Table to Farm x Grow Organic Tシャツ

1 Low stock

サイズ:
販売価格 ¥6,600通常価格
通常価格 ¥6,600
税込。 配送料はチェックアウト時に計算されます。

食べる人がつくることに関わりはじめるための、新たなフードシステム「Table to Farm」と、インドのコットン農家と協働し、農薬に頼らないオーガニックな暮らしへの移行を支援する「Grow Organic」によるコラボレーションTシャツです。

バックプリントの写真は、岡山県新見市で50年近く、一人で竹の谷蔓牛(たけのたにつるうし)をつないできた生産者・平田五美さん。竹の谷蔓牛は、かつて日本各地にいた希少な在来和牛で、黒毛和種の祖先とも言われます。肉質は深い旨味と香りが特徴で、脂はあっさりとしながらも滋味豊か。現在では全国でも数十頭しかおらず、まさに“幻の和牛”と呼ばれる存在です。

平田さんは、効率化や大量生産とは無縁の、自然と調和した飼育方法を半世紀にわたり守り抜き、この貴重な血統を現代へとつないできました。「Table to Farm」は、その血統を会員とともに未来へつなぐ挑戦を続けています。その姿勢は、Grow OrganicがTシャツ1枚あたり20円をコットン生産者に寄付し、オーガニックでより良い暮らしをともに築く活動とも重なります。いずれも経済効率よりも質や持続性を優先し、地域の風土と人の営みを未来へと引き継いでいます。

本Tシャツは、インド・オディーシャ州セメラ村とバンジパリ村の28人の生産者から購入した、農薬を使わず育てられたプレオーガニックコットンで制作。着ることで、その物語を共有し、持続可能な未来をともに考えるアクションとなります。

写真

峰岡 歩未

サイズ

【ウィメンズ F サイズ】着丈:60cm 身幅:47cm 肩幅:40cm

 【メンズ Lサイズ】着丈:72cm 身幅:61cm 肩幅:54cm

【メンズ XLサイズ】着丈:74cm 身幅:64cm 肩幅:56cm

注釈

  • 写真はサンプル商品です。
  • 本番はデザイン改善のため以下変更が発生しますのでご了承ください; 
    • 背中プリント位置が少し高くなります(首下2cmに変更)
    • 首ネームプリント色が黒からグレーに変更になります
  • ご注文いただいてから約1週間ほどで発送作業をいたします。
Table to Farm x Grow Organic Tシャツ
販売価格 ¥6,600通常価格
通常価格 ¥6,600

podcast "alt-Tokyo"

#025 相馬夕輝さん: Table to Farm ディレクター・発起人 : 新しいフードシステム、日本の食の実情、知ることで深まる味わい

記事の掲載場所: 2025年8月20日

photo:ayumi mineoka

相馬夕輝
Table to Farm ディレクター・発起人

郷土料理や食文化をフィールドワークとして学び体験してきた経験を活かし、食べる人がつくることに関わりはじめるための、新たなフードシステム「Table to Farm」を2022年より始動。2025年、構築したフードシステムを元に会員制のスーパーマーケット「 Table to Farm 」をオープン。

ブランドディレクション、商品選定、ウェブメディアや食事会などの企画編集及び執筆を担当しながら、日本各地の生産者を巡る。

また、D&DEPARTMENT PROJECT 飲食部門「つづくをたべる部」ディレクターとして、その土地の食材や食文化を活かしたメニュー開発や、イベント企画なども手がける。 2024年、初の著書となる食分野での活動をまとめた「つづくをたべる食堂」出版。
webサイト : ⁦ https://tabletofarm.jp/⁩

Instagram : @tabletofarm.official

Key Words: 

Table to Farm , D&DEPARTMENT PROJECT , ヒカリエ(d47(d47 MUSEUM / d47 design travel store / d47食堂)), 土居純一(こんぶ土居),   BEARD , 原川慎一郎,  野洲 , d design travel , (食品)添加物, 真昆布, うま 味調味料 種を継ぐ, 郷土料理,   ケの料理, つづくを食べる食堂, 天然醸造, 木桶, 丸大豆 , 自然栽培,  有機栽培,  竹の谷蔓牛, 素の味, 亀の尾, 旭, 慣行栽培, らくだ坂納豆, 三尾農園, 熊野のしらす, 皿垣開(さらかきびらき)漁協、成清海苔店, 坊津の華,  百姓庵 , 雲井窯, 木桶サミット, ヤマロク醤油, Grow Organic, あるところ, eatrip kitchen, KOMB, organ, 紺野 真

エピソードを読む:

[江良]

本日のalt-TokyoはTable to Farmディレクター・発起人の相馬夕輝さんをゲストにお迎えしております。今日はよろしくお願いいたします。

[相馬]

よろしくお願いします。


[江良]

じゃあまず僕の方から相馬さんのプロフィールを読まさせていただきます。郷土料理や食文化をフィールドワークとして学び体験してきた経験を活かし、食べる人がつくることに関わりはじめるための、新たなフードシステム「Table to Farm」を2022年より始動。2025年、構築したフードシステムをもとに会員制のスーパーマーケット「Table to Farm」をオープン。ブランドディレクション、商品選定、ウェブメディアや食事会などの企画編集及び執筆を担当しながら、日本各地の生産者を巡っていらっしゃいます。またD&DEPARTMENT PROJECT飲食部門「つづくをたべる部」のディレクターとして、その土地の食材や食文化を活かしたメニュー開発や、イベント企画なども手掛けます。2024年、初の著書となる食文屋での活動をまとめた「つづくをたべる食堂」を出版されました。


[相馬]

はいありがとうございます。


[江良]

あらたまって笑


[相馬]

そうですね不思議な感じ笑


[江良]

不思議な感じもしますけど、じゃあまずちょっと相馬さん、相馬くんでいいですか?相馬くんの人となりをですね、掘り下げてみるところから始めたいんですけども。まず相馬くんといえばやっぱり最近は食のちょっと求道者というか、やっぱりFacebookとかでもみんなチャラいというか日常のことというよりも、結構こういったものを見つけたとか、やっぱりもの大事だよねとかやっぱりそういう発信が増えたというかね、そういう気がするんですけども、そもそもそういう食っていうものの分野に入っていくきっかけっていうのはどういうところだったんですか。


[相馬]

僕は大学を卒業してすぐにD&DEPARTMENTに実は入ったんですよ。本当だから20数年前で、その当時は食のこととか全くやってなくて、本当にユーズドを買い付けてきてリペアをして販売したり、あとはその中でいろんな地域のものとか取り扱うようになってきて。同時に入社して5年6年ぐらいでひょいっと社長になっちゃったってなったんですよ。それでいろんなプロジェクトやり始める先頭で動いていくようなことになったので、地域のお店の立ち上げとかもやって、自ずとやっぱりその土地の食文化とか知っていくし、いよいよ渋谷のヒカリエに2012年かな、立ち上がることが決まって。そこは47都府県を網羅して全国のそういう活動してる人たちを応援するための拠点にしようって言って、その場所でミュージアムとショップと食堂、飲食ができるスペースを作るときに、それぞれのいろんな地域で伝統工芸とかクラフトとか、そういったものももちろん関心を持って見てたんだけど、なんかこう食のこと面白そうだなと思ってた自分もあって、じゃあこの食の立ち上げのところから、その時は多分社長もしてたんですけど、社長兼任でこの飲食部もやりたいって言って手挙げて。会社の社風的にも、やりたいんだったらやってみたらみたいな感じもあったから、そうそう。そこから本当始めて、でその当時多分一番最初に食のことって言ってもわかんないというか、どんな食材を仕入れたらいいんだろうみたいなところから始まってたので、とにかく自分の中の考え方を身につけないとなっていって、いくつか出会ってた人たちが今も一緒になんか仕事したりしてるけど、一人は大阪の昆布の土居さんっていう問屋さんなんですけど、要は昆布の目利きで、大阪の昆布出汁文化も支えたような、今も支えてるし。でこの人に会ったことであ食材にはどうやら良い作り方と、そうでない作り方があるんだぞみたいなことを学び、じゃあいろんな生産者を見ていく中でも、なんかここの添加物入ってるのおかしくないか、とか、そういうことを学んできた。で、もう一方では料理人の人たちとかを自分の部下のように抱えていくのに、料理のこと何にもわからないのもちょっと違うなと思って、そこでなんかじゃあこっそり勉強しようと思って話しかけたのが、あの雲仙で今BEARDっていうお店をやってる原川真一郎シェフで、まあただのしんちゃんって呼んでますけど、しんちゃんのお店の常連さんだったんだけど、「なんかさあ、こんなことやることになって、ちょっと教えてくんない」って言ったら、「じゃあ自分店立ち上げるから、そこで週に一回とか習いに行って仕込みとか一緒にやる?」みたいなノリで。そこから食材の扱い方とかそういうことも学ぶようになってきて、そうやってじわじわとなんだろう、飲食店をやるという担当だったんだけど、食材とはそもそもどうなのかとか、食材を扱うとは何なのかとか、そういうこと自体もすごい興味を持つようになって。っていう感じで今に至っている。なのでちょっとね、説教臭い投稿とかしてるんですよ。笑


[江良]

説教くさい。ちょっとね。笑


[相馬]

考え方発信してると言えばいいんですけど、これはなんか僕を知ってる人からすると「あいつなんかまた説教臭い方言ってるな」って思われてそうだなと思いながら。


[江良]

でもヒカリエができたのは何年とおっしゃいました?


[相馬]

2012年なんで今から13年前。


[江良]

13年前でしかないと言えば、13年前でしかないんだよね。


[相馬]

そうですね。


[江良]

もともと相馬くんはご出身は都市部なのか、もう少し田舎なのかとか?

[相馬]

それこそ本当代表的な郊外の田舎というか、滋賀県の野洲っていう場所ですけど。野洲っていうとサッカーで有名に一回なったから「サッカーの街ね」とか言われちゃうけど、当時もサッカーとか強かったりはしたけど、町的には本当に普通の田んぼがあって、ロードサイドには大きなスーパーがもちろんあって、商店街はなんとなくなくなりそうで、みたいな町でした。


[江良]

そういう時は農家さんとか、そういう生産者さんとか、そういったものっていうのはなんか相馬くんの生活の中ではそんなに繋がりがあったとか、コミュニケーションがあったとか。


[相馬]

全然なかったですよね。やっぱり田舎にいる時って近くにいればいるほどよく分かってないっていうか。ただなんかじいちゃんがお米作ってはいたし、手伝ったりもね、コンバインとか小学校の時にガーッとか言って乗ってたりはしたから、だからなんとなく近いとこに作ってる人はいたなっていう感覚はある。っていうかもう家の周りが全部田んぼでした。


[江良]

でもみんながどういう気持ちでとか、どういう課題があってというのはそんなに考えずにどちらかというとロードサイドのスーパーであるものを買ってっていうような環境で育ってこられたってことは、本当なおさらそういうじゃあ自分で13年前に店を立ち上げる時に、あれ、これどうしたらいいんだろうっていうのは、結構白紙の状態だったってことですよね。でも今最初に大阪の昆布の土居さんからはどういったことの気づきが、最初なんか真っ白でどうしようあれ右と左どっち行けばいいだろうみたいな状態からなんか一つ指針としてあった象徴的な土居さんのエピソードをもうちょっと教えてもらってもいいですか。


[相馬]

当時土居さんと初めて出会ったのは、大阪にお店がもちろんあったんですけど「d design travel」っていうガイドブックを47県作ろうっていうので、今もう30何県、あと10県ぐらいみたいになってるんですけど、当時はまだ3号目から2号目かぐらいで、大阪を作り始めた時で、その時に取材先として出会ったんですよ。土居さんは本当にお父さん、今5代目かな、土居純一さんっていう僕よりも少し年上ぐらいの方が当主としてやられてるんですけど、その前のお父さんの時がまだやられてる時に僕たちは出会っていて。でそのお父さんはやっぱりもう学校で食育のことをやったりとかすごく活動されていて、やっぱりそのお父さんの世代って、添加物が世の中に溢れ出してきて一般になってきたものを間近で生産者として並走してきた世代なんですよね。なので、これじゃ良くないよって戦う意識がすごくあった人達。今でこそ僕らの世代からすると、そういうものがもう馴染んでその中でやっぱりそうじゃないものがいいよねって言って選び抜く人達も一定数いる時代になったけど、その前はやっぱり戦った世代っていうのがあった。で、この戦った世代の言葉をすごくその当時浴びたような気がするんですよね。で今の純一さん、今引っ張られている方っていうのもその意識すごく持っている方なんで、今でも昆布って、もう取れなくなってきてるっていうのが今の大きな課題で。昔は添加物が入ったうま味調味料よりもちゃんとした昆布でお出汁取ろうっていう戦いをしてたんだけど、今どうなってるかって言ったら、もうそんな全員がちゃんとした昆布を食べたいと思っても出回る量じゃありませんよ、っていう戦いをしなきゃいけなくて。何かと言っても収穫量が激減してるので、特に天然の真昆布なんてもうほとんど取れない。ゼロに近い収穫量ってなると、どうやって未来に持続させるのか。天然の真昆布どう作っていくか。みたいなことにその純一さんは今関わられている。この時代の変遷で戦っている姿を横で見ながら、真っ当でね、美味しいものを食べるってそんな簡単なことじゃないんだな、みたいなことを学んだようなところがすごい大きいかなっていうふうに思いますね。


[江良]

ちなみに天然の真昆布が今そんな簡単に食卓で手に入らないっていうのは、担い手の問題とか気候の問題とか原因は何なんですか。


[相馬]

最初は担い手の問題あったんですよ。お父さんの世代、土居さんのお父さんの世代っていうのはうま味調理量に変わってきたんで、ちゃんとした昆布を作っていこうっていう生産者が減ってきたみたいな世代の戦いがあって。今はやっぱり海水温の上昇だとか、割とどうにもできないような問題も多いし、プラス昆布が減ってきたっていうのがあって。じゃあウニで生業を作ろうみたいなことが、函館の生産地とかで結構推進された時期があって、ウニがまた昆布食べちゃうんですよ。より昆布が減っていく。昆布が減ったことでウニも食べるものがないから身が痩せていく。結局共倒れみたいな状態が起こってきて。あとはやっぱり山の養分がどれだけ川を通して海に来ているのかみたいなことの課題もあって、そこにやっぱり関わってくるのはその中間地点でどういう除草剤を使っていたのかとか。除草剤なんて草を枯らすものだとしたら当然海の草の海藻も枯らす可能性はあるわけで、っていうことも繋がっているだろうし。そう考えると本当に複合的な原因が結構関わっていて、どうしようもないものも、人間がどうにかできそうなものも関わっているので、それが原因で今の現状に立っているっていうのはありますよね。


[江良]

あとちょっとぜひ聞いてみたいんですけど、最近うま味調味料論争みたいなのあるじゃないですか。つまり味の素みたいなものは体に悪いのかいいのかみたいな。つまり結構料理研究家とかでも、これかけるといいですね、とか。今でも例えばホリエモンとか「別に体悪いわけないじゃん」みたいな、とか。「いいじゃんそれ使っていけば」みたいな。うま味みたいなのが英語としてもアメリカでも”umami”みたいなことであって。昨日僕たちは昨日中馬君たちと学大で居酒屋行って「このポテトおいしいね」ってみんな食べてて「何が違う?味がちょっと違うね」。何かと思ったら塩だけじゃなくて味の素的なものがあったりとか。そういういわゆるうま味調味料みたいなものって、どういう視点で見るかなんだけども、今相馬君の視点で見たときにうま味調味料っていうのは良くないというかね、何がこうデメリットだとか。どういう風にこう、どういうものだという風に思っていらっしゃいます?


[相馬]

たぶんなんか三つぐらいなんでなく自分の中にあって、一つはやっぱり伝統的な産業の昆布出汁をとるみたいな、文化としての衰退みたいなことは確実に引き起こしてるなっていうこと。あとは味覚の崩壊も結構進んでしまう。割とすっごいわかりやすくて「うまっ」みたいな感じで来るので、繊細な味の違いとか、ほんのり苦味があることの美味しさとか、いろんな味覚って美味しさの種類があったはずなのが、一方向のこっちっていう旨味として、これが美味しいだからみたいな感じの強さがあるので、逆に言うと美味しいわけです、本当に。美味しく感じちゃう。がゆえにその味覚は退化してしまう可能性あるなっていうことと。あとはそうだな、そこに紐づいてくるんだけど、結局その旨味一辺倒だと、いろんな作物を美味しく作ることの努力って無意味に感じさせてしまう。キュウリが本当はキュウリの持っているいろんな味があって、そこを楽しめる社会があればいろんなキュウリを育てる、つまりいろんなキュウリの種を継いでいく、この土地にあった種を育ててみようみたいなクラフト精神だったりとか、そういったものも育つんだけど、もうなるべく味がないキュウリに味の素をした方が美味しいっていう社会になっていたら、なかなかその種をやろうとは思わない。一番効率よく農薬も化学肥料も使いながら順当にしっかり味のない野菜を作っていくみたいなことの方が効率もいいし、安定してもいるし、それを美味しいと感じてしまうみたいなことが繋がってて。ここに行くとなんかすべてがもうそういう集約的なものになっていくので、大きく言うと本当に多様性がなくなっていくみたいなのが弊害にはあるかなという気はしてます。


[江良]

本当にいやでもあれだね。あのプロフィールを聞いてる時からもうどんどんどんどん深くいくから、なんかこうこのままこれの話で1時間ぐらい行っちゃいそうなので、ちょっと一旦プロフィールの方に戻すと、じゃあまあヒカリエが始まって、あれですよねやっぱ食って、本当に47都道府県みたいなことで言った時のどこにでもね、必ず素材にしろ文化にしろ、いろいろあって、そこで今の昆布のことをいい一例のように、いろいろ背景にいろいろあるよねと。原川くんとも料理して食材の扱い方を分かってきたよねと、それで次こう、食って本当に果てしないキリもない非常に広い世界だと思うんですけれども、次に自分の中でハイライトするようなことってどういうこと、何かありました?


[相馬]

渋谷でd47食堂ってやっている活動はいわゆる地域性みたいなのがすごく重要視しているので、地域性の食文化で言うとやっぱり郷土料理とかすごい今そんなに陽は当たってないけど、陽を当てていきたい、このケの料理というか、日常の料理があって、これって昆布が今なくなりそうって意外と知る由があるというか、新聞でも出るんですよ。昆布の収穫量が何トンから何トンになりました、みたいなのが分かりやすいんで。でも郷土料理とか作っている人が何人いるかとかって絶対分からないんですよ。人知れずこのおばあちゃん一人になってたなんてことザラにあって、で勝手になくなっていくみたいなことを感じていて。その郷土料理とかが主戦場だったんで、そこを深めていきながらいろいろ回っていくと、なんか15年くらい前に行ったおばあちゃんがいる町で、いろいろ郷土料理を教えてもらいました。今最近になって15年後くらいに再びその町に行くと、なんとなく15年も経ってるからちょっと違うおばあちゃんにバトンタッチされて教えてくれるのかなって言うと、同じおばあちゃんなんですよ。やっぱりおばあちゃん15年経ってるから、歳もとってるし、ちょっとやっぱり何でもかんでも料理するよみたいな、60代だったら結構いろいろこんな来てくれるんだこんなものって思ってたのが、やっぱりもう何を食べたいの?じゃあそれだけちょっと作っとくね、みたいなことになっていて、これはやっぱり60代からそれを越えてきた時に絶対になっていく体力の低下というか。そうするとその体力の低下とともに、郷土料理を伝えてる人もどうやら減ってる。で、このお母さんたちが減ってるのは料理だけじゃなくて、その料理に使ってた山菜を取る人がもういなくなっちゃったとか、もうどこに生えてるか分かんなくなってきてるとか、作る現場もかなりやる人がいなくなってるみたいなことが紐づいてて。これはなんかもうそもそも原材料のところを、今までの文化のスタート地点みたいなものが作る人が増えていかないと、作りたいと思う人が増えていかないとこれいけないなと思い始めていて、で、このTable to Farmのプロジェクトをやるようになっていったみたいなところがあるかもしれないですね。


[江良]

今のTable to Farmっていうところまで言葉が出てきたんで、まずTable to Farmっていうのが何かっていうのを、まあそういうコンセプトみたいなことか、あとスーパーマーケットというところもあると思うんですけど、ちょっと簡単に。簡単にというか。

[相馬]

簡単にいけるかな笑


[江良]

簡単にというのは難しいところですけど、今手元にね素敵なパンフレットもありますけれども。まずじゃあコンセプトみたいなところで言うと、まあ今もね、相馬くんの本も「つづくを食べる食堂」みたいな本のねタイトルですけど、コンセプトで言うと何がこう一番軸にあると思ってらっしゃるんですか。


[相馬]

そうですね、本当に自分の今までやってきたことが結構連なってきている、その次の取り組みになっているなっていう認識があって、で このTable to Farmはいわばさっき言ったような、もうこれなくなってきて、さっきの土居さんの昆布もしっかりなんですけど、どうやら自分たちがいろんな各地の試食とかをこのTable to Farmではやっていて、それこそ毎週火曜日の夜、5時間とか6時間がずーっと、じゃあ今日はお醤油ですとかってテーマを決めて、じゃあそしたら全国から何十個と集めてきて試食を繰り返すみたいなことをずーっと繰り返していて、自分たちがいいなと思った食材が軒並みもう無くなりつつあるということも知ってきたんですよね。で、例えばお醤油で天然醸造で木桶で仕込んでいて、じゃあちゃんとした丸大豆使っててなんとかでやっていくと、もうやっぱ全体の量のほんと1%以下、もうなんだったら0.1%とか、そういったものばっかりで、でも美味しいと思ったものが軒並みこの日本の生産量の0.1%程度、もしくはそれ以下だってことがわかって、なんかこれはちょっと作ることもそうだけど、食べる人側の買い方とか、なんかいろんなことがもうそもそもフードシステムとして変わらないと、もう残っていかないっていうことの証明はもうされたなっていう気がしていて。じゃあここがでもじゃあこのまま行くと10年20年後は、さっきのおばあちゃんたちの話じゃないけど、どんどんどんどんなくなっていく一方だから、やっぱそこを変えるためのこととしては食べる人たちがもうちょっと作ることに関わり始めたり関心を持ったり、半歩なんかこうできることを探し出すいうことの道筋を作っていく必要があるっていう。それを実現していくためのスーパーマーケットみたいなことを作ろうっていうのがこのTable to Farmのコンセプトで。なので普通だったら”Farm to Table”。農場から食べる場所に届いていくっていう流れなんだけど、これってその流れだけじゃなくて食べる人たちが作ることに関わることもしかりだし、学ぶこともしかりだし、場合によってはそのお金の回し方を変えるっていうこともしかりだし、いろんな関わり方のテーブル側からファームにかかわる方法を考え出す時代じゃないかなっていう意味であえてTable to Farmっていう名前にしていて。これがなんかこうTable to FarmとFarm to Tableがぐるぐるとこう循環してね、回っているような状態ができれば、もしかしたらこの0.1%は0.2%に、もしくは本当に1%に、みたいな未来もあり得るんじゃないかなというふうに思っていて、なんかそういう取り組みですね。ただなんか一般的にじゃあそういう素材、自然栽培とか有機栽培、天然醸造、そういうキーワードだけで選んだら、必ず美味しいかというと割とそうではなくて、そう、意外とつながっているとは限らないですよね。なので試食って絶対ブラインドでやってるんですけど、必ずブラインドでずっと食べ続けて美味しいってなったものの現場に行くと、結果的にやっぱり自然栽培だったんだ、みたいなことに、結果的に出会う機会があって。まあその点で言うとやっぱりそこってつながってるんだな、っていうことでもあるけど、でも同時にふるいにいろいろかけて、やっぱり選べなかった自然栽培だったりするものもあったなっていうのもあって。今の人たちにとっても本当に美味しいと思いながら、で、育て方とかそういったものも背景もしっかりつながっているみたいなものをやっぱり自分たちはなるべく選んで、その背景を伝えていくことで、食べる人たちが何かこうその一つの醤油みたいなものを選ぶときのいい入り口になってもらえたら。その入り口を通してフィルターして世の中の醤油みたいなものを見れば、なんかおのずとね、自分なりにはもうその醤油はじゃなくても自分地域で作ってるこの醤油の中にもこんな良いのあったなっていう風なことは選べるようになっていくかもしれないし。そうするとね、買い方が変わるんで、その参加投票みたいなのは、やっぱりおのずと生産者の人たちも変えるかなっていう気がしている。


[江良]

まずその自分たちが本当にそういういいもの、かつこのままだと無くなってしまうかもしれない まあ素材だったり、そういう食文化だったりってもので、かつ美味しいっていうものが並んでいる。で、お客さんはまず会員になる必要はあるんですよね。


[相馬]

そうですね。


[江良]

あれですよね。会員になった時に会費みたいなものも確か5,000円だっけ?


[相馬]

入会金が5,500円かな。その後2週間に1回、いわゆる農家さんたちとか取り組みを支援するための支援金みたいなものを定期的に2週間に220円ずついただいていくっていう仕組みにしていて。


[江良]

それはもちろんTable to Farmの運営にもなるんだけどもいわゆる農家さんへの支援基金みたいなものをみんなで作っていくということで、テーブルからファームに参加できる支援するみたいなものを作っらっしゃるということだと思うんですけど、その基金というか、220円はどういうふうに使われていくんですか?


[相馬]

実際にオンラインの中では一般の人たちがいろんな商品を買えるようにはなっていて、事業としてはオンラインで購入してもらうっていうことにはなってるんですけど、今の基金とかっていうのをどう使うかっていうと、その中でもこの食材はもう実際具体的にこういうアクションをしないともう続けれない、みたいなものが出てきているものをプロジェクト化させて、そこのための費用に使っていくっていうことを始めていて、今実際に3つぐらいのプロジェクトが走り始めていて、一つは岡山県の新見っていう場所で続いている竹の谷蔓牛っていう純血の和牛なんですよね。その種がもうほんと数十頭しか今もう残ってないんですよ。実はこれ純血の和牛って他にはもう何種かいるんですけど、残りのやつは全部天然記念物になっていて絶対食べれない。もう食べれることも未来永劫やってこないっていうものなので、唯一その純血の和牛で食べれるものになる可能性があるとしたら竹の谷蔓牛っていう牛だけ。これをただ数十頭だと本当種の保存も災害のリスクとかいろんなことがあると岡山県の新見市だけでやってるわけにはいかないから、僕たちの方で数頭買わせてもらって、メス三頭とオス一頭を買わせてもらって北海道の十勝で放牧環境が整えられるような方、さらに赤身肉のものをちゃんと流通させたいし美味しいと感じてるみたいな方に、竹の谷蔓牛のことも支援したいしって思ってもらえる方がうまくつながったので、その方のところに移動させて、今そこで種を増やしていくっていうプランも立てているっていうのがあるんです。それはやっぱり平田さんっていう方が新見で続けられてきたんですけど、やっぱり500頭ぐらいないと種の保存としては厳しいんじゃないかっておっしゃっていて、なので目標としては500頭にしていこうっていうことなんですが、実際この牛が何で減ったかもやっぱり理由がちゃんとあって、物理的に普通の一般的な和牛ってやっぱり西洋種とも掛け合わされてるので和牛といえど、育つのはすごい体が大きくなりやすいんですよね。通常の一般的な和牛よりもこの純血の和牛はやっぱり倍以上の期間がないと出荷できるお肉としての大きさになってこない。

photo:ayumi mineoka

[江良]

経済性が圧倒的に違う。


[相馬]

そうなんですよ。お金もだから入ってくるタイミングも倍以上ってなると、やっぱりみんなやめちゃいますよね。どんだけ美味しくてもやっぱり難しいっていうので、自分たちはだから餌代も倍以上かかるとなれば、何回かに分割してお金が入っていくような仕組みになれば、ある種生産者側もちゃんと価値のあるものとして販売もできるし、キャッシュフローとしても途中でちゃんとお金が入ってくればやれる続けれるっていうことにはなるんじゃないかなと思っていて、なので頭数を増やしつつ、実際にはお金の食べる側からお金の返し方、回り方みたいなものを設計し直すっていうのを、プロジェクトとして今始めているっていうのがあります。


[江良]

みんな会員から全額ではないけども一部は純血の和牛をキープというか、ちゃんとつないでいく、生産者さんに対する栽培っていうか飼育の支援金みたいなものを出しているってことですね。


[相馬]

そうですね。やっぱり精子の保存とか、それをある程度数を買っとかないと、これから増やすために必要になってくるとか、そういう費用が多分全てどんどん必要になってくるので、もう今のその皆さんからいただく支援金だけでは到底足りてはないんですけど、やっぱりそれがあることで、次のそういう仕組みを作っていくことができることには着実に繋がるかなというふうに思っていたりとか。


[江良]

でもちょっと改めて今までの中に触れられているんだけども、経済性はすごい悪いわけですよね。基本的には日本の純日本血統みたいなことで僕食べたことないんでもしかしたらすごい美味しいというか、味はすごいユニークなの間違いないと思うんですけど、それはなんで僕たちは相馬くんはキープ、次の世代に今、途切らせない方がいいっていうのは、じゃあ別にでも西洋の牛食べればいいじゃんみたいな言う方もいらっしゃると思いますよね。これ考え方でいろいろなんだけども、さっきの昆布のことでもおっしゃっていたようにこういう今の純血和牛を次につないでいくということの意味合いってどういうことなんだと思ってます。


[相馬]

やっぱり美味しいんですよ。


[江良]

まず。美味しいんでしょうね。


[相馬]

美味しいんですよね。これが美味しくなかったらやっぱりもう淘汰されてしかるべきかもしれないけど、美味しいので、この美味しさは他の和牛では味わえない美味しさ。すごく味質もしなやかだし、でもなんかジビエみたいな味の濃さというか力強さみたいなのもあるし。なんか体も重くならないですよ、食べてても。なんかこう焼肉屋さん行ってね次の日お腹壊すみたいな、そんな感じじゃないというか、食べてて体が軽くなるけどでもなんかすごく満足度もあるから、そんなにいっぱい食べなくてもいいって気持ちにもなる。そうなんですよね。なんかそれがすごく自然なお肉の味なんじゃないかなと思うと、なんか鶏って結構毎日卵産むじゃないですか。ってことは毎日ぐらい食べてもいいものだったりするなとか思うんですよね。豚ってやっぱり年にじゃあ何頭、でもそれでも一回でね15頭とか産むとかそういう話聞くと、じゃあそのぐらいの、月に何回かは食べてもいいものじゃないかな。牛って年におよそ1頭ぐらいしか産まない。そうするとそのぐらいの食べる頻度になってる方がいいんじゃないかなとか。なんかそういう感覚をなんかお肉に対して持つようになったんですけど、その時のじゃあ1回のお肉って何だったらいいなと思うと、竹の谷蔓牛だったらいいなって僕は本当に思うので、そういう美味しさな気がしますね。


[江良]

本当にお肉ってステーキ屋さんとかで何百グラムをがっつり食べるみたいな、なんかそういうのもあると思いますけど、確かにジビエとかもあれですよね、あんまりそんなに量を取らなくても、少量でも何かこう頂くっていう感覚も含めて、すごいこう満足するというか、逆にそんないっぱい食べれないというか、そういうようなこともすごいあるかもしれないですね。だからやっぱりこういうことやってる、まあ僕もねその今回ね、Tシャツもご一緒させてもらって、農家遡ってそこに対して支援金も出してとかやってると、やっぱりどうしても普通の例えばアメリカでこう大規模でバーッとやって作ったTシャツに比べると、じゃあボディ代倍ぐらいしますね、とかどうしてもこう価格の話とかになってきたりするじゃないですか。こういうのって、その。あれ、Table to Farmって今まで招待制でやってこられたけど今は


[相馬]

今はね7月25日に本ローンチというかローンチをしたので、そこからはいわゆる会員制のみでやっています。


[江良]

今これ聞いていただいてる方もTable to Farmのウェブサイト行けば会員になれる。


[相馬]

いつでも会員になれる。ただ食材が限られている量しか作れないものが多いっていうのもちょっとあって、なので一旦は段階的に上限をつけながら


[江良]

なるほど、会員を開放、会員数が上限があるんですね


[相馬]

その枠の範囲内はもうどんどんいつでも入れるんですけども、もしかすると生産量が追いつかないみたいになると、どっかでちょっと一回ストップっていうふうなことはしていくかもしれないですね。


[江良]

で、会員になって。会員になって、僕気がついたのが、良かったのは相馬くんから手紙が届くんですよね、最初。あれすごい友達ながらもこれいいなと思って。どういう意味合いなのかというか、どういうコミュニティに自分が属したのかみたいなことを、まあすごい分かりやすく気持ちの部分も含めて


[相馬]

嬉しい嬉しい


[江良]

最初にセットしてくれるんでちょっとびっくりしたんだよね、僕はあれ。あとお米がね、最初のお試しっていうのを。


[相馬]

ありますあります


[江良]

お米もそういえば今日はお米を炊いていただいているということでちょっと後で相馬くんの食レポをちょっとやってもらいます笑。お米もすごいね、ちなみに今日用意してもらってるお米とかどういう文脈のお米なんでしたっけ。


[相馬]

今日は僕らがこのプロジェクトを一番最初にやり始めた時に何の食材からやろうかって言った時にやっぱりお米からやろうって言ってたんですよね。そこで本当に色々食べ比べて出会って、これはまさにTable to Farmがやるべき素の味だって言って選んだお米の生産者のお米だったんで、山形県の庄内の方で荒生さんっていう方が作られている亀の尾っていう品種のお米をちょっと今日は一緒に食べながら。


[江良]

でもその亀の尾って多分聞いたことがある人は多分ほぼいらっしゃらないと思うんですけども、ササニシキとかそういうのに比べると、それはなんかどういう品種なんですか。


[相馬]

なんか試食で本当にバッタリであったような感じだったんで当時はやっぱりコシヒカリとかそういったものも食べてたんですけど、それだけがなんか光るように全然違う味をしていたというか滋味深いといえばそうなんですけど、なんかこうすぐ来る美味しさじゃなくてなんかじっくり美味しいというか。で調べるとどうやらコシヒカリとかササニシキとかそういったお米の先祖にあたるようなお米で。これは実はお味噌屋さん別で伺った時に話をしていて面白いなと思ったんですけど、僕ら味覚的にこれはすごく美味しい素の味のお米だなと思いながら、で聞くと、この東の亀の尾、西の旭って言われて、昔品種改良とかが人工的にやるようなことの前の時代に、みんながなんとなく日本人が美味しいと思ってたお米なんだそうなんですね。でそのお味噌屋さんに行った時に聞いたのは、それ以前のお米っていうのは人間というか日本人というかはそんなに美味しいとは思ってはいなかったそうなんです。まあ美味しくないわけではなかったと思うんですけど。ただそのお味噌を作る時の麹の菌はその品種、その昔の品種であればあるほど好きなんだとそうなんですよ。いい生え方をする。で現代品種になればなるほど麹からすると、麹菌からするとそのお米は美味しくないと感じてる。でどうやら僕らが選んだ亀の尾っていう品種はその麹菌も好きで人間も好きなちょうど中間値のようなお米だったっていうことがなんかわかってきて。そこになんかこう人間、僕らがこう滋味深いなと思うような良さが何か潜んでるのかなって言って。なのでそのお米に会った時に、僕らも自分たちの商品の選び方は素の味って言ってるんですけど、そういう言葉もその亀の尾に出会ったことでできたようなところがあった。

photo:ayumi mineoka

[江良]

そうですね、ちょっと「素の味」もちゃんとご説明も伺いたいと思うんですけど。


[相馬]

僕らが食べて出会って、結果、天然醸造、結果、自然栽培だったりしたので、それって元々は日本中みんなやってたようなことだったよねっていう。あそこの中に本来の自分たちが、自分たちの口の中だけじゃないっていうか、体の中から、もしくはそこから反応する細胞が反応するように美味しいと感じるようなもの、それは決して口の中だけが美味しいわけじゃなくてっていうものがありそうな気がして。でなんか試食を回数重ねると、みんな共通してこれが美味しいってなっていくっていうのがあって、これがなんかね面白くて。最初はやっぱこうお味噌とか食べ比べても、みんな自分の出生地のお味噌が美味しいって感じるじゃないですかね、やっぱり。


[江良]

それはね、食べ慣れてるというか。


[相馬]

味覚ってやっぱり後天的にね作られていくものでもあると思うので。ただ試食を何回か重ねていくと、いろんな動物性と合わせよう、植物性と合わせようとか、いろいろ合わせていくと、ずーっとやればこう一つに絞られていくみたいなことが起こったときに、そこはもしかしたら味覚をどこか超えたところに美味しさを感じるようなものになったんじゃないかなと思っていて、それを一言で言えたらなっていうので「素の味」っていう名前をつけました。醤油の素の味を探そうとか、そうやっていろんな食材を探していくテーマとしては。ただ物によって全然素材の定義って変わってくるなっていうのも感じてて、例えばお米だったら結果的に最終自然栽培で育てられたものだけを選ぶようになったんですよね。ただお醤油に関しては慣行栽培で育てられた大豆でも良しにしていたり、っていうのがあって。


[江良]

それは結果的に。


[相馬]

そう結果的に。


[江良]

やっぱり素の味っていうことを追求していくと、そこはそんなに関連してなかったみたいなことなんですか。


[相馬]

なんかね難しいんですけど、もしかするといろんな力みが出てるんじゃないかなって思ったことがあって。


[江良]

自然栽培だ有機だみたいなことで?


[相馬]

多分お醤油でそういう自然栽培の丸大豆を使う、だとするとこのぐらいパンチのある、誰もが違いの明確に分かるお醤油にした方がいいだろう、みたいな人間の思い入れが発生すると、なんかそれが素の味からは乖離してしまうみたいなことが潜んでそうな気がしていて。慣行栽培の大豆を使ってる方が力みがない、美味しいと感じるお醤油がまだあるなっていう風に思ってしまう。ただこれも本当に変わってくると思うんですよね。お味噌は何か自然栽培のお米と大豆でやってるものが存在して、それ美味しいと僕らは思ったし。本当まだわかってないことですけど。


[江良]

そうですよね、その味の相関関係みたいなのはちょっと不思議ですよね。でもなんか、食べるものはそこに相関関係があるのはすごいいいですね。着るものは実は全然ないんですよね。農薬使ってる使ってないで。ほぼないというか、多少なんていうかテクスチャーがちょっとみたいなあるかもしれないですよね。あまりない。


[相馬]

キャリーするような影響はあんまないんですか。


[江良]

基本的にはないですよね。どちらかというと漂白剤とか後工程で生地を作ったりプリントしたりとか、後工程のそういうケミカルのものが残って肌にみたいなことはあり得るんですけど、まあやっぱり物理的に考えて、綿を育てているときに使った農薬が服に残留していることはないんですね。ケミカルに育てないことでなんかちょっとこう綿の品質が柔らかくなっているとか。でもやっぱりどうしても品種の違いとかそういうことの方が決定的に、あと栽培方法の違いとかそういったものがそういった違いほどはやっぱりわかんないんで、なかなか難しいんですけど。でもやっぱりね、お味噌とかは、まあ僕の個人的な体験値経、験値でしかないですけどやっぱりなんか自然栽培のもので作って、普通になんかそれこそそういう味噌作りとかねワークショップとかで大体そういうワークショップとか行くとこう大豆も麹とかもこだわったものをやってらっしゃる方が多いから。そういうところでやって何気なく自分たちで作って、製法もそんなにね、大したあれじゃなくても1年経ってみたら全然美味しいとか。なんか素材のもの、ベースのものがやっぱり発酵食品って引き出されてくるから。


[相馬]

発酵は確かにその素材の良さはやっぱ菌との相性が良い傾向あるかもしれないですね。


[江良]

そこで育てられてとかね。


[相馬]

そうですね。


[江良]

その醤油とかちょっと不思議ですね。


[相馬]

そうなんですよね。やっぱり最後にもしかしたら絞って火入れをしたりとかする工程もあったりするので、人為的なことを最後にもう一回入れるから、お味噌でもそういうこともほとんどしないんじゃないですか。もう入れて終わりみたいなことだから。


[江良]

逆に人柄が出やすいのかもしれないですね。


[相馬]

そうですね、食べてみます?


[江良]

お米? 炊き上がってますか?


[相馬]

炊き上がってますよ。


[江良]

じゃあちょっとぜひ。


[相馬]

今日はちょっとなんかお供も少し用意してるんで。


[江良]

ぜひ行きましょう。


[相馬]

ぜひ食べましょうか。

ちょっと持ってきますね 。


―――――――――――――――――――――


photo:ayumi mineoka

[相馬]

亀の尾とか旭を、炊くための道具も、基本コシヒカリとかの品種を中心に炊きやすい道具がやっぱり一般的になってきている。


[江良]

それは米に合わせて。


[相馬]

本当はね、それぞれの米で表皮の硬さとか、もろもろがやっぱり微妙には違ってくるはず。なんかパナソニックさんとかはめちゃくちゃこのお米の品種みたいなのを、全何十種類に適用して、このお米だったらこのモードみたいなことをやってるものもあるみたいです。ただ僕ら選んでる亀の尾とかはどうやら無いっぽくて、そのモードの中に。よかったぜひ。


[江良]

ちょっとこの今4つある、この飯の友もちょっとぜひご紹介いただいてもいいですか?

[相馬]

もちろんです。今日用意しているご飯のお供は一つは稲藁の納豆です。稲藁で実際に納豆の納豆菌の純粋培養したようなものじゃなく、本当に稲藁で作った納豆ってそんなに多くはなくて、もう多分日本でも数社しかないんですよね。そのうちの一つで大阪のっていうのがもう本当に稲藁をですね、パッケージの中に入れて、そのまま発酵させて作ってて、結構熟成感が出てくる。やっぱ大きな違いは菌が生きているので、例えば納豆賞味期限2週間だとすると大体市販のものって2週間で劣化していって、その後乾燥していくみたいな冷蔵庫の中で。この納豆はやっぱり菌が生きてて2週間後ぐらいか、3週間後ぐらいが美味しさのピークになってくるんですよ。徐々に熟成度が増してて美味しくなっていって、その後は割とトローっと熟した感じが続く。やっぱりもちろんある程度すぎるとやや劣化するというか、なれすぎた匂いが出てきちゃうんですけど、でもそこが結構大きな違いだなっていう風には思ってて。お塩で十分、いらないぐらいですよね。


[江良]

これ本当に主菜になるんじゃないかな、僕納豆好きだからっていうのあるかもしれないけど、美味しいなこれ。


[相馬]

やっぱり結構そこが大きな違いだなって。


[江良]

これはでもあれですね、ちょっと家にあるパック納豆と比べると、ちょっと失礼なくらいな感じの、全然違う味の深みというかね、味の立体感がすごいな。


[相馬]

あとは和歌山県の三尾農園さんの梅干し。自然栽培で作られた梅で本当におじいちゃんおばあちゃんたちが作ってるもの。本当に昔ながらの味というか、素朴な美味しさがちゃんとある。でやっぱ完熟まで樹上でやってるので、その梅の持ってる甘みというか、そういったものもちゃんと味わえるし。


[江良]

本当に梅肉のこのなんていうの、肉が結構すごいしっかりしてて。僕は梅干しには実はうるさい


[相馬]

うるさいんですか。


[江良]

うるさいんです。


[相馬]

先に言ってほしかったな。出さない方が良かった。


[江良]

いやいや、すごい美味しいです。


[相馬]

本当ですか。


[江良]

はい。

[相馬]

よかった。ここら辺は和歌山ですね、ここら辺は。シラスも実は和歌山で、これは尾鷲の方とか、熊野の方か。で結構もうかなり南の方でやってるシラスで、でなんか聞くともうなんか漁協とかそういうことじゃなくもう取ってそのまま自社に持って帰って、40分以内には完成させて、その日の午前中には出荷までする、みたいなことでもう鮮度がやっぱりすごくいいっていうところからこの美味しさが来てるなっていう風には思っててうん。だからふっくらしてて、とっても美味しいんですよね。


[江良]

美味しいですね。これはあれですか。あっちょっと海苔を先聞きましょうか。


[相馬]

海苔は、有明の海苔「優等」っていう商品なんですけど、これはその有明海の中でも皿垣開(さらがきびらき)漁協さんっていう


[江良]

おー笑


[相馬]

皿垣開漁協さんっていう、口溶けが良くてパリッとした食感もあるっていう海苔って、あと色づきが真っ黒でいいっていう海苔って、やっぱり一番摘みの無酸処理海苔っていうのが多いんですけど、その中でもこの口溶けを良くするのは、海苔を最初の段階でこう細かく粉砕するんですよね。この粉砕する度合いが高ければ高いほどやっぱこう細かく散っていっちゃうのでロスも出ちゃうんですよ。歩留まりが悪くなっちゃうのであんまりやりたくないですよね。でもやった方が口溶けが良いっていうのはみんな分かってる。それをさらに厚く海苔に成形させるとパリッとした食感とかが出てくるんですよ。これ厚くするとやっぱり1枚あたり使う海苔の量が多くなっちゃうので、まあ農家さん的には効率は良くない。味はいい。でもこれはみんな分かってる。でこの皿垣開漁協さんはそうなんかそういう海苔が美味しいし、そういうのを漁協単位でみんなでやっぱ応援して作っていきたいよねっていう思考を持ってやられていて、でこれをね福岡の成清さんっていうところが専門でというか、その海苔作りをすごく応援して仕入れて販売をされている方から僕らも分けていただいてる。分けていただいてるというのが本当に正しい表現に思えてくるぐらい生産量がもうむちゃくちゃ減っている。でこれはやっぱ昆布の話であったように、やっぱりこう山というかね、陸側からの有機物が減っていることとか、水温がねやっぱり上がっていることとかいろんなことが原因で有明の海苔はやっぱ少なくなってるっていうのもあって、これもいつまで本当に食べれるのかっていうのは分からない食材の一つかもしれない。


[江良]

なるほど


[相馬]

ただやっぱり地域によってはね、一回この人間が浄化設備を高度にしすぎたがゆえに、きれいな水を海に戻せているけれど、そのきれいな水は海産物というか海藻たちにとっては何の栄養もない、ただの生産物の生活圏を脅かす、薄めるものの可能性はやっぱり高くて。


[江良]

難しいですよね


[相馬]

難しいですよね


[江良]

有機物が含まれてなかったら何にもならないというかね、食べるものなくなっちゃいますもんね。


[相馬]

うん、だからなんかまあ工業排水とかはもちろん浄化しなきゃいけないけど、なんか生活というかね、有機物自体を戻すっていうこと自体はなんか大事で、その点でいうと人間の目線だけできれいな水とか言ってる話じゃなくて、海藻も含めたこう社会としていい水であるっていうことをもうちょっと意識していかないといけないのかなっていうのも、やっぱこう素の味の生産現場をめぐると、すごく学ばせてもらえることが多いなっていうのは。


[江良]

食べるものを作る、自然の中でね、自然の環境そのものがいろんなシステムと社会的なシステムと繋がっちゃうから、さっきねフードシステムっておっしゃってましたけども、こういう活動を通じてそういう社会、生産者さんとのつながりがまず第一だとは思いますけども、そこから先のねどういう社会でどういう環境でそれが成り立っているかみたいなところもいろんな人に知ってもらえるような活動に。でも本当にこの海苔からそこまでつながって考えられるということですよね。


[相馬]

そうなんですよ。結果ね、いい素材があればほとんど料理は生産者の人たちがやってくれているようなものでもあるから、もうなんか本当にこのままでいいよなっていうか、あんまりお米さえ炊けば、冷蔵庫にこの納豆があればもうそれだけでいい十分な食事になっているなと思うと、


[江良]

タンパク質あるし食物繊維もあるから十分ちゃ十分ですよね。体が良くなりそう。健康になりそうな感じですね。じゃあちょっと食べてみましょう。


[相馬]

いただきます。

ちなみにこのシラスねオリーブオイルかけるとめちゃくちゃ美味しいです。


[江良]

まじですか、そのオリーブオイルも気になってました。

これはあれですね、全部Table to Farmで買えるんですか?


[相馬]

もちろんです、もちろんです。これオリーブオイルも美味しいやつ実は選んだんですけど、まだこれ買えないんです。僕らの生産者あるあるなんですけど、連絡がつかない生産者多いんですよ。


[江良]

え、どういうこと?


[相馬]

まずね農場に行っているので、電波が届かない笑


[江良]

なるほど。


[相馬]

あと電話に出る気がないみたいな


[江良]

そういう人もいますね。ごめんなさい、話しあれですけど、これご飯がめちゃくちゃ美味しいですね。なんだろう、この、甘い。という甘いね。びっくりした。


[相馬]

軽いんですよね。なんか食べた後がね。


[江良]

シラスも。


[相馬]

そうこれ食べた時に。本当によくねご飯がおかずになっているとかって言うけど、もう本当にそう思うというか。あんまりおかずなくてもこれだけずっと食べてもなんか食べれちゃう。


[江良]

納豆に塩が良さそうですね。


[相馬]

納豆に塩めちゃくちゃいいんですよ。

納豆自身にもうま味が結構強いので逆に醤油とかのうま味のあるものを入れちゃうとなんか過度に感じられて、お塩ぐらいかって。


[江良]

これ日本酒とかもすごい良さそうですね。


[相馬]

間違いない。日本酒だったらでもこの塩だけでもいいぐらいです。


[江良]

そうね。これちょっとちびちびちびやる感じとか。あ、これはいいな。


[相馬]

塩もなんか面白くて実は鹿児島県の坊津の華っていうお塩を選んでるんですけど、もう一個山口県でも長門の方で作られてる百姓庵さんのお塩をやっててで、これも偶然美味しかったから選んだんですけど、行ってみたらなんかもう環境がめちゃくちゃ似てたんですよ。どっちも共通してるのは、目の前に小さな湾があって、背中に広大な森があってその水が湾に入ってきて、山の有機物がちゃんと湾に入ってきて。で湾の中で、湾ってやっぱり外の海流とは違うので滞留しますよね、有機物とか残ってくれる。だからそこの旨味がしっかり含まれたものを今度炊き上げてお塩にしてる、みたいなことがどっちもすごい共通していて。昔はねなんか日本中海沿いって、結構塩作ってたんだけど、もうやっぱり、今は1回作れない時代があったことで無くなってしまって、そうするとそうこうしてる間に山がやっぱり良くない状態になってるから、今お塩全国どこでも作れるよって言ってもね、同じようなお塩には多分なっていないはず、みたいなのは結構差がある感じだよね。


[江良]

このシラスは冷凍ですか?


[相馬]

はい


[江良]

美味しいですね、これね、本当ね。


[相馬]

冷凍で届いて、でも500g入っているので食べきるのが大変かなと思いきや、意外とちゃんと塩分も効いているから、それなりに保存も冷蔵庫であればできるし、あんまり悪くなっていかないですよね。500gのシラス届くと米の上にドカーンとか乗せてもあんまり罪悪感感じないというか、モリモリ食べる。でも逆に他のおかずいらないぐらい食べれちゃうから。シラスが届いた時は、みんなシラス食べていいんじゃないって思うような。


[江良]

確かに。


[相馬]

時々ね、イカみたいなタコみたいなのも入ってるんですよね、これ。


[江良]

尾鷲でしたっけ?どこでしたっけ?


[相馬]

熊野。和歌山。あの辺りは生産者の方も多いですね、本当に。


[江良]

美味しい。ちょっともうちょっとこれ収録終わったらおかわりしていいですか?

食べちゃった。


[相馬]

本当に食べ続けてるわ笑。


[江良]

美味しい。これでもあれですか。今どういう、さっきもちょっと話しかけたんですけど、ある程度今そういう人たちを支えていこう、参加していこうっていうことで、CSA的にお金も出していくし、あとその実際単価的にもね、今の海苔の製法なんか聞くとそれはスーパーで売ってる海苔とは全然違うものだから、今その反応というか、どういう人たちが今Table to Farmを、会員さんとして入ってたりとか、それいいねって応援してたりとか、どういう人たちのどういうところにこう手応えを感じてるとか。


[相馬]

今実はこのオープンが2025年7月25日で、その半年前というか2024年の10月かな、ぐらいにプレオープンみたいな形で、まあいわば招待制で自分達が知っている人の伝手の中から関心があるという人たちに入ってもらう、みたいなことをまあおよそ半年ぐらいしてて、やっぱりその人たちって、まあこれからね入会される方とはちょっと特殊な人たちではあったかもしれないけど。それだけの中で考えるとやっぱり東京の人たちが割と多くてで、その世代的にはやっぱり30代とか40代の方たちもしくはそれ以上の人たちで、めっちゃリピートされてますね。まだね野菜とかもないしお肉も揃っていなかったし、いう面では全然何も調味料となんかちょっと干物があるぐらいしかなかったんですけど、それでもやっぱり結構リピートしてくれてるのと、まあ特に今お米の問題も結構大きく出てたから、その中で僕らが一部ね、そういう亀の尾、旭ってお米をあの早い段階から扱わせてもらうような約束をしてたことで、なんかそれのリピートの方たちって本当一番多い。それ食べながら結局それの道具も欲しいからってこの家具みたいな金額の土鍋も割とその買っていただいてることが多くて。


[江良]

全然ちなみに炊飯器炊かれたことあります?このお米で。


[相馬]

僕自身がもはや炊飯器を持っていなくて、なのでね炊いたことないです。炊いたことないのか炊いたことないです。


[江良]

どれぐらい味って違うんですかね。


[相馬]

これねやっぱり大きな違いは圧力のかかり方と熱が本当に全方位からしっかりかかってくれる違いがあって、この土鍋やっぱり玄米も浸水なしで炊けちゃうので、それぐらいこう圧の効きがいいんだと思うんですよね。そこの違いは結構出てくるかもなぁっていう気がしますよね。

[江良]

さっきの一口食べたときに明らかな普段食べてるお米との違いみたいなこと言うと、絶対秘密ありそうですね、この羽釜自体羽釜じゃないのか羽釜…じゃなくて土鍋です。

[相馬]

この雲井窯さんも本当に料亭にあつらえるような土鍋しか作っておられなくて、僕らも取引、僕らよくあるあるなんですけど、取引したいですって言うとだいたい1回目は必ずと言っていいくらい断られるんですよ。もう作れないからって言って。そこをなんとか話だけでもしに行きます、みたいなことで入ってって、こんな生産者僕らいたりしましたよ、みたいな話とかもいろんな話をして、そうするとじわじわとなんかお前らのやってることはちょっといいことかもしれないなって言って、ちょっとだけ分けてもらうみたいになったりとか、特にこの雲井窯さんは亀の尾、旭っていう品種自体を僕ら応援したいと思ってるってことにすごい共感してくれて、じゃあそういうお米を炊くための道具がお前らは知らないだろう、みたいな、じゃあちょっと作ってやろうみたいな話になって、取引がダメって言われたのが、いきなりじゃあオリジナルで開発しようになっちゃうみたいな。なんか非常に僕らが何かっていうわけではなくて、選んでみたその生産者の人たちとどうやら他の作り手の人たちが共感する部分が結構高いんだなっていう風に思っていて、これからもし先のことでやっていきたいなと思うと、やっぱりその作り手の人たちのコミュニティみたいな、素の味コミュニティみたいな、作り手の組合みたいなものを、いろんな情報交換がされたりとか、やっぱり農家さんたちとかも含めて作ってる人たちとは非常に孤独な戦いをされているっていう話もよく聞くんで、なんかその人たちがね、ちょっと他でこういうトライアルしたらよかった、みたいな事例を共有するだけでも、もしくは悩みを共有したりとか、僕らが間に立って聞くっていうような、そしたらなんかあっちでこんな事例ありましたよって実際起こったりもするんですけど、もしかしたらもう直接皆さんがね、それぞれでやり取りできるようになっていくとなんかいいなっていう風には思ってて。それを思うのはなんか実はそのD&DEPARTMENT PROJECTの方で木桶サミットって僕ら定期的に応援して参加してるんですけど、木桶職人復活プロジェクトっていうのがなんかあるんですよ。これ何かっていうと、醤油蔵の人たちが日本でもう一人しか醤油を仕込むような木桶を作れなくなって、大阪のある企業だったんですけどね。その人ももう60、70でもう来年やめようと思います、みたいなリリースが醤油蔵の界隈にリリースされた時に激震が走り。で、これもうどうすんのってなって、で、その小豆島のヤマロク醤油さんの山本さんたちが中心になって、じゃあこれ作れるようになろうって言って習い始める。それを応援するように全国の蔵元が毎年正月から1月の末ぐらいに集まって、みんなでもう何十個作るみたいなことになってきて、今やっぱりその当時から比べると作れる量が増えたんで、木桶の醤油がもともと1%って言ってたのが2%ぐらいの割合で増えつつあるんですよ。それってもうこの蔵元がどうこうじゃなくて、みんなで応援してみんなでやれば、これってこうね、1%のパイを食い合うもんじゃなくて、2%でみんなでしようっていう動きを本当に業界としてやれば変わるチャンスはあるっていうことをすごく証明しているなと思って。僕ら0.1%まで行ってるものが多いですけども、それもやっぱりもしかすると彼らのようなことを作ってる人たちみんなで変えていけば。


[江良]

そうですね、僕たちもGrow Organicっていうオーガニックコットンのプロジェクトも、コラボレーションっていうのが結構テーマで、みんなでこの地域を良くしていこうっていう農家さんと一緒にやってるんですよ。やっぱりどうやってみんなで力を合わせて次に進もうとやれるかっていうのがすごい大事だと思うんですよね。そういう意味だとやっぱりただ僕たちも見えてないのは。どうやってこう都市生活者、消費者ですね、いわゆる消費者をどうそこに一緒にコラボレーションに入ってもらうっていうのがすごい課題で、なのでこういう相馬くんみたいに食のところでちょっと当然状況とか課題感は違うところもあるけども同じ方向性でやってらっしゃる方と今回コラボレーションさせてもらいたいってお願いをさせていただいたんだけども、始めてみて、ちょっと繰り返しになっちゃうけどどうやっていわゆる一般の消費者の人たちに巻き込んで一緒に参画してもらうっていう、Table to Farmのこの一番の元のところは、どういう風に達成されていくのか、そこの見通しというか、現状の手応えというか、あと何が足りてないのかとか、どういう今現在地にいらっしゃいますか。


[相馬]

そうですね。どうだろう。やっぱりまだまだ本当にローンチしたばっかりなので多くの人には知られていないし、まずはやっぱり知ってもらうことはすごく重要かなと思っていて、多くの人にいきなり振り向かれるような知られ方をしてしまっても対応できない自分たちもいちゃったりするので、


[江良]

生産量とかもそうですね


[相馬]

そう考えると今は本当に月に一回試食会でとか料理会とか料理教室みたいなこととか、割と地道に本当に1日40人みたいな会をなんかちょこちょことやってるんですけど、やっぱりその方たちがやっぱりみんな実際に話をさせてもらって聞いて食べると、やっぱりこう考え方とか共鳴してもらえる部分もあるし、その後の生活って本当にリピートして買い続けてくれてる。なので瞬発的にねたくさんパッと欲しいと思って興味を持っている人たちは、もしかするとこれから増えていくかもしれないけど、じっくりちゃんと伝えていくと、ゆくゆくやっぱりねなんかこう一気に何千人が入るよりも、その少ない人数が何千回か買ってもらった方が生産者の人たちにとっても安定して作り続けれるんで、その点で言うと、やっぱりこうしっかりと伝えて買っていただけるっていう機会を増やしていくみたいなことかなという風には思ってて。


[江良]

多分今日僕改めてこんなにたっぷりお話を聞いているけれども、ちゃんと相馬くんから直接その話を聞くみたいなことが、なんかまず一つ確実な、なんて言うんですかね確実には布教じゃないけれども、熱量とか課題意識とかなんかやっぱりこうみんな知らないことばっかりだと思うんですよね。それこそだから野洲で育っててもお米の課題とかって多分あんまり知らないで育つ。僕は東京で育ってるから、なおさらスーパーで並んでるスーパーからの情報以上のことってほぼ何もなくて育ってきている中で、やっぱり課題がどこにあることすら、分からないことも分かってないみたいなそういう状態の人がすごいいっぱいいらっしゃって。それが毎日毎日そのことを考えて活動する、相馬くんみたいに活動するってことでもないけれども、それを一回知るとそうなんだ、食べてみるとこれすげえおいしいじゃんみたいな中でどれくらいの経済性の方なのかで、リピートの頻度は違うにしても、一回知って味わっちゃうと必ずその人の中に残る活動であり味だと思うんですよね。


[相馬]

そうですね、味だけはね本当に食べ比べてみてるんで。笑


[江良]

そこに対する揺るがないものは感じるね。


[相馬]

そうなんですよ。お味噌80種類とか並んだときは、もう殺されるんじゃないかなと。この仕事を通して死ぬかもしれないと思いながらやるんですけど、でもやっぱり見えてくるんですよね。


[江良]

80種類から選ぶのすごい大変そう。


[相馬]

皆さんねこう話をすると、参加してみたいとか気軽に言われるんですけど、もう絶対やめといた方がいいよって思う会があります。楽しい会もあるんですけど。


[江良]

ちょっと執念みたいなものが必要そうですね。80種類の味噌まで行くと。


[相馬]

チームは毎回5,6名ぐらいでずっと試食をしてて、その中の一人は料理の経験ある女性のスタッフもいて、塚本っていうんですけど、彼女がやっぱりもう執念深く取り寄せて、野菜とかも1年2年ぐらいずっとやり続けてるんですけど、もう火を入れる、このぐらいで火を入れるっていうことを準備をしてくれるんですけど、この準備の精度もやっぱりこう自分たちが決定していくときにすごく重要な要素で、だからなんかこう今のチームは本当に最小限でやっているけれど、必要なメンバーが集まってやってるなっていうのが面白いなと。でもメンバーの中には本当にジャンクフードばっかり普段食べてますみたいな人も入ってたりするんですけど、でもなんかその人も結果的に最後一緒になるのが、っていう意味ではそういう人が入ってることも


一緒になるというのは、この味噌はいいんじゃないかみたいなことで、さっきもおっしゃってたけど最後はなんか


[相馬]

そういう意味でもある種関わってるメンバーの多様性みたいなのも重要なのかもなとは思いながら。


[江良]

なるほど、ありがとうございます。

じゃあ今日これを聞いていただいている皆様にはお決まりとして、日々の生活になんか取り入れられるヒントとかアドバイスとかをゲストの方にお願いしているんですけど。


[相馬]

日々の生活。いやもう食べてみてほしいです。自分たちのものが正解とは思わないです。僕たちが美味しいと思った暫定のいいと思う素の味なんですけど、なんか本当に食べてみてほしい。一回食べてもらうとそれが持っている力だったりをすごく感じてもらえるような気がするし。


[江良]

それは買うときにこの例えばお米がこういうストーリーだとかそれはオンラインショップを見るとたっぷり


[相馬]

たっぷり説明してます。


[江良]

あといろいろ記事もありますものね。


[相馬]

そうですね。


[江良]

あの記事も結構読み応えがあるし、写真も素晴らしいし。あとね一部ね、穴見さんという共通のカメラマンの素敵な写真とか、他のカメラマンの方もすごい素敵なウェブサイトなんでね。


[相馬]

ウェブサイト自身は会員にならなくても見れるものではあるので、いろいろ見てもらえるといいかなと思うんですけど、やっぱり食べてみてやっとその真価というか背景の力みたいなのを感じてもらえるので、なんかこうちょっとでもいいから、気になるもの一つでもいいから食べてみてほしいなっていうのはありますね。


[江良]

ありがとうございます。


[相馬]

ありがとうございます。


[江良]

最後に相馬さんから告知などもしありましたらお願いします。


[相馬]

ありがとうございます。7月25日に本ローンチ迎えたばっかりなので、とにかく会員、今はね誰でもなれる状況になってるかなと思うし、言ったように上限がね、途中で設定しなきゃいけないっていうタイミングが来ると思うので、そこまではねフリーで会員になっていけるので、それに参加してもらえると本当に嬉しいなと思いますし、あとはそのこの活動に共感をいただいている料理人さんだったりとかに、今はね7月25日から始まりのタイミングも終わりのタイミングもお任せしますみたいな非常に緩やかなノリなんですけど、それこそさっきの雲仙のBEARDさんだったりとか唐津のあるところさん、東京でもeatrip kitchenさんだったりとか、KOMBさんっていう和食のお店とか、僕のd47食堂もしかりでそれぞれにタイミングを見ながらこの食材をちょっと食べてみれる機会っていうのを作っているので、ぜひね、足を運んでみていただけるといいなというふうに思いますし。あとは8月24日は西荻窪のorganさんっていう紺野さんがシェフを務められているお店で料理会っていう形で、本当にね人数も少なくやっているので、もしかしたらこうすでに満席ですみたいなことが起こる可能性があるんですけど、定期的に開催をしていきますし、そういったところも参加いただけたらなっていうふうには思いますし。


[江良]

そうですね。食べるのがビッグポーションだけども、一緒に話を聞いたり、自分の何か思っていることを話せたりっていうことの、なんかそのコミュニティというか、そこに入れて一緒に参加できるのが多分このTable to Farmの新しい楽しみ、食への参加の仕方というか楽しみ方だと思うので、皆さんぜひ。ホームページにあとインスタグラムに情報出てますので、ホームページの方にリンク貼っておきますのでぜひ皆さんアクセスしてみてください。あと今回のコラボレーションで Tシャツ 作りましたので。


[相馬]

そうなんですよ。


[江良]

なんか印象的なおじさんの写真。おじさんの写真でいいの?


[相馬]

あれがさっきの竹の谷蔓牛を50年近く1人でついできた 平田五美さんというお父さんの背中なんです。


[江良]

背中姿ね。


[相馬]

そうなんです。

僕らもあれを見ると本当に響くんですけど、定期的に試食会みたいなので来ていただいた方に映像もちょっと見ていただいてどんな背景かと。多分あの会に参加した人たちはお父さんのTシャツの写真を見るだけでほろっと泣ける、そういう Tシャツ です。


[江良]

そういう話を聞いた後にあの写真を見るのと全然また意味合いが変わりますね。


[相馬]

確かに確かに。


[江良]

本当にちゃんと知ることで楽しみが広がるし、味わいも深まる。今日はそんなような素晴らしい体験をさせていただきました。ありがとうございました。


[相馬]

ありがとうございました。


[江良]

本日のゲストはTable to Farmのディレクター兼発起人の相馬夕輝さんでした。ありがとうございました。


[相馬]

ありがとうございました。

記事の掲載場所: 2025年8月20日