例えば中馬君はわかんないんですけど、キャンプに行った時に火をおこして料理するのが外で得意で、江良さんはわかんないですけど、森の中でどこに川があって、とかわかんないですけどどういう食べ物が自生しててとかそういうのに例えば長けててみたいな、で、僕はわかんないですけど、じゃあテントをシェルターを作るのが得意でみたいな、お互いが頼りにしなきゃいけないグループを作って、みんなで何かをするっていうことを遊び半分でやってみるとか。

[江良]

それは本当にね、そのジャイプールのあのアーティストグループのやってることですよね。

[原川]

そのやっぱりあの今回の旅の途中で、ある政治家さんだった方で、引退された方とちょっと会う機会があったんですけど、その方は、面白かったのは、まあ結構海外もいろいろ見てきて、なんかなんとなくアメリカどうでした、みたいな話をしたら、ああいい街だったけど、アメリカは裕福な人でも結構自分でいろいろ自分の身の回りのことをしていて、あれが不思議だと思った、と。

[江良]

うん なるほど。

[原川]

僕は誰かが身の回りのことをやってくれないと生きていけなくて、もう本当に何もできない人間だから、僕もこの人たちがいないと生きていけない人間だから、頼らなきゃいけない。だから一人じゃ生きていけないって彼も言ってたんですよ。だからなんかやっぱりそういう本当にちょっとさっきの話に戻っちゃったんですけど、まあそうやって本当にお互いが助け合うっていう状況を、何かしら遊びでもいいと思うんですよ。ちょっと作るっていう何かことをやってみたら。少しなんか、

[中馬]

グラウンド・クッキングもそうですよね。あの石を持ってくる人がいて。つるはしで深く炉を掘っていく人がいて。

[原川]

そうそうそう。

[中馬]

薪持ってくる人がいて。何か砂糖持ってくる人がいたり。

[原川]

そう。あれすごかったよね。あれ、本当に、ノーストレスで、みんながわらわら来て、すごい、しかもさ、すごい一瞬で全部出来上がったじゃないですか。だから、普段から彼ら、あれがもう当たり前のようにチームワークしてて、なんか、ちょっとお前何やってんだよ、何かやってくれよ、とか、指示してる状況、ほぼなかったですからね。みんな、流れるように状況を作って、あれ、素晴らしいですよね。

[江良]

とかね、例えば、あと、ほら、最初の日行った時に、お祭りやってたじゃない。あれも、結構、結構な、ヤグラみたいの、立つんだけど、あれも、多分、村の人たちだけで立ててたりとかするわけですね。

[原川]

そうでしょうね。

[江良]

やっぱり、何て言うのかな。あと、結婚式のパレードとかも、まあ、あそこね、1900人の村だって言ってたけど、みんなみんなが何か役割を持って、パレードの時は太鼓の人、踊りの人、みんなが役割をちゃんと持ってるんですよね。

[原川]

あれがすごく、もちろん誰かしらが指揮してるとは思うんですけど、だいぶ有機的にみんな動いてますよね。やらされてる感はあんまりないですよね。素晴らしいですね。

[江良]

そうですよね。だからどうだろうね、僕たち東京にいると一人でも生きていけるとか思うけど、そこら辺はどうなんだろうね。だから一人でいけると思う分、その分SNSとかこういう携帯とかに依存してたりとか、Netflix、YouTube、X見てるとか、精神的な何かに対する依存とか。食べ物ももうコンビニとかオリジン何とか弁当とか、いくらでも何か、水も水道も基本的にはインフラもあるから、一人で生きていけると思っちゃいがちだけども、それが豊かじゃないとも言わないけれども、もしかしたらあんま楽しくないかもしれないとはちょっと思うかもね。

[原川]

うん。なんかだから何て言うんですか。そうやって生きていけるのかもしれないし、それは都合がいいことの反面というか、一方で

[中馬]

やっぱり途切れちゃってる感じがありますよね。

[原川]

それって結構不安もあるしやっぱり老後どうやって一人でとかってなるじゃないですか。やっぱり一人で元気なうちはいいですけど、やっぱり老後の心配とか、みんなしてるでしょうし、村にセメラ村に行った時、もうなんかね、みんなでみんなの面倒を見るから

[江良]

OKみたいなね。

[原川]

そうそうそうそう。

[江良]

やっぱり本質的に誰かの役に立ってるっていう実感みたいのは、やっぱり非常に生きていく上では豊かに生きていく実感を持ちやすいものだよね。

[中馬]

生活して年を重ねていった先にある姿が悪くないなって思える感じが、すごい近くにあるような気がちょっとしたんですよね。セメラ村で。

[原川]

そうそう。おじいちゃんおばあちゃんとか年配の方たちであれば、、まあ、みんなかな。年配の人たちもすごい体元気だし、目の活き活きとしたキラキラした目は、やっぱりそういう豊かさがそこにあってくれるからですよね。

[中馬]

それがすごい簡単に想像しながら生きていけてる感じっていうのはすごいなって。

[原川]

老後の不安みたいなのは絶対ないだろうね。何かだからそのやっぱり何かしらの形でこうなんて言うんですか、頭の中で人間は一人で生きていけないとかって理解してるつもりでももうちょっと体感として何かしらのこう味わうことができていくと、何か面白い世界はあるんじゃないかなと思うと、この本当にGrow Organicのプロジェクトは、僕そこの架け橋になるようなあの世界に触れられるかもしれないきっかけになるなと思いました。

[江良]

なるほど。やっぱり一人じゃなくてみんなで生きていくのが楽しいよとか、やっぱりみんなで助け合うみたいなことの大切さとか豊かさみたいなことが、なんかそういうのの架け橋になっていけるといいってことだよね。

[原川]

そうですね。

[江良]

なぜならそういう世界と、着ているコットン、綿を通じて物理的にも繋がってるし、

[原川]

そうそうそうそう。

[江良]

今ね、あとそういう意味だとね、今回、でもね、みんな仲良くなったよね。

[原川]

うんうん。

[江良]

今回も一緒に行ってくれたカメラマンのnumaさんとかね。お、numaさん来たー、みたいな感じのね、人気者やな、みたいなね。そういうのとかね。そういうこういろんな交換をね、もっといろいろやっていけるといいでしょうしね。

[原川]

うん、なんかだからこれを、Grow Organicの洋服を買うことが、扉きっかけになって、その農家さんたちが、まあ僕が思うに、どういう暮らしをしているのかっていうようなことになんかいろんな形で触れられる、覗ける機会が設けられた、ちょっとそのなんていうんですかね、ヒントが見えてきたり、本当に気になったら一緒に行ってみようか、みたいなこともできるかもしれないし、と思いましたね。

[江良]

そういう機会だったり、まあ今回もいろいろ映像をね、今回は特にいっぱい撮ったんでね、そういうことも服と一緒にね、感じてもらえるといいし、更にその先の何かこう、一人じゃない、何か助け合っていく、そういう仕組みみたいなね、洋服だけでもなくね、多分食でもいろいろね、まあ食は結構そういうのはねやりやすい分野かもしれないし、もうちょっとね、都市のコミュニティみたいなこともなんかできることもいろいろあるかもしれないし、そういうのはね、いろいろまた来年なんか一緒に考えていきたいですね。

[原川]

なんか本当にこう、SNSを使って、これから江良さんと中馬君もまたより現地の方たちと仲良くなられたと思いますし、また彼らと話し合ってちょっとなんか本当にね、現地のあのすごいかっこいい服装のおじいさんとか。

[江良]

あ、おじいさんね。

[原川]

オレンジのあれ良かったですよね。どっかでインスタでぜひあげてほしい。僕も写真撮った。

[中馬]

みんなね、撮ってましたからねあの人。だからちょっとインスタとかで。

[原川]

ああいうセンスをちょっと切り取ってあげたりとか、本当にあのキッチン見せていただいて料理、あれすごく良かったし、ああいう風景ちょっと向こうで撮ってもらったりとかね。あとお祭りの風景もすごいなんかね、みんなあの生き生きしてたし、なんかそういう景色がこのプロジェクトとしてちょっと覗けたりしたら面白いし。今度、僕今回ね一緒に連れてっていただきましたけど、なんかいろんなジャンルのアーティストの方とか、いろんなジャンルの人を連れて行って、なんかそこで現地の人と一緒にやってみるみたいなのもすごく面白そうな気がしました。

[江良]

面白そう。確かに。そういう意味だとね、今最初に話してたみんなで協力し合うみたいなことっていうのは何にでも通じる話だからね。食だけじゃなくてね。

[原川]

そうです

[江良]

いろんなことができるんでしょうね。本当にいろんなヒントになりうるっていうことです。

[原川]

いやなんかすごく豊かな未来へのヒントになるような気がしましたね。

[江良]

おお綺麗な。綺麗な締めだ。

[原川]

本当に、本当に思いました。

[江良]

素晴らしい。ほんと今回お忙しいところ、2週間ぐらいね、ありがとうございました。

[原川]

いやー本当にでも、江良さんがもう2007年からですか。このプロジェクトをまあ本当に今回伺った時に、あの何て言うんですかね、ちょっとお世辞というかヨイショじゃなく、江良さんがそこからもうずっと続けてきたから、今回一緒にお邪魔して彼らの信頼があってやっぱこうやってできたんだなって、僕も一緒にストレスなく過ごさせてもらえたんだなと思うと。ずっと続けて、

[江良]

続けるっていうね、価値はあるよね。

[原川]

関係を続けていくっていうことのやっぱ賜物だなと思うと続けるってすごいなって思いましたね、それも思います。

[江良]

ぜひ、またいい形に続けてね、長く続けて、僕たちも長く学んだりねいろんなものを交換し合っていきたいですね。最後中馬くんに一言締めてもらいましょう。

[中馬]

はい。えーそうですね。急に振られて、何も考えてなかったですけど(笑)、来年再来年とこのプロジェクトは続いていきますし、少しずついろんな形でプロジェクトのことを来年また紹介していけたらというふうに思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。ということで本当の最後の締めは江良さんから。(笑)

[原川]

なんすかこれ(笑)

[江良]

そんな時間ないでしょう、もう。ボーディングだからね。

[原川]

行かないと。

[江良]

じゃあもう本当にね、本当にありがとうございました。またよろしくお願いします。

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いかがだったでしょうか。その後、日本に帰ってきた年末のある日、インドでのゆったりとした豊かな時間を経たからなのだと思いますが、自分の周りのものが記号なんだ、とふと思った瞬間がありました。

その時僕はパタゴニアの古着のフリースを着て、玄関から出ようとしたときだったのですが、ふと洋服でなくて、記号を着ているんだ、と思いました。

なんでそう思ったか、後から思い直してみると、一つは、パタゴニアのロゴがついていることが大きいんだと思います。固く言うと、「他の人との差別化」の記号としての服で、自分の「個性を表現する」服ではない。そもそもパタゴニアは地球にいいことをしていますが、実際にこのフリースが地球や社会にとっていいわけでもおそらくなく、情報やイメージに操作されている自分もいます。そもそも都市にいるのでそこまで防寒などの機能にシビアになる必要はありません。

他者との関係性の中での記号性がシビアな問題なのです。村で感じた、つながりが見えることや助け合うこと、と比べるとこれが豊かさにつながっていかない一つだ、と思いました。それで正月にフランスの思想家、ボードリヤールの本を読んだのですが、その中にこんな一節がありました。

「貧困とは財の量が少ないことではないし、目的と手段との単純な関係でもなく、何よりもまず人間と人間との関係なのである。未開人の信頼を成り立たせ、飢餓状態におかれても豊かに暮らすことを可能にしているものは、結局、社会関係の透明さと相互扶助である。ー ジャン・ボードリヤール. 消費社会の神話と構造 新装版 (p.90). 株式会社紀伊國屋書店. Kindle

シンプルな記号化されていない社会。自然にある資源をもとに生活し、だからこそ助け合う生活があれば、財が少なくとも、豊かなのだと。僕たちが近代化や都市化の中で失ってきた豊かさの一つと言えると思います。

で、最後に、もう一つ、インドでのエピソードをシェアさせてください。

旅の終わりにラジャスタンのビルワラという地区にあるコットンのワタから糸を作る工場と、布を織る工場を訪問しました。洋服はコットンから糸を作って、生地を作っていく、工業的なプロセスが存在します。

GrowOrganicでは、ここでワタを糸にして輸出していて、初めて実際に訪問しました。とても広大なキャンパス、東京ドーム何十個分くらいのスケールで、ZARAやH&Mなどの世界的なブランド向けに大量に糸と生地を作って販売しています。完全に自動化された紡績設備など、生産性を極限にあげた、世界最新鋭の設備がインストールされていました。今後数年でインドは世界3位のGDPになると言われてます。中間層が増える、すなわち人件費が将来上がっていくことを見越して、今から最新機器を導入して長期的な成長に備えています。今年は、広大なキャンパスと同じ大きさのものを隣に作って、今度は爆発的に増えるだろう国内マーケットに向けた生産体制を整えるそうです。

成長に向かう勢いをすごく感じましたし、僕たちにもボリュームだったり、上向きのトラジェクトリーを求められます。

ゆっくりとした時間を過ごした村から数日後に、グローバリゼーションの最先端地に辿り着きました。豊かさを求める人間の経済活動の現実の競争の世界でした。そこにも向き合っていかないといけません。

それにしても経済活動と自然とのせめぎ合いの両極端を同時に感じることができる、インドの多様性、懐の深さは本当にすごいですね。

また今年の12月に面白いビジットができることを目指して、今年もとりくんでいきたいと思います。

(写真:穴見春樹

#023: 原川慎一郎さん: BEARD オーナーシェフ : 生産者の顔が見えること、消費地である都市の役割、自分ごとを楽しむ、コットンを介した価値の交換

  原川慎一郎東京都内、フランスのレストラン勤務を経て、2012年 目黒にレストラン「BEARD」をオープンし、同年よりChez Panisseへ毎年研修に通い、有機農業と食を通したサステイナビリティについて知識を深め、日本全国のオーガニックファームの開拓に勤める。2017年...

#022: 葛西龍也さん: 一般財団法人PEACE BY PEACE COTTON 代表理事 : 永続する社会価値と企業、インドのコットン生産者支援活動、Grow Organic、私たちの豊かさ

#021: 堀田真代さん: NacreArc創業者兼CEO: 住民視点からみた2023年イスラエル ハマス戦争、襲撃されたキブツから避難した人々の状況、取り戻したい日常、アラブとユダヤの共存

#020: 浜野安宏さん: 映画監督、ライフスタイルプロデューサー、生活探検家: さよなら東京、経済原理主義の日本、琵琶湖でのプロジェクト、山に入ること、現場を歩くこと

#019: 新井和宏さん: 非営利株式会社eumo CEO:「お金とは何か」という人生の問い、共感資本社会、使うほど幸せになれるお金を目指して


#018: たかはしよしこさん: 料理家: 美瑛への移住、目の前のものを見てあげること

#017: 今野満寿喜さん: ラムヤートオーナー: 自分でよく生きること、楽しむこと、地域への感謝と恩返し

#016: しゃけのかわ:「POWER BOYZ」

#015: drop around: デザインユニット: 洞爺湖への移住、得意なことで自給率をあげていくこと、地域のコミュニティと物技交換

#014: 佐々木麻紀さん: 佐々木ファーム代表 : いのちを運ぶ農業、繋がり、ちきゅう留学

#013: 堀田真代さん: NacreArc 創業者兼CEO: イスラエル、岐阜、東京の三拠点生活、キブツと個人主義、コミュニティ主義

#012: 林厚見さん: 株式会社スピーク共同代表 /「東京R不動産」ディレクター: コレクティブ、コーポラティブなデベロップメントの主導権、楽しい高齢化社会とサヨナラライブ

#011: 江良慶介: 中馬剛仁: ありがとう2022年、楽しみだよ2023年

#010: オオニシタクヤさん: エネルギーデザイナー: ソーシャルミッションを軸に創ること

#009: 保良雄さん: アーティスト: 存在を存在として認めること

#008: SIDE CORE: アーティストコレクティブ: 都市への視点

#007: 八木保さん: アートディレクター: 西海岸から再発見した日本の美意識、暮らしに溶け込んだ社会貢献、食べることはクリエイティブ

#006: 四井真治さん: パーマカルチャーデザイナー: ご自宅に構築された農的なくらしを支える循環型システム

#005: 四井真治さん: パーマカルチャーデザイナー: 四井さんのこれまでと、農的な暮らしのすすめ、風越学園とのプロジェクト

#004: 意識する都市の課題

Projects

Grow Organic

インドコットン生産者からプレオーガニックコットンを購入し、オーガニック移行を支援するプログラム。商品購入代金の一部を移行支援活動に寄付し、生産者、消費者と共にオーガニックの畑を育て広げていきます。

alt-Tokyo

alt-Tokyoは、都市生活と循環にまつわる課題を学びながら、一緒に取り組めるオルタナティブな仕組みを作るプロジェクトです。ポッドキャスト配信中。

Reborn-Art Festival

宮城県石巻市を舞台としたアート、音楽、食の総合芸術祭。被災地が前に進むエネルギーを生み出すため、地域の魅力や人々とアーティストとの交流から作品を作り、地域と都市の交流を生み出すことを目的としています。

東北コットンプロジェクト

東日本大震災の津波により稲作等が困難になった農地で被災した農家が綿(コットン)を栽培、紡績から商品化・販売を参加各社が共同で展開することで地域支援を行うプロジェクトです。

プレオーガニックコットンプログラム

インドでオーガニックコットンへの移行期間に収穫された無農薬綿を買い取ることで、農薬被害が存在するコットン農家のオーガニック農法への移行を支援するプログラムです。

関連Projects

KURKKU FIELDS

千葉県木更津市にある農と食とアートをテーマにした、これからの人や社会の豊かさを提案する「サステナブルファーム&パーク」。株式会社KURKKUが企画・運営しています。

Company

株式会社 kurkku alternative
代表取締役 江良 慶介
hello@kurkku-alt.jp

江良慶介
慶應義塾大学環境情報学部卒業。1999年よりシスコシステムズ合同会社など外資系IT企業に5年間勤務の後、バックパッカーを経て、2005年にKURKKUへ入社。2007年より、インドで農薬被害に苦しむコットン農家のオーガニック農法への移行を支援する「プレオーガニックコットンプログラム」を伊藤忠商事と共同で立ち上げ、年間約1,500農家の支援を実施。2011年、グッドデザイン賞サステナブルデザイン賞(経済産業大臣賞)受賞。また、3.11以降、津波により稲作ができなくなった農地にコットンを植え、雇用創出と地域再生を目指す「東北コットンプロジェクト」を発足させ、プロジェクトの事務局代表を務める。2012年3月より、ap bankにて復興支援事業を担当。2016年よりアーティストの力で地域の内側からの復興をうながす「Reborn-Art Festival」を立ち上げ、制作委員、副事務局長を務める。2020年より株式会社KURKKU、並びに株式会社KURKKU FIELDS代表取締役社長。2022年、株式会社kurkku alternativeを立ち上げ独立。
instagram : @keisukeera