#014: 佐々木麻紀さん: 佐々木ファーム代表 : いのちを運ぶ農業、繋がり、ちきゅう留学


佐々木麻紀
有限会社佐々木ファーム 代表取締役、佐々木ファーム5代目代表。持続可能な農と食をテーマに、地球に寄り添った『いのちを運ぶ農業』を展開、 14町(東京ドーム3.5個分)の面積で畑に肥料や農薬を施さない循環型農業で多品目の野菜を作る。野菜の生産者だけではない農業の新しい可能性を追求し、農育事業(農業✖️教育)や農援事業(農業✖️SHIEN)に挑戦。大学生と畑で豊かさと循環を考える未来構想キャンプ『ちきゅう留学』を主催する。2020年コープ北海道農業賞特別賞受賞。2021年文藝春秋「日本を動かす21人」に選出される。
Instagram : sasakifarm_maki

丸山野天喜
立命館アジア太平洋大学在籍 休学中、佐々木ファームインターン、ちきゅう留学2023運営代表   幼い頃からたくさんの人との出逢いや別れにより育まれる。大学では様々なコミュニティに属し、人と人との偶発的な出逢いや繋がりが生む豊かさを知る。間借り喫茶のアシスタントとして居場所作りに励み、思いやりが循環する社会についての活動を行う。コロナ禍をきっかけに佐々木ファームに訪れ、野菜の煌めきや代表佐々木麻紀の想いに魅せられ2022年春から休学し洞爺へ移り住んでいる。豊かさや繋がり、愛、循環、など目に見えないけど確かにそこにある大切にしたいものを大切に、一人ひとりがありのままで輝ける世界を目指して活動中。
Instagram : tenki_17

Key Words: 


エピソードを読む:
[江良]
はい今日は、北海道洞爺湖町の佐々木ファームにお邪魔しました。

[中馬]
はいお邪魔しております。

[江良]
佐々木ファーム代表の佐々木麻紀さんです。どうぞよろしくお願い致します。

[佐々木]
よろしくお願いします。ようこそお越しいただきました。


[江良]
今日今事務所の方に、今ちょっと畑の方とか、後でも話出てくると思いますけど、噂の、なんていうのフローズン?

[佐々木]
アイスシェルター。

[江良]
アイスシェルターとか色々見させていただいて、今、事務所でいろいろな野菜を今並べて、いろいろな形で並べていただいてるんですけど、じゃあまずちょっと皆さんでこのジュースを飲んで、無謀にも食レポをさせていただこうと思うんですけど。

[中馬]
大変です。

[佐々木]
今、掘ったばかりの、雪が溶けたばかりの畑から掘り出したニンジンの100%のジュースです。

[江良]
はい。じゃあ乾杯。

[佐々木]
乾杯。ありがとうございます

[江良]
なんと。あれですね。とにかく水分がね、こうすごいジューシーなんだけど、

[中馬]
まろやかですよね。

[江良]
なんといっても甘い。これは普通の人参は摺ったら絶対にこんな甘くないんですけども、なんでこんな甘いんですかね?

[佐々木]
これは人参が雪の下で寒さに負けず生き延びてきた、自分の中の水分を甘く糖度に変えて凍らないようにしてきてきた生命力の甘さです。



[江良]
つまり甘くならないと、つまり糖度が上がらないと、雪の下で凍って人参が死んじゃうわけですね。

[佐々木]
そうですね。雪の下もしくは雪がかぶるまでの間に、寒い日があったりマイナスな日があったり、行ったり来たりするんですよね。でそこで凍結して死んでしまう。なんで、自分で糖度を上げて身を守るという、糖化現象です。

[江良]
糖化現象。はい。あと今ですね、今お皿に、その同じ今日掘った、人参の、雪の下の人参とあともう一つ同じ日に植えた人参なんだけど、雪が降る前に掘って、あとで説明したいのは、いわゆるアイスシェルターで、冷たい倉庫の中で貯蔵した、熟成した人参と、2種類を蒸したものを、今あるんで、これも試してみてもいいですか?

[佐々木]
はい、どうぞ召し上がってください。

[江良]
どっちから食べるといいのかな?雪の下?

[佐々木]
はい、雪の下をいただいてください。

[江良]
今ジュースになったのはね、多分、中馬さん左、そっちですね。

[中馬]
そっちですね。はい。

[佐々木]
今ジュースになったもの。

[江良]
そのまま、甘い。おいしい。

[中馬]
うん、甘い。

[江良]
本当に。

[佐々木]
2つとも、昨年の2022年の7月31日に種を蒔いて、畑の中で肥料や農業を加えずに育ったもの。秋までに大きくなったものです。

[江良]
こっちの方が、これアイスシェルターに入っている。アイスシェルターの方がなんか、味が濃い?でも甘い。甘さはすごい詰まっている感じがしますね。同じ日に植えたニンジンなのに、なんでこんな味が違うんでしょうか。

[佐々木]
そうなんですよ。これがすごい神秘的で、命がすごいなって感動するポイントなんですけれども、両方とも同じように大人になるまでに成長してくれたんですよね。同じ環境で、肥料や農薬なしで。片っぽは雪が降る前に収穫をして、アイスシェルターという一定の寒さと湿度の中で、その中で熟成されてきたもの。その中でずっと生き続けながら、毎日毎日熟成を重ねてきたもの。一方、雪の下は、掘らずに土の中に置いておいて、そのうちに雪が降って、春までずっと仮眠というか、休眠していたような状態です。雪が降るとかまくら状態になるので、凍結から守ってくれるんですけど、春先になってまた雪が一斉に溶けて、そこからまた太陽を浴びて、命がにスイッチが入って、目を覚ましたっていう状態。雪の下のですね、雪が溶けた雪溶け水をたっぷりと吸って、目覚めた人参です。

[江良]
すごいな、その雪溶け水の分、ジューシーなんですね。水分が素晴らしいですね。

[佐々木]
水分を含んでいるので食感もしっかりあって 全然味が違うんですよね。

[中馬]
全然違いますね。

[江良]
今まで食べた時は、いただいた時は、雪の下の人参がシャクっていう、甘味と含めて素晴らしいと思いましたけど、蒸してみると全然この味わいが、全く違いますね。

[佐々木]
そうなんです。

[江良]
すごい面白いですね。

[佐々木]
2つに共通して言えるのは、与えられた環境の中で命として精一杯生きているということ、順応をして。その順応で環境の要素が違うので、それに合わせて命が変化してきているので、味わいが違うんですよね。どっちとも命として素晴らしくて魅力的で個性が違う。その個性を私たちは命として捉えて、そのこっちの人参の美しさや良さ、こっちの人参の個性、美しさや良さをきちんと命としてお伝えするっていうそんなことをやってます。

[江良]
なるほど。じゃあちょっと簡単にあの佐々木ファーム、ちなみに、あの麻紀さんと僕、もう3、4年ぶりぐらいで本当に大変ご無沙汰しています。以前にね、ジェローム ワーグさんと原川慎一郎君と、あれだよね、APバンクフェスに来ていただきましたよね。

[佐々木]
そうなんです、はい。

[江良]
本当にその説は大変お世話になって、でもその時からジェロームと原川君が、佐々木ファームに実際に来て、こんなすごいんだみたいな話を何度も伺ってたんで、今日実際に来て、いろいろ話とか、実際に畑とか見れてすごい楽しかったんですけど、まず佐々木ファームとは、佐々木さんはもう何代目とかそういうのは。
[佐々木]
はい世代で言うと4世代目です。ひいおじいちゃんが開拓に入ってます。

[江良]
でもう、オール、いわゆる有機って言えばいいんですか?

[佐々木]
そうですね無農薬、無肥料無農薬。

[江良]
無肥料無農薬。

[佐々木]
はい 循環型農業というふうに言っています。

[江良]
循環型農業を始められたのはどの、いつから?

[佐々木]
私たちの世代で、私が今5代目の社長に当たりますが、4代目の社長が姉夫婦だったんですよね。 その世代からですね。2010年からちょっとした面積を始めて 2011年、12年と大きくして、全部面積を自然栽培に変え、無肥料無農薬に変えたという感じです。

[江良]
10年ぐらいやってらっしゃると。

[佐々木]
そうですね、12年目になります。

[江良]
ちなみになぜ、今までのいわゆる慣行農業から、無肥料無農薬の栽培に変えていこうっていう今の佐々木ファームのコンセプトというか方針が出てきたのは、何かきっかけはお有りになったんですか。

[佐々木]
あります。父の時代からもしくはその前の時代からですね。佐々木ファームはその時代に必要なものを届ける生産者っていう意識が高くて、そうやってきました。で父の世代の時に高度経済成長期が来てたくさんの野菜を育てるという農家として、一生懸命貢献してきたんですけれども、一方、食べ物が健康に与える影響っていうのもどんどん社会が、社会課題が出てきて、それで農薬を一つずつ手放していったり、植物によって栽培方法を変えるっていうような形で取り組んできたんです。次に姉夫婦がここを切り盛りしてくださったんですけど、その時にですね、姉夫婦の長男の大地っていう男の子がですね、ある日4歳で寝たまま目を覚まさなかったんですよね。亡くなってしまったんです。突然のことだったんですけど。それでやっぱりその命に対して家族で、本当にもう向き合わなきゃいけない衝撃的な事件というか、がありました。でそれをその時にですねえっと姉兄が社長だったんですけれども、その兄は農業を全く経験をしたことがない畑から、こうやってきて、新しい外からの視点で農業を見たんですよね。そうするときに農業界の、ここってちょっとおかしいよねっていうのをいっぱい感じて、本質的に物事を捉える兄でしたので、その違和感というかが、すごくおかしいなと思いながら、社長である父と対立というか、どうして社会はこうで、僕たちはもっとこうなんじゃないかみたいな葛藤を抱えながら農業をやってきて、心や体を壊してしまったんですよね。何度かそういうことを繰り広げている間の、その大地の死だったんですよね。



[江良]
いやー、なんかそんなことがあって、やっぱりこうね、さっきからあの畑をあの見させていただいている時から、やっぱりそのたまに、命っていう言葉が、やっぱり食べていくことはねやっぱり生きることだし、食べ物、人間はねこう、自分でエネルギーを作れないから、食べ物をいただくっていう、本当に命そのものですよね、野菜とか、食べ物がね。だからそういう意味ですごい命っていうような言葉が麻紀さんの言葉から何度もね、出てこられるけど、なんかそういうこうだいぶ根本的なところから、なんかこう、なんだその探求というか、そこに対して何かいいものというか、そういったものを作っていきたいっていうところが始まってきたんですね。なんか初めてお伺いしましたけど。

[佐々木]
そうですね。なんか私はもともと農家生まれで、農業がすごい好きだったんですけど、自然が大好きで、動物が大好きで、あの食いしん坊だったんですよね。食いしん坊が故に、その、うちでこんなに美味しい野菜があるってことを、みんなに伝えたいっていうふうに思っていたんですよね。だけど、どんどんと違う要因も増えてきて、もっと農家の役割があるなって大人になって思ってきました。それが、今の農業を挑戦したいし、もっともっと成し遂げていきたいなっていうふうに変わってきています。

[江良]
でもなんか、ちょっと今ここに、せっかくプリントを用意していただいてるから、ちょっと佐々木ファームが大切にしていく。これはPodcastを聴いている皆さんにもウェブで。

[佐々木]
ありがとうございます。

[江良]
見ていただければと思うので。ちょっとじゃあこれをまず育て方。まあね、今最初ですね自然
かける

[中馬]
自然x循環x生命力というところですね。これ読み上げていきますか。昔ながらの農法方法で自然の力を信じ、生態系を守りながら、生命力あふれる元気な野菜を生産している農家です。文化としての食と農を未来に運べるよう、食べることは生きること、をお届けします、というふうに書いてありますね。これは佐々木ファームさんが大切にしていることというこの3つですね。自然×循環×生命力と。

[江良]
本当に、変に肥料もあげないで、で、緑肥とか、ちょっと割れちゃった野菜とか、収穫しづらい野菜とかをまた混ぜていって。

[佐々木]
そうですね。残渣という、野菜が使われなくなった分をまた畑に返して、それが土に返っていくことで有機的な成分となってまた土に還っていくという、そんな農法です。

[江良]
あとあれですよね、このさっきおっしゃったのが、この辺の火山灰がすごいいい野菜に影響を与えているってことをおっしゃってましたよね。

[佐々木]
洞爺湖はもともとカルデラ湖で、噴火を繰り広げて陥没して、そこに水が溜まった湖なんですよね。そこにあるのが有珠山っていう活火山なんですけれども、20年から40年に1回、噴火をします。私も二度経験しているんですけど、もういつ噴火が来てもおかしくないぐらい、今20年経ってるのかな、その火山灰がですね弱アルカリ性で、火山灰が植物に対してポジティブ、プラスの影響を及ぼすという肥沃な大地の栄養の供給源になるというのが、この有珠山の特徴です。地層の中にですね、特に昭和52年の大噴火がありまして、真夏の8月だったんですけれども、畑の中に30センチから50センチぐらいの火山灰が降って、作物は全滅してしまったんですけれども、その火山灰がですね、実はいまだに地層の中にありまして、今の豊かな生態系だったり、おいしいミネラルあふれるお野菜の大元になっていると、そんなところです。



[江良]
基本的には自然の力って土の中の微生物を、さっき畑歩いて結構ふかふかで、

[中馬]
ふかふかでしたね。

[江良]
びっくりしましたけど、ああいうふかふかってことは、微生物がたくさん活動されてるのかなと思うんですけど、ちょっと微生物と野菜の関係みたいなのってのは、簡単にご説明いただけます?

[佐々木]
うちは土作りをするってよりも、いかに土を本来の自然な形、自然の生態圏に戻すかっていうふうな考え方で、外から作って中に必要なものを入れるっていうよりも、いかに戻していくかっていう考え方の土造りです。そこには土の中には微生物が本当にたくさんいて、本来自然っていう力って、計り知れなくて、自分たちが癒していく力だったり、自分たちが活動する力っていう、命の力が凄まじいんですよね。そこを自然に戻していくことによって、私たちも与えてもらう。特にこの虫や植物や微生物っていうのは、共存共栄の助け合いの世界の中にいるんですよね。お互いが生かし合いながら生きているっていうのが生態系の素晴らしさであって、植物たちが根から糖を出すことによってそれを餌として、また微生物たちが土の中のミネラルを野菜たちに根に運んでくれる。菌根菌というのが活動して、それを野菜たちが引き上げてくる。なので畑の中には肥料がないっていう考え方じゃなくて、生き延びるための栄養素がしっかりあって、他の大きな生態系の力をお借りして、それを吸ってくれる。なのでその力を私たちはいただいて食べて、生きる力に変えていくっていう、そういう考え方ですね。

[江良]
生命力のあるお野菜っていうのは、そういうそもそもの地面も含めた生態系の中で、もともと昔からあるやりかたでできた野菜だから、でもだからこれだけおいしいんですよね。たぶんね。

[佐々木]
そうなんです。この生き切ってきて、これが例えば雨がずっと続きました。菌がいっぱい繁殖しています。土もカビの菌とかいろんな菌が生息しているので、それがあふれた時に野菜たちがですね、負けてしまったら自然に病気になって、土の中に還っていく。淘汰されてしまうんですよね。菌が来た時も野菜たちは自分たちの免疫力を上げて、立ち向かっていくという、菌と共生しながら、自分たちが順応してきます。逆に乾燥して全然雨が降らない時も、また違う風に、またそこで野菜たちが生き延びていくためのいろんな秘密があるんですよね。葉っぱの伸ばし方とか、こう葉っぱが水滴、朝露なんかを取り入れて、首のところ、根元のところに取り入れたりしてて。あとは草だったり、その小さな植物たち、小さな動物たちと共生して運ぶっていう。で野菜たちも根を伸ばして地下から汲み上げていくっていう、そういう生きる力が結局最後には野菜となって実りとなったものを私たちはいただく。だから生き延びてきた、イコール奇跡のような感じだなと思っている。生きてきた力が形になったものを私たちはいただくので、野菜っていうのがものではなくて、命ですっていうのをお伝えしています。

[江良]
なるほど。確かに普通にこう、ねえ、まあ僕たち東京から来てますけど、東京のスーパーとかにねこうバーッとこう並んでるとやっぱり単なる、もの、というかね、ものとしてしかやっぱりなかなか見ることができないし、確かに野菜が命そのものなんだっていうのはでも、今おっしゃられたこと、すごいあの、僕も確かに、すごい気づきが、そうだよねっていうか、本当にその命そのものをいただいて、僕たちも生きる力にねこう変えていくっていう、なんかそこの部分は非常に大切ですよね。本当にこの育て方自然の力を生かし生命力豊かな命を育む、そのための挑戦を続けてらっしゃると、ということで。であとねこの、さっきちょっとだけシェルター、ここにさっきから我々の中ですごい話題になっている紫大根ね。紫大根、もう一回いただいてみますけど。

[佐々木]
どうぞ。紅くるり大根です。

[江良]
いただきます。

[江良]
これが甘いというか、フルーツみたいなんですよね。

[佐々木]
そうなんですよ。これが大根とはあんまり信じられない。フルーツのように柿とかね。ああいう風に感じられるくらい、みずみずしくて甘い。これは(7ヶ月前の)11月に収穫をしたものです。

[中馬]
本当に甘い。

[江良]
でも、教えていただいた、糖化現象。

[佐々木]
はい、そうです。

[江良]
糖度を上げて、寒さから身を守る。凍らないようにするということですね。

[佐々木]
はい。もともとやっぱり、生命力高く生き延びてきた力が、命があってこその保存をした時も自分で生き延びるという力が強くて、糖化にもあのバーンと伸びしろというか、糖化現象を多く引き出していると。

[江良]
このまたね、この、マイナス何度ぐらいのところになってくるんですか?そのアイスシェルターって。



[佐々木]
えっと氷の部屋は-2度から0度の間なんですけれども、貯蔵庫は2度から夏の間は5度ぐらいまでの推移の中でいます。

[江良]
その温度に冷やしておく冷蔵庫なんだけども、その冷蔵庫の冷やす熱源というか、元がいわゆる天然の氷なんですよね。それが変に化石燃料とかでクーラーで冷やしてるんじゃなくて、天然の氷で電気を使わずに冷やしてるところがまたすごい。

[中馬]
そうですね。

[江良]
さっきおっしゃってた510トンぐらいの水を。

[佐々木]
そうなんです。

[江良]
水槽みたいな感じで

[佐々木]
はいそうです。氷の棚を作って水を張って。

[江良]
冬の間に北風を当てると、それが510トンの氷となって、1年間その510トン自然の力で凍らせた氷の力で貯蔵庫の機能を保てると。

[佐々木]
はいそうなんです。

[中馬]
それってどれぐらいの期間で、結氷をするっていうか。

[佐々木]
だいたい、ずっと開けているわけじゃなくて、寒気が来るときマイナス10度とか、寒気が来るときに扉を開けて取り込むんですよね。寒さを取り込んで1ヶ月ぐらいですね。ちょっとまたあったかくなったりする日はその蓋を閉めて溶けないようにして。だいたい1ヶ月から1ヶ月半ぐらいかけて。510トンの水を氷は凍ると面積が増えて1.1倍になるので膨らむんですよね。で氷の棚をいっぱいにして、で蓋をします。氷が固くなったら蓋をして閉じ込めて、でその氷がですねどんどん春になって夏になってって、あったかくなってくる時に少しずつ溶けるんですよね。溶ける冷たい空気を隣の部屋の貯蔵庫に送ってくれます、冷たい気温だけじゃなくて湿度も氷が溶けてくるので湿度がとても高いんですよね。その中で湿度と気温、冷たい冷気を送ってくれる中で野菜たちがずっと貯蔵庫の中で熟成をしていくという、そんなことです。

[江良]
湿度なかったらカラカラになっちゃいますもんね。

[佐々木]
そうなんです。だから寒さをエネルギーとした考え方のベースがここにあって、それで野菜を生命力と考えて貯蔵するという方法がここで成り立っているということです。

[中馬]
この貯蔵庫に移した作物は、生きているのか死んでいるのかってさっきもちょっとちょっとそこもまたお聞きしたくて。

[佐々木]
めちゃめちゃ生きてます。めちゃめちゃ生きています。そこにいるとですね、あのエネルギーは本当に照明だけ使っています。照明をすると、みんながそこの寒い部屋の隣の部屋で準備室っていうのがあって、そこでですね、お客様にお野菜を送るための準備をしてくれてるんですけども、その倉庫に入るときに電気をつけるので光が当たるんですよね、そうすると野菜は命なので、命として、あ、春が来たなとか、あ、光っていうのを生きるためにこう感じて受け取っていって芽をどんどん生やして、しまいにはどんどんと寒さの中でも種をつけようというふうにしてきます。人参とかもですね。さっき見てた時にあの小さな根が生えてくるのが分かると思うんですけど、人参自体にまた土に生えて、土から栄養をもらおうとする小さいヒゲ根が生えてきて、同時に首のところからですね、葉っぱを芽吹いてきて、そこからですね、薹を立てて、つぼみができて、花を咲かせてっていう、その種になろうとする命の循環を、全うしようとする。それが出てくるんですよね。なのでそれはもう完全に生きている命。



[中馬]
アイスシェルターなかなかあれですけど、さっき後でまたあれですかね、写真とかで見れるんですかね。

[江良]
そうですね。見ていただければと。

[中馬]
本当にその、収穫をされたものがあの中には入っているので、あのまあ一般的にというか土から出ているような状態といえば状態っていうことですね。

[佐々木]
なるべく土を少しかぶせた状態とか洗わずにいて、土から掘り出したような状況を肌につけておいて、肌にもやっぱり菌がいるので菌ごと連れてくるというか、土ごと連れてくる、なるべく外と同じような環境で連れてくるようにしています。

[江良]
でもこれは北海道だとよくあるということでもないんですよね、このアイスシェルターってのは。


[佐々木]
北海道はですね、雪室っていうのがよくあったりしてて、北海道だけではなくて長野とか寒いところではもともと雪の下の土の中に埋めて仮眠をするっていうような熟成方法があります。で北海道では雪を倉庫にいっぱい積んで、それをで雪が溶ける冷気を利用してっていうので同じような仕組みなんですけれども、アイスシェルターの素晴らしいところっていうのは氷の棚になっているので、その氷の、冷たい冷気が溶けた時にですね、きちんと送られるようなシステムになっているのと、溶けてもベジャベジャにならないんです。棚になっているので。なので管理ができるので、その菌も含めて管理ができるっていうのがあって、なので数年を通して野菜を保管することができるっていうのが、氷と雪の違い。雪は溶けてしまうんですよね。7月とかに溶けてしまってぐちゃぐちゃになってしまうので、そこからまた次の作物までは一回野菜が途切れる。切れる畑から、そこで出し始めるんですけど、アイスシェルターは今度、夏どんどんできてくる野菜の冷蔵庫としても機能します。

[江良]
なるほど、すごい。これはでもあれですね、それこそジェロームのフライドポテト。

[佐々木]
はい。

[江良]
あれもね、ここで、このアイスシェルターで、澱粉が含めてね、糖化してたから

[佐々木]
はい。

[江良]
すぐシンプルなね、お料理なのに。

[佐々木]
そうです。

[江良]
こんなおいしいのかっていう感動が

[中馬]
きれいですね。

[江良]
ね、あるわけなんですけども

[佐々木]
そうなんですよ。

[江良]
今回実際来てみて、この人参の食べ比べまでしてみて、しかもやっぱりこれ天然っていうのは何よりいいですよね。自然の力で。本当そのね、野菜の。

[中馬]
これ10月くらいまで、このアイスシェルターは?

[佐々木]
そうですね、10月、次の冬が来るまでの間に溶けきらないんですよね。そして次の冬が来る秋が来た時には外の方がマイナスに切り替わってて寒いので、逆にアイスシェルターは凍らないための倉庫になっていて。外に置くと物が凍っていくので。

[江良]
そうだね。はいじゃあちょっとこの次の、運び方。

[中馬]
分かち合いともに運ぶ。作り手と食べ手の豊かなつながり。というところですね。

[江良]
共感してもらう方々に、直接お届けされるようなことが多いんですかね。佐々木ファームさんはね。

[佐々木]
食べることは生きることっていうので、その命をつないで届けているよっていうところで安いお野菜を買おうと思ったらいくらでも買えると思うんですよね。ただ私たちは命っていうのに向き合って作ってる農家なので、農薬も使わずに 除草剤も使わずに作るんですよ。そうした時に作れる量っていうのとか、リスクっていうのがある中で単価を決めて販売をしてるんですけど、そこにやっぱり同じ思いで自然を大切にしたいとか、食べ物って大事だよねとか、やっぱり手間がかかるからこそ、これを受け取れるよねって言って選んでくれるお客様あって、私たちがこれを作れると。なので一緒にそれを作っているような感覚、一緒にそれを叶えていきたいというお客様と一緒に進んでいるような感じがします。

[江良]
そういうのはやっぱり、僕が例えばジェロームとか原川くんから聞いたりとか、みんな、いろいろな人づてで伝わっていっている、みたいなそういうような感じなんですか?



[佐々木]
はいそうなんです。人から人にっていうそのつながりが、一人じゃできないことも誰かと誰かでつながって、同じ思いのところを共感するからこそ、また運ばれるっていう。それをみんなでやっていくっていうすごく意識があって、私たちはその14町っていう、14ヘクタールっていう土地を自分たちが持っているっていう考え方じゃなくて、これを14町を地球上の表面積の14町を預かっているっていうような感覚です。特にコロナがあった時に、例えば飲食店のお客さんが、お店を閉めざるおえなかった時に、うちを買い支えて、うちがまた種をまける野菜を育てれるっていうふうに助けてくださったのは、多くの買い手の皆さんなんですよね。買い手の皆さんが佐々木ファームを運ばなきゃって言って一生懸命買ってくれる。その時に気がついたのがレストランさん用に作っている洋野菜とかカラフルな野菜だけじゃなくて、一般の人たちに向けての常用野菜に種類を増やして変えていこうっていうふうに、ちょっと面積とか、作る量とかそれを変えていった時に、これは作付けをもしかしたら食べ手の方たちがしてるんじゃないかなと思ってて。ということは作付けをしてるってことは、作り手の、食べ手の、買い手の人たちも農家なんじゃない?みたいな感じになって。一緒に野菜を作って、一緒にこの14町という環境を守って運んでくれるファミリーだなと思ってて。そんな感覚でですね、佐々木ファームの喜びも、佐々木ファームが向き合っている課題とか、いろんなリスクとかも含めて、喜びとか感動とかも全部含めて、お客さんと一緒に作っていって、届けて運んでいきたい。次世代に向けてこれを作っていきたいっていう感覚でいます。

[江良]
いわゆるCSA(Community Supported Agriculture)っていう言葉もありますけども、そういうような集まりみたいなのになっているイメージとして持ってていいんですかね?

[佐々木]
それがベースでありまして、その他にですね、単品で頼むこともできますし、いろんな窓口を設けてます。

[江良]
ちなみにCSAっていうのは、カスタマーでしょ。Cって何でしたか。カスタマーシェアドサポート、

[佐々木]
CSAっていうのがコミュニティです。

[江良]
コミュニティサポーテッドアグリカルチャー(Community Supported Agriculture)ですね。

[佐々木]
はい。地域の支援型農業で、もともとは地域が 地域で支え合うという考え方がベースにあってそのお野菜を食べれるのも、その地域で作ってくれる人がいるから、食べれる人がいるっていう、地域の中の循環っていうのがベースで始まってきた、これなんですけど、うちは地域だけじゃなくて、発送をして遠くまで送っています。



[江良]
いわゆる本当の消費者、エンドユーザーさんってことですね。だから東京もそうだし、いわゆる物理的にだいぶ離れていても。でもね、逆に都市の中には、そういう畑とかがないから、都市の人たちがそういうふうに繋がっていくには、こういった場所と物理的に離れても繋がっていくっていうのは、非常に有効的というか、それぐらいしか方法がないですよね。

[佐々木]
そのコミュニティっていうのが地域っていう言葉だけじゃなくて、私たちはその同じ思いを持っていて、離れてても共感しあって、助け合ってる社会っていうのを、コミュニティだと思っているので、そのやっぱり同じそれを運びたいよっていう人たちが、つながって思いを重ねていくことで、一つ新しいアクションとか、ムーブメントができるんじゃないかなと思っています。なのでその仲間集めと言ったらおかしいですけど、私たちもつながるし、大切にするとかが同じところの人たちがたくさんいると思うので、知っていただく機会として、いろんな発信とか、入り口として買っていただける窓口を準備したり、あの皆さんに運んでもらったり一緒にしています。

[江良]
まあでも、なかなかこう、東京のまあ、僕たち東京から来てるんで、あとちなみにこのポッドキャスト、alt-Tokyoっていう、あのね、まあ東京の都市のね、あの生活だけだと、生活の中だとなかなかこうなんていうんですかね、こう、まあ便利な方に流れていっちゃったりとか、まあお金っていうものがやっぱり基準で、どうしても流れていっちゃう。まあ逆にだからね、こういう畑とか、太陽があって、循環があってみたいなところで、ものが作られていて、命が繋がっていって、みたいな感覚がやっぱり東京の中だと、どうしても実感として持てる人の方が、ちょっとあのさっきからちょっとキーワードで、ちょっと変態っぽくなってきてるというか、やっぱりあの気づけないですよね。だからまあ、もう少しいろいろ気づいたりとか、みんなで学べるようなそういうような場とか、僕たちもそういう仲間を作っていけるといいなと思って、こういう発信をしてたりするんですけどもね。佐々木さんたちから、麻紀さんたちから見ると、こうね東京とかもたまに、もちろんねいろいろ行かれると思うんですけども、札幌でもいいんですけどね。札幌はもうちょっと近いからかもしれないですけど、そういう都市の、いわゆる一般の消費者みたいな人たちっていうのをもちろん共感できる人たちもいると思いますけど、ここから見てると、どういう景色にこう見えてらっしゃるんですかね。

[佐々木]
ありがとうございます。私は実は洞爺で生まれ育ったんですけど、留学をしていて海外に行って、その後洞爺に帰ってきて、札幌に住んで、東京に住んでて、東京も10年住んでいまして、子育ても東京で始めたんですよね。なのでその地域によって、その見る視点、人の暮らし、営みの中にある環境というのが随分違うことによって、その、行動が変わってくるな、思想が変わってくるな、っていうのが、すごい自分の肌感覚で感じています。で、そこでですね、やっぱりその海外と日本なんですけど、日本の良い特徴であるそのマメとか勤勉とか職人的なところの良さが農業にたくさん含まれているんですが、逆にこうでなければいけないという繊細なところが、すごく農業に影響していて、日本が戦後豊かっていうのを求めるにあたり、そこの、精密さとか、それが命を失ってくるきっかけの一つにもなったかなと思います。私の今の考え方では、本当に強く命のことを考えたり、次世代に向けての、命のバトンを運びたいってなったきっかけがあって、それは99歳のおじいちゃんから、昔の開拓時代の話から今までの話を聞いてきたことなんですよね。でおじいちゃんが亡くなる前に、3年くらいかけて病院に行って私がおじいちゃんにお話を聞くっていう機会があって、おじいちゃんは昔の話を全然しないおじいちゃんだったんですよ。で、もしかしたら戦争にも行ってて、辛くてそれが伝えれないのかなとか、最初はその亡くなる前にそれを思いっきり出してね、で安らかに亡くなったらいいんじゃないかなって、勝手な孫の気持ちで昔のことを聞き出していったら、おじいちゃんはその伝える機会がなかったんだなっていうのがわかって。そのおじいちゃんは佐々木ファームでいったら2代目なんですけど、開拓者の曾おじいちゃんのお話を運んでいて、曾おじいちゃんの開拓時代のどんなに大変だったか。で時代がこう変わっていって、おじいちゃんの戦争時代にどんなことがあったか。社会がどうで、そのために自分たちがどうだったか、そして父の時代の時に戦後で世の中が、全部命もたくさん失って、生かされた人たちは、亡くなった人たちの分も役に立たないといけないっていう。役に立ってこそ生きてる意味だっていうことをベースにあって。あと物。物がない。お腹が空いているっていう日本のベースだったんですよね。そこでいかに食べ物、お腹いっぱいになる日本、とか、物、自分たちの豊かさの中に、物を取り入れていくっていう考え方になっていって、そこで初めて農業がまた大きく変わっていくっていうのを、おじいちゃんがすごくきっかけをくれたんですよね。その戦後のことを私なりに考えてみたときに、やっぱり今の農業は戦後いろいろ運ばれた、アメリカからのいろんな技術だったり、農薬だったりっていうアメリカだけではないですけど、そのいろんなことがあって、たくさんの食料を作れるからこそ人口が増えて、人がお腹いっぱいになって豊かさを手に入れて、経済が伸びて、そして物が洗濯機や車や冷蔵庫が増えて、豊かになっていって、それがどんどん進んでいって、今の社会になってきたと思うんですけど、この豊かさをちょっと私なりの言葉に言うと、履き違え、とらえ間違ってきた、今の時代になってきたかなって思っていて、豊かさがいつもものがあること、食べ物でも何でもそうですけど、欲しいものが目の前にあることが豊かとか、便利っていうことが豊かさになってきている。それによって、失ってきているものがいっぱいあるんじゃないかなっていうのを考えるきっかけをもらったんですよね。それはもしかしたら、一つ一つ手間をかけて作る物、職人の技だったり、発酵文化であったり、っていう文化風習の上から成り立ってきた、手間をかけて、愛情を注いだからこそ受け入れるその豊かさっていうのをだいぶ手放してしまって、簡単便利、いつもある安いっていう大量生産のものの中で、人間が情報も含めて、溢れかえっている、そんな中にですね、えっと溢れすぎていって、何が豊かさなのか、幸せなのかわからないような社会が今だと思っていて、それを自分なりに見たときに、私が生きている社会の背景がそうであって、じゃあ生産者として私は何ができるんだろうってなったときに、姉夫婦が命を亡くし、泣きながらも、そこでこの自然栽培という素晴らしい農業に出会わせてくれたので、私はやっぱりそこからできてくる命が美しくて、本当に素敵だからこれを届けたいし、今の社会に改めてこの野菜やこの場を通しての本当の豊かさって何?って、生きることって何?っていうのを改めて伝えたいなって。そんなのが根っこにあって、ずっとこれが、この思いでやってきてる感じですね。熱いですね。

[江良]
いやいやいやいや、いい話じゃないですか。でもやっぱり、どう伝えられるのかというか、便利、お金がある意味履き違えてるというか、すごい偏重的にね、そこに重みがすごいされてる中で、ここに伺って、野菜をね、人参を食べれればね、なんかこう言葉はそんなにいらずにその生命力の世界は伝わっていくと思うんですけど、何かこう実際それをこういろんな人に伝えていこうと、それだけね強く思われている中で、なかなかこう難しいところというか、なんかこう、どういうところが課題だったりとか、難しいなって普段感じてらっしゃるようなことって何かあります?



[佐々木]
はい。まず知る機会が少ないっていうのが一番かなと思っていて、命っていうものに対して遠ざかりすぎていってしまったっていうのが、大きくあります。なのでそこを歩み寄って、まず命っていうものの感覚を取り戻すために、まずその自分の、体感して、自分の体で感動レベルで感じる経験っていうのが、初めて自分を呼び起こすと思っているので、まずその機会を作ることが一つ大きくあるかなと思っています。あともうやっぱりみんなで共につながって考えていくこと、諦めずに考えていくことが大事だなと思ってて、やっぱり私もそうですけど、価格がベースになっていくと、その安いものを取っていくこととか、サイズだったり、いろんな綺麗なものを取っていくっていうのは、当たり前のことかもしれないんですけど、その奥に覗けるストーリーっていうのが、果たして本当にそれだけのものなのか、必ず命を作っているものは、そこに後ろに育て方とか、その人の思いとか、いろんなものがあるので、その奥にあるものをみんなで考えてみるっていうのが、すごく機会として大事だと思っていて、価格が安いから、これを買って損をする、得をするだけじゃない世界、例えばお家でご飯を作るとしたら、一品に何円かかるかっていうのは、もしかしたら安い人参を買って、調味料をいっぱい使って美味しく仕上げて、時間を使うっていうのもそうかもしれないけど、本当に野菜が美味しかったら、ふかしてお塩だけでも美味しい、子供たちに食べなさい食べなさいって言われなくても置いといたら勝手になくなるっていう、そういう、なんていうの、知るきっかけっていうかあの、そっかってどっちが安いんだろう。最終的にどっちが豊かなんだろうって、いう風に考えるきっかけっていうのを作りたいなと思っています。

[江良]
ですね。あのでも、そういう、例えば、まあこれ聞いてらっしゃる方たちとかが、なんかそういうこう知るきっかけとかね、機会とか、何かアクションしたいと思ったら、何かこう参加できたりとかするような機会ってなんかあるんでしょうか。

[佐々木]
はい。えーとですね、ぜひその自分の選ぶ野菜が、一票が、次を、次の時代を作っていくっていう風に、買うっていうことを、投票だと思って考えていただきたいなっていうのが一つです。お野菜だけじゃなくて、今目の前にあるものだったり、自分たちが手にするもの、利用しているものは全て、作り手があって、いろんな仕組みになっているんですけど、自分たちが買うから、そのそこがまた次に作れるっていうことをするんだとしたら、自分たちがどんな野菜を食べて未来につないできたいのかっていう、その投票、投票する権利もあるかもしれないけど責任もある、次世代に対しての責任があるっていうことを考えて、じゃあどう、その子どもたち、自分たちはあと何十年かで死ぬからいいわじゃなくて、その野菜が環境を作っていったり、命を作っていくんだとしたら、自分の子供たちやその子供たちの、多くの子供たち、孫たちの世代、お子様がいらっしゃる人もそうじゃない人たちも、私たちに今の私たちに責任があると思ってるので、それを考えた選択をしていくこと。その選択は、消費者さんだけじゃなくて、作り手さんも同じだと思ってます。いろんな農家にはいろんな役割があるので こういう自然栽培農家が全部で成り立つかって言ったら、作れる量も限られてますし、リスクとかそういうのも含めていろんな農家が、役割をあるからこそ、私たちはこの農業を選べるっていうふうに思っていて、農家の価値観だと思ってるんです。大切にするところ。で農家が価値観という例えばメガネをかけてたとして、そのメガネがどんな役割を持っているのか。例えば、美しい野菜を生産消費者に届けたいというメガネをかけてるんだとしたら、そのその農家さんは農薬を使ってピカピカきれいにする虫の跡もないような命を作るでしょうし、それがたくさんの量を作って安い仕様だったり、誰でもお野菜を食べれるようなマーケットを作りたいと思うんだったら、肥料をたくさん入れて、安定的にトン数を多く取れるような農業を選ぶと思います。で私たちは命っていうのを無くして、改めて、その命を運ぶ農業をやりたいという、命に特化した農業なんですよね。そこで全員が改めて、自分たちの作るものを、自分たちの子供に食べさせたいぐらい責任を持った命の運び方、選び方をしていれば、もっともっと、食べ物に対しての興味関心も社会的に深まると思いますし、食べ手の方も同じで、自分たちが世の中を作っている一人なんだよっていうふうに、次を作ることができるんじゃないかなと思ってます。



[江良]
なるほど。でもそういう意味だとね、またちょっと、卵が先か鶏が先かじゃないですけども、何かこう、じゃあ佐々木さんとか、佐々木さんみたいにね、いろいろ自然農法とか無農薬とか、オーガニックでやられてるとかね、いっぱいいらっしゃるから、何かでも自分が共感できるというか、そういう作り手の方とね、あのなんかこう出会ったり知り合ったりされると何か選ぶにしてもね、どれがどういいのかみたいな情報、やっぱスーパーだとね、なんかこうなんとか県産トマトいくら、まあ以上、みたいな感じだと、選ぶになんかね、なかなか選べないからなんかもう少し興味を持ったりとか、なんかねファーマーズマーケットとかでもいいですけども。

[佐々木]
はい。

[江良]
色々な、今日これ聞いていただいてるならば、佐々木さんのね、ファームのウェブ見ていただくとかね、とにかく興味を持って、

[佐々木]
そうですね

[江良]
あの自分たちの食べてるものがね、何なのかとか、誰が作ってるのかとか、そこでどういう問題があるのかとか、まあそういうことを頭をこう、ちょっと考えてみる、時間を作ってもらえるといいですよね。

[佐々木]
そうですね。あの命を考えてくださいって言っても考えないんですよね。自分の命に興味がなければ、自分に入ってくる命とか、誰かの命に対して、動物とかの命に対しても、興味がないと思うんですよ。でやっぱり自分自身っていうものが生きていて、大切な存在であるっていうことを、やっぱり自分でもう一回知ってみる。自分にはすごい力がいっぱいあって、本当は自分、いろんな食べ物によってですね、閉ざしてる感覚とかもいっぱい実はあって、こういう本質的なお野菜とか命を運んでる食べ物を食べてると、すごく感覚的に、もしかして例えばすごく口の中に不快感を表すものがあるっていった時は、もしかしたら科学的な力が強かったり、そこからの自分がNGを出しているっていう感覚があったりします。例えば山菜なんかの苦みをですね、小さい時から食べる環境だったとしたら、それが自分の苦みがデトックスとなって命においしいって響いたり、ただの苦みが嫌な味だけじゃなくって、自分の命にスッと入っていくっていうのを、感じるっていう、機能がいっぱいあるんですよね。目覚めもいいし、感覚的に、なんていうかな、頭が冴えたり、健康的で心も体も健康的であるっていうこと。だから外からのもので、身を埋めて幸せになるってよりも、まず自分の体や心が何からできていくのかっていうのは、間違いなく食べるものと、誰かと共に生きるという感覚なんですよね。その感覚を手に入れたら、初めて命っていう目の前にあるお野菜だったり、動物たちにも興味関心がありますし、隣で生きている価値観の違う人も命なんだねっていう、違う価値観を持っている命なんだねって思うから、初めてその命に対してリスペクトが生まれたり、命に対しての認識、興味が湧いてくると思うんですよね。興味が湧いてきたらもう、あとは早いんじゃないかなと思うんですけど、自分たちがやっぱり幸せになるっていうのが、どういうことなのかなっていうのは、追い求めるんじゃなくて、もうある。その自分の命の、心の中の命を、まず気がつくところから、いろんなことが始まるんじゃないかなって思ってます。

[江良]
いや、それはだいぶ深い。いやいや、でもおっしゃる通り、

[中馬]
そうなんですよね。

[中馬]
まぁでもやっぱりあの僕の場合だと、やっぱり子供がね、生まれてからそれは結構強く感じるようになったっていうのがありますよね。なんかその子の、子たちの世代、まああの、よりこう世の中に流れてくるニュースってのは結構シビアなニュースが多くて、この子たちの世代は僕たちよりも良くなるような状況ではないんだろうと。その中でやっぱりどういう選択を、僕の子供は娘ですけども、彼女たちは考えていくのか。そこに対してどういうものを残していけるかっていうことの選択は、僕たちができることはやらなきゃいけないってのがまず一個やっぱり大きく芽生えたかなとは思いますね。

[江良]
やっぱりなんか都市にいるとなんかこうね、情報を食べちゃってるというかね。なんかこう、本当に命をいただいてるというよりも、なんかこうね、最近あのうちの近くで行列のおにぎり屋さんがあるんですけど、いやそれ美味しいからいいんですけど、若い子がみんな並んでて、やっぱりみんなインスタなんですよね。この写真撮りに行ってるみたいな。それだけじゃないと思いますけども。でもやっぱり何かこう、それもね、別に否定するものではないんだけれども、やっぱり本当に、それってインスタとかで上げて、いろんな人たちにいいねと言ってもらいたいとか、なんかそういうところに喜びとかね幸せを感じてるから、まあそれいいんだけども、でもやっぱりね、こう食べることそのものとか、食べるものとなんか自分たちが繋がれ自然と繋がっていくこととか、なんかそういうもう一つね、違うレベルというか部分で、何か幸せを感じられるようになると、なんかもうちょっとね、その方が楽なのになーとか、その方がお金もかからないしなーとか、なんかいろいろシンプルなんじゃないかなーとか、まあそういうふうに思うことはあるけれども、やっぱりこういうとこ来ないと、分かんないんだろうなーっていうのも、自分の子供とか見てるね。僕も子供とか、子供3人いるんですけど、見てると、やっぱり機会としてないだろうなっていうのはすごい思いますね。

[佐々木]
やっぱり世代が、世代、世代で、環境が違ったり(前の世代より渡される)ギフトが違ったり、(前の世代より受け渡されるものが)無いものがあったりっていうのはどの世代でもあると思うんですよね。その足りないものを埋めようとして、また新しいものが生まれるっていうふうに思うんですけど、今の若い世代、Z世代と呼ばれる若者たちの特徴っていうのがSNSが大きくてですね、そこに何を若者たちは得意としてやってるかというとやっぱり繋がりを求めている。社会がいろんなことから繋がれて、みんなと繋がってるつもりでも孤独感を感じて、自分の命としての孤立というかを感じているので、誰かに理解されたいという承認欲求もそうだけど、誰かといつもつながっていないと不安っていうのが、今のその世代が抱える物語(問題)なんですよね。それで、ただ、そこの世代が抱えているそのストレングス(強み)というか個性があって、それはSNSを使ってみんなとまた繋がって、思いのある人を集めるのが得意という、ハッシュタグという機能を巧妙に使うんですよ。私たちの世代と違って言葉を持っていて、言葉でハッシュタグを使ったときに、そこの同じ価値観を求めてる人たちが、ハッシュタグなんだか、ハッシュタグなんだかって、どんどんと絞られてきて、それで繋がりたい人と離れても繋がれるし、逆にこういう発信をしている人たちを信じれるという前提で始まっていくんですよね。だから今うちにインターンで、大学生で天喜ちゃんという子が来てくれてるんですけども、その子が自分で本当に等身大で感じて、言葉に乗せた言葉、ハッシュタグからまた同じ感性の子たちがうちにどんどんと足を運ぶって、これってある意味その世代の生命力だなって思うんですよ。で例えば地域の生命力っていうのもあって、東京に住んでて思ったのが東京の人たち生命力豊かだなって思って、たくさんの人たちと生き延びれるっていう。あれ都会の人、田舎の人がやると疲れて死んでしまうんですよね。ある意味情報とか、人であふれかえっている分だけ、どこかの情報のフタを閉じて、感じないようにする力を持っているからああやって生きられるんですよね。

[江良]
それはそうですね。

[佐々木]
それはハングリーであったり、それはすごい力だなと思っていて、なのでその東京の人たち東京というか都心の人たちは、都心の人たちの強みがあって、そこにどういうふうに、この命を知っていただく機会を、その届けて、つながれるかっていうのがすごく大事なことだと思うし、そこの人たちに逆にこの命を届けられるっていうのは、私たちにとって喜びだったりむしろしたいこと。私は東京に第二の故郷があると思ってますし、大好きな人たちや子育てを一緒にしてたとき、その環境の背景も分かっているからこそ、その都会にこの命を贈れる喜びを持って農業をしているので、いくらでもその繋がったりお互いの良いエネルギーを送り合ったり、ものだけじゃなくて心の共感とかもそうだし、そういうのはやっぱり中心で生きている人たちだからこそできることなので、マジョリティというのを持っているのは都会だし、都会の人たちの意識が変わったら日本が変わりますし、そう大きなマスというか、そうだと思ってます。

[江良]
いやでも、本当に、僕たちは東京にいるんで、何か東京で何かね、一緒に発信させていただくので、これからもやらせていただいてもいいし、あとあれですよね、先ほど聞いた、あのその地球、ちきゅう留学、イベントをされているそうなんですけど、ちょっとこれはあれですよね、みんな佐々木ファームさんにお伺いして、いろいろ学べるっていうことだと思うんですけど、ちょっとご紹介していただいてもいいですか?

[佐々木]
はいありがとうございます。えっとですね、私たちはちきゅう留学っていう、学生の仲間たち、任意団体からできている団体の名前なんですけども、学生たちがコロナでですね、行き場を失ったり、新しい社会を探してるときに、佐々木ファームにいろんなつながりを持ってきてくれて、みんなで改めて循環とか、環境、そしてつながりとか豊かさって何だっていう、その本質的なところを畑の中から体感ベースで感じようっていう、そういうイベントを組んでいます。3年前からなんですけど 今年で3回目。全国から25歳以下で、下は中学生からなんですけれども、参加をいただいて、畑の中で3泊4日キャンプをすると。そこから、食べることが生きることだとか、つながりが共感が次の未来を作っていくよっていうことを、自分たちで考えて、自分たちで次なるアクションを考えて繋がっていくっていう、そんなイベントを組んでます。なのでですね、ぜひそこにですね、あのいろいろな人たちに、足を運んでいただきたいなって。この命に触れ合う、まず見てもらうっていう機会を、あの作っていただきたいなと思うとともに、このイベント自体が全国から学生が集まるんですよね。運営費なんですけれども、参加費はもちろん頂戴するんですけれども、飛行機代もかかって、全部の運営するためのお金が賄えないって時にですね、ご支援を賜っています。ご支援が5分の3ぐらい。イベントの5分の3ぐらいのご支援額がこのイベントを支えてくださっていまして、佐々木ファームと一緒に未来を作りたいよとか、食べ物をこういうふうな命を、若い次世代を、次の世界を作る若者たちに託したいよとかって、いろんな入り口があっていいと思うんですけど、大人たちがぜひですね、若者たちにチケットというかギフトを送ってほしいなと思っておりまして、皆さんの気持ちがアクションになって、アクションが体験になって、体験が次の日本を作っていくよって、そんな思いでですね、佐々木ファームのネットショップにいつも窓口も設けてますし、ちきゅう留学についてのいろんな情報も貼るようになっておりますので、ぜひそこでまず知っていただいて、つながっていただき、応援をしていただけたら、もう最高です。

[江良]
これは2023年、今年はいつぐらいに実施されるんですか?

[佐々木]
9月ですね。9月7日から10日までの3泊4日です。

[江良]
ありがとうございます。ほんと、なんか下は中学生から25歳ぐらいまでの方がメインであるけど、なんかもう少しこう、もう少し大人の方とか、少し小さい例えば小学生ぐらいのお子さんを連れてきたいみたいな、そういうような方とかはちょっと今回はあれなんですか?

[中馬]
年齢は決まっちゃってますけど。

[佐々木]
9日の日にですね、一般の方たちにもご参加いただけるっていう機会を設けております。例年もそうなんですけれども、いろんな繋がりのある方たちをお呼びして、パネルディスカッションという形で、みんなでいろんなトピックをもとに話を、学生たちと対談をしていくっていうのを9日にしていたり、バーベキューをしたりしていて、その世代間、違う世代とも交流をしていくっていうのをしております。あとは来れないけど、ご支援をいただいた方っていうのにですね、地球旅行らしい、佐々木ファームらしい循環を届けたいと思ってて、リターンという形でですね、いろんな嬉しい、ものであったり体験であったりっていう機会、もしくはその映像、ちきゅう留学の映像だったりっていうのをですね、見ていただくっていう機会、オンラインも含めていろいろ計画しておりますので、ぜひいろんな形でまずつながっていただき、運んでいただけたら嬉しいです。

[中馬]
素敵ですね。

[江良]
あのポッドキャストのウェブサイトの方でも、あの情報確認チェックできますので、はいぜひ皆さん見ていただいて

[佐々木]
ありがとうございます。

[江良]
ご参加ご援お願いします。はい、で折角なんで、

[佐々木]
はいありがとうございます。

[江良]
天喜さん。先にちょっとあの、佐々木麻紀さんの話にも出てきましたけど、天喜さん、九州からね、いらっしゃってる学生さんなんですよね。

[佐々木]
そうなんですよ。佐々木ファームと出会って、インターンという形で、今、佐々木ファームにもう中心軸を動かす、パッションあふれる有能な大学生なんですけど、天喜が今、ちきゅう留学のキャプテンというリーダーという形で、今頑張ってくれてます。天喜です。

[江良]
すみません。突然振ったのに申し訳ないけど。

[天喜]
いやいやいや、もう耳に余るほどの紹介をしていただいたんですけど

[江良]
九州から何で来たかとか

[天喜]
そうですね

[江良]
何でやってるかとか、あとまあ聞いてる人たちにこういうメッセージちょっと聞いてほしいとか、ちょっとお話しいただいてもいい?

[天喜]
そうですね。一番最初に来たのはコロナの本当に真っ只中で、大学二年生の時だったんですけど、夏休みの予定がもう全部キャンセルになってしまって、どこにも行くところなくなって、 ずっと地元でバイトしてるのもなぁっていうところで、なんか面白いところ、行きたいなぁとか、なんか体験できる場所とか、なんか日本内でもなんか気になるところに行ってみたいっていうので、あの紹介していただいたところが佐々木ファームさんで、そのお世話になってた方がつないでくださったんですよね。で最初あの農業って全然やったこともないジャンルですし、別に農業を勉強していたわけでもない、観光学とか国際関係とか、そっちの勉強していたので全然全く何も知識がないまま佐々木ファームに1ヶ月間、あのお世話になるっていうことをして、その中でなんかすごい私の中で変わった、価値観も変わったし、考え方も変わったし、なんか野菜ってこんなキラキラしてたっけとか、今まで私何食べてたんだろうとか、なんかその今まで当たり前にあった、野菜ってっていうものの、なんかその奥を知って、麻紀さんのその今の思い、食べることは生きることって、その選択肢が未来を作っていくし、自分の体も含め未来の社会を作っていく、っていうのが、なんかすって体に落ちた時に、もっと知りたいし、なんでこれ今まで知らなかったんだろうって、もっと届けたいもっとこれ知ってほしいなっていうのがあって、なんかあの、友達にちょこちょこ話すようになったりとか。でそこで麻紀さんからご縁をいただいて、もう1回ここに来るチャンスをくださって、であのちょこちょこ何回か通ってるうちに、その来ると2日3日とか1週間とかその時のいいところは見えるんですけど、なんか、そこと、そこの間に、何があるのか見たいな、知りたいなっていうので、そんなちょっと何回ももう半年に、1年に、6回とか7回とか通うようになってたので、じゃあ1年休学してちゃんとその間も含めて、それを知ったうえで、伝えていきたいなって思って休学をして、今1年間が終わって、延長戦の2年目に入るところになりました。

[佐々木]
入っちゃって延長です。その天喜がいる大学、 APUなんですけど、やっぱりその国際的に豊かで、あの英語だったり日本語だったりが飛び交うキャンパスの中で、やっぱり個性あふれる未来を作っていくような人を混ぜるっていう機能があって、あのとても有名な出口さんが学長さんでいらっしゃって、でそこに通っている天喜。で、天喜がまた紹介してくれたAPUの学生が何人も来たときに、これはAPUにぜひぜひ伝えたいよねって。この価値観とかこの思いを、本当に必要としている人がいっぱいいて、共感してくれる学生がいっぱいいるって言って、APUにつなげたいって言ってそれで学長さんにお会いしたりする機会をいただいて、このちきゅう留学自体をAPUの後援をいただいています。APUは今年からまた環境の学科が新しくできて、ただ人を混ぜるだけじゃなくて、今あるものを解決していくような、実践力のある次世代の人間を作って、全国に送っていくという意識の学科を作ったんですよね。そこもまた提携をしてさせていただくことになりまして、あと洞爺湖町もこのイベント自体にご理解をいただいて、後援をいただいています。なので、そのいろんな環境、サスティナブル、SDGsもそうだし、つながりとか共感とかウェルビーイング、豊かさの人たちもそうだし、いろんな入り口からね、この素敵なイベントにつながれるんじゃないかなと思ってて、若者がここに来て体験をしたらですね、それぞれがもう落ち度が半端なくて。

[天喜]
なんか輝いてくんですよね。みんな本当に。

[中馬]
すごいですね。

[天喜]
言葉で言うとすごい、なんだろうな、すごいうーんって思うんですけど、本当に文字通り、キラキラ輝いていくんですよね。ここにいる人たちとか、ここで過ごしたり野菜とか大地に触れて、自分というものを、向き合ったりする中で、本当にその人らしく、生きれる方法だったりとか、これだよね、私の大事にしたいこととか、これだよねみたいなのに向き合う、余白だったりとかが、本当にここにすごくあるなと思っていて。そこでいろんな人が混ざり合って、繋がり合って、次の社会を作っていくって、すごい、すごい場だなっていうのがあります。

[江良]
その、ということは、普段のなかなかこう、学生生活とか、普段の日常だと無くて、ここにあるものっていうのは、なんだと思います?その若い目線で言うと。

[天喜]
なんか、まあ、何でしょう、いろいろあると思うんですけど、まず一つは、もう、何もないっていうことがある、っていうところかなと思っていて、その都会で暮らしていたりとか 学校だったり社会の中で、こうしなきゃいけないとか、こうあるべきみたいなところで暮らしているっていうのとは、ちょっと違う世界観がここにあるのかなと思っていて、まずそもそも野菜たちも、大きくなるべきって育てられてないし、その命が一番に輝く方法で育てている。で、その考え方を持った麻紀さんという存在がいて、それがファーム全体の空気を作っているなと思っていて。だからここに来る人たちも、みんな何かしたいって応援する気持ちはあるんですけど、それとは別にこうすべきとか、一旦それを外せる環境がここにあるのかなっていう。それは安心感だったりとか、なんだろう大きな愛みたいなものが、なんか包んでいるのかなって思って。

[佐々木]
なんかその生きるにあたって、大人もそうなんですけど、どれだけ本音で自分を生かし切ってるかっていうと、今なかなか本音で付き合えない世界の中でみんないるんですよね。学校でいても、こう見られる、こうしなきゃいけないっていう中で、その点数をつけられてそれに点数を、合格不合格がある中で、ジャッジされて生きている。だから本当は個性なんだけれども、そこでこうじゃなければいけないという世界の中で、みんな大人も子供も住んでるっていうのが、閉ざしているというか、出しちゃいけないっていう風になっているんですよ。でもここにいて、いろんな命があっていいっていうのを、野菜の命を通して、仲間たちがどんどん変わっていくのを通して、自分たちもそういう命であっていいんだっていう、初めてそこになった時に、その子の何ていうのかな、蓋がパーンと開いて、キラキラしだすんですよね。一人がこのイベントで、このイベントに対しての言葉を作ってくれて、それがここを私もすごく胸を負って、みんなでですね、運営の子たちが農業って何、大地って何、繋がりって何、豊かさって何って、永遠と話し合って、このイベントを作るんですけど、一個そのイベントを伝える言葉がここにあって、それは、「繋がりがここにある」っていうふうに書いています。もしよかったらちょっとこの内容を少しだけこう中馬さん読めますか?

[中馬]
ここの文章で大丈夫ですかね。

[佐々木]
はい。

[中馬]
ちょっと読ませていただきますね。

普段何気なく使っているスマートフォン。私たちはなぜ使ってしまうのか。それは繋がりを求めているからではないだろうか。繋がりはここにある。スマートフォンを置いて、洞爺の大自然を心で体感し、あなたに眠っている五感を呼び戻そう。佐々木ファームという地で自分を開放し、ありのままの感覚とコミュニケーションを通じて仲間と繋がろう。ちきゅう留学での経験はきっと今後の私たち自身を変える。そしてそんな私たちが今度は世界を変えていこう、というふうに。



[中馬]
素敵です。

[佐々木]
私もこれ聞いた時にもうわーって感動で溢れちゃって。みんなが自分でいいんだってなった時にみんなそれぞれの才能がパカーンとなって、まるでトータル的に良い子じゃなくていいんだって、自分の強みを生かして弱みは誰かが補って、それで繋がって、一人じゃなくても繋がることによって何かができるんだっていうのを、ここで感じるんですよね。そうした時にその環境はもう私がみんなに置いている環境は安心安全な場所とおいしい食卓だけなんですよ。あとはみんなが勝手に作り出して織りなしていって繋がって生んでいくから、永遠とその繋がりとは共感とは、私たちは大人たちとどんな社会を作りたいって、みんなが泣きながら、夜鍋をしながら話していった時に、未来って明るいなっていうのと、改めて野菜もそうですけど、どんな環境を置くか、それはやり方とか、こうするんだよって、私たちの世代のやり方を伝えるだけじゃなくって、安心安全で、その、この見守る、寄り添うっていうことだけでいいんだなっていうのを教えてもらって、なのでその若者たちが自分たちでどんどんこのイベントも進化してきますし、形を変えていくんですよね。そこに素敵な大人たちをマッチングさせてくっていうのは大人の役割だし、社会が例えばそこでお金がないとそこに参加できないだけじゃなくて、奨学金制度みたいなのも踏まえて、社会がこれをやりたいっていう本当に心から思っている、若者たちにギフトしていくっていうのも一つ大きいですし、社会、学校のみんなでこういう思いが大事だねって共感していただいたら、それを運ぶ1人の運び手となってですね、これを一緒に作っていただければ本当に嬉しいです。

[江良]
受験が終わったら、うちの息子をまず送りたいと思いました。

[佐々木]
ぜひぜひお待ちしてます。

[江良]
いやでも本当にね、すごいね。つまりなんかねその有機農業とか、そういう自然の循環とかねそういう話を聞きに来たつもりだったんですけど、でもやっぱりそのね、今の社会の生きづらさとかね、そういうところにもね、そのやっぱりね、多様ないろんなものを認めて、あの、そういうのがみんなが安心して生きていけるっていう社会には今ねどうしてもなってなくて、その歪みみたいなものが、やっぱね今の特に若い世代には、だいぶあのプレッシャーというかね、なんかそういうことが行っちゃってますからね。そういったことも、本当にここのね、お野菜を、生命力ある野菜を育てたり食べたりすることを通じて、いろんなものがこう開いていくんだっていうのは、本当に素晴らしいなと思いました。

[中馬]
いやもう、まさにっていう感じなんですけど、なんかそのつながりみたいなところで言うと、あの僕は去年あのここに初めてお伺いをしていて、その時も佐々木さんにツアーをちょっとしていただいて、でその時にまぁちょっと今日何回もワード出てきてますけど、この人変態だなと思ったんですよ。笑

[佐々木]
変態です。笑

[中馬]
佐々木さんは、こうこのちっちゃいこの苗を、何百メーター植え続けていくんですよと、っていうことを笑顔で言いながら、変態でしょって自分のこと言ってて、変態、確かに変態だなって思いながらも、すごいなと思ったのは、今日もさっきのツアーでもそうだったんですけど佐々木さんは野菜のさらにその下を見ているでしょ。あの土の中でどういうことが起こっているのかとか、それが野菜に出来上がってくるものにどういう影響を与えてそしてさらにその先のそれを受け取る人のことを見ていて、それはなんかすごい繋がりだと思うんですよね。でその野菜にもいろいろな生き方があり食べられていく野菜もあれば、土に戻って行く野菜もあって、それぞれに役割がある。その繋がりがあるっていう、その繋がりを見せてもらってるっていう感覚っていうのが、前回も今回もすごいあって、なんかそれと、このちきゅう留学っていうのは僕はなんかすごく繋がってるっていうか、それをどのような形で体験していくのかとか、どう表現するのかとか、なんかすごい腑に落ちて。本当にうちの娘も。ちょっとちっちゃいんですけど、あの本当に機会があれば、本当に連れて行きたいと思うし、伝えられることがたくさんあるって僕自身が思う。僕自身が受け取るものがたくさんあるので、そういうことはちょっとこう、自分の次の世代、次の世代とかにも何かね伝わっていくものが大きいだろうなっていうのはすごいやっぱ今日改めて思いました。



[佐々木]
ありがとうございます。なんかその繋がりっていうのを自分で体感してみたら、自分の心が豊かになるし、一人じゃないっていうのが勇気をもらうんですよね。で私はその1畝が270メートルとかあるところ、例えば月の光を使って苗を植えたりもするんですけど、そこの先にあるのはお客さんの笑顔だったり、応援してくださる人のメッセージだったり、子どもたちの未来だったりしてるからこそ、私も頑張れるし、私もそういうふうにずっとそのたくさんの循環の中で生かしてもらってるというか、エネルギーを送ってもらってるから、また次に送れるんですよね。その循環っていうのがキーワードで佐々木ファームをずっとやってきてて、繋がりは循環の中にありますし、循環っていうのはどんなエネルギーで送り出すからまた帰ってくるもの、でもこれを送ったからこう帰ってくるだろうっていうのは、循環にはなくてそれがすごくギフトだった楽しいところなんですよね。未来に向けてどんなエネルギーを自分が発していくかで、全然思ってもみないギフトが返ってくるっていうのが、循環の素晴らしいところで、佐々木ファームは循環をやっているんだったら、そこを世の中の皆さんと一緒に考えていきたいなと思ってて、農業だったり野菜は1個手段だったりツールだったりだと思っていて、今目の前にある社会課題も全部実はつながっていて、食料危機がきます、じゃあコオロギ食べますっていう話だけではないと思うんですよね。もしかしたら食べ物のこと、蝦夷鹿肉だったりいろんな問題、あふれてるものと、足りないものがあるとして、困ってる問題があって、あふれてる課題があって、全部つながっていて、それをみんなの力で考えたら、一個の課題だけを考えて、すごく近い視点で物事を見てたらその視点でしか物事を見れないし、解決策はちょっとしかないんですけど、視点を離してたくさんの目で見ることによって、その全部の問題がつながっていて、意外とこういうふうな面白い案出てくるよっていうのが、循環だと思っててそれが人間ができることだと思っていて、私たちは自分たちで命を作り出すことができない自然やいろんな命にその命をいただいて生かされている人間だからこそ、その人間の力を使ってまた自然や動物たちや環境に返すことができる。地球に対して恩返しができるっていうのも人間だと思っているので改めてそのつながり、循環をですね、これからも発信していきたいなと思ってます。

[江良]
いやもう本当に、素晴らしいお話というか、本当にすごくすごいいい体験を、僕も今日させてもらって本当にありがとうございました。

[佐々木]
ありがとうございます。

[江良]
また東京でも、またねお伺いするので、ちきゅう留学もまたねぜひお伺いする機会ができればと思います。はいじゃあ今日はどうもありがとうございました。佐々木ファームの佐々木麻紀さんと、丸山野天喜さんでした。

[天喜]
ありがとうございました。

[佐々木]
ありがとうございました。